ここでは妊娠したい方のための基礎体温のグラフの見方と注意点をわかりやすくお話しします。

基礎体温というのはタイミングをとったり妊娠したかどうか?に使うものと思われている方も多いと思いますが、基礎体温はそれに以外も様々なことが読み取れます。

例えば、妊娠しやすいタイプなのか?そうでないのか?基礎体温からおおよそ知ることができますし、それによって、病院にすぐに通うべきかどうかの判断の目安にもなります。

これらのことは、他のサイトではあまり触れていないので、ページの後半部分に詳しく書きました。

ご興味のある方は読みになってください。

基礎体温とは

基礎体温とは最小限のエネルギーしか消費していない安静時に測定した体温のことになります。

普通の人の生活の中で最小限のエネルギーしか消費しない安静時というのは寝ている時になりますが、完全に寝ている時には体温を測ることはできないことになります

そのため寝ている状態に一番近い朝起きた時に測ることになります

 

基礎体温の意味や目的は?

この基礎体温というのは女性の排卵のサイクルと関係が深いのです。

この排卵サイクルは普通は病院に行かなければ分からないものですけれども基礎体温をつけることによって間接的にですが、排卵のサイクルを知ることができるわけです。

つまり基礎体温というのは病院に行かずに自分自身の力で排卵サイクルを知ることのできる有効な手段と言えるわけです。

一般的にいわれている基礎体温でわかること

  • 妊娠しやすい時期(排卵の時期)
  • 避妊できる日
  • 排卵しているかどうか
  • 妊娠しているかどうか

※基礎体温は先ほども書きましたけれども、排卵のサイクルと関係が深いです。

これはもう少し詳かしく言えば排卵に関わる女性ホルモンの働きを間接的に知ることができる指標でもあるのです。

そのため、この女性ホルモンの働きが関係する婦人科の様々な病気の可能性の予測ができるのです。

基礎体温を細かく見るとさらにわかる事

病院ではここまで細かくは見ませんが、基礎体温をより細かく見ることでさらにわかる事があります。

  • 婦人科の病気の可能性
  • 妊娠しやすい体質かどうか?
  • どのような薬が向いているか?
  • 現在服用しているサプリメントが合っているかどうか?
  • 身体の状態は良い方向(妊娠しやすい方向)に向かっているか?

基礎瘀体温表

基礎体温の基本となる見方

ここでは基礎体温から排卵したかどうか?、妊娠したかどうか?妊娠しやすい時期、避妊しやすい時期、生理日の予測などの基礎体温の基本となる見方について説明します。

基礎体温から排卵したかどうか?を判断する方法

一層の基礎体温(排卵していない:無排卵) 二層の基礎体温(排卵している)
一層の画像(無排卵) 二層ある基礎体温

 

基礎体温から排卵したかどうかを判断する方法ですが、それは基礎体温が一層か二層かで判断できます。

基礎体温が低温期と高温期の二層に分かれていれば排卵していると判断するのです。

 

基礎体温から妊娠したかどうか?を判断する方法

基礎体温の高温期がいつもより1週間くらい長く続いたら(高温期が19日~21日以上)、妊娠はほぼ間違いないです。

妊娠検査薬で確認してみても良いと思います。

基礎体温から排卵日を予測し妊娠しやすい時期にタイミングをとる方法

排卵日の基礎体温

次は基礎体温を見て、排卵日を予測して妊娠しやすい時期にタイミングをとる方法について説明します。

妊娠しやすい時期というのは排卵した直後です。

そのため、排卵日を基礎体温から予測してその日にタイミングをとればよいわけです。

基礎体温でみると排卵というのは低温期から高温期に移行する時期に起こります。

この時期には基礎体温を見ると、正常な方では基礎体温が上がる前に一回下がる現象が起きます。(起こらない人もいます)

これがタイミングをとる時期です。

それ以外には以下のような徴候が出ます。それがあれば、ほぼ間違いないと思います。

  • おりものの量が増える
  • おりものの粘度が下がり伸びるようになる
  • 排卵チェッカーをして陽性が出る

 

 

基礎体温を使って避妊する方法

ここでは参考程度にとどめます。

基本的な考え方は妊娠しやすい時期を外して性交渉を行うという事です。

実際には高温期に入って4~5日経過してからと月経期(生理が始まってから5日くらい)までが比較的安全といえます。

妊娠しやすい理想的な基礎体温とは?

それでは妊娠しやすい理想的な基礎体温とはどのような基礎体温なのでしょう?

それは、いわゆる標準的(正常)な基礎体温が最も妊娠しやすい基礎体温の形なのです。

しかし、絵に描いたように標準的(正常)な基礎体温でないと妊娠しないわけではありません。

この基礎体温の形の中でポイントとなる部分があります。

その部分が標準(正常)に近づくことが大事なのです。

そのため、ここでは具体的に日数や体温の温度などを踏まえて説明したいと思います。

まず基礎体温の高温期の温度をまず基準に考えます。

基礎体温の月経周期は28日から30日程度が標準的です。

基礎体温の高温期の温度は36.7℃以上が正常です。

この体温、高ければ高いほどいいわけではありません。

実際には36.7℃から37℃間が最も妊娠しやすいのです。

そして、その高温期の日数は12日から14日ぐらいが正常と考えられます。

そしてこの基礎体温の高温期36.7℃に対して0.3℃から0.5℃温度差がある状態が正常の低温期になります。

つまり36.7°の高温期の方は低温期が36.2℃~36.4℃になりますし、高温期が37.0℃平均の方は低温期が36.7°から36.5°の間になります。

妊娠しにくい体質の方の基礎体温の特徴とは

ここではまず、大まかな妊娠しにくい体質の方の基礎体温の傾向について説明します。

低温期に関しては正常の基礎体温よりも低い、長い、短い場合は妊娠しにくい体質であることが多いです。

高温期の場合は正常の基礎体温よりも低い、短い場合は妊娠しにくい体質であることが多いです。

それ以外でも妊娠しにくい体質である場合もあります。

詳細に関しては、もう少し後でお話しする基礎体温のタイプ別の原因と改善方法のところを読んでみてください。

基礎体温を使った妊娠しやすい身体にするための改善法

基礎体温表のグラフの形によって妊娠のしやすさやしにくさは異なります。

それはなぜかというと、基礎体温の形にその方の体質的な問題が表れるからです。

その体質的な問題を見分けるポイントとなるのが基礎体温の中の低温期や高温期のそれぞれの長さ、短さや高さ、低さや基礎体温の形、低温期から高温期への移行の仕方、高温期から低温期への(月経期)の下がり方などです。

例えば、基礎体温の低温期が正常より短い場合と、高温期が正常よりも短い場合、それぞれ不妊症の体質を持っていることが多いのですが、その原因はそれぞれで全く異なります。

低温期が正常より短い場合、西洋医学的には卵胞期短縮症や甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などが主なもので漢方的には気虚や実熱証がこの状態を引き起こす主な原因になります。

一方、高温期が正常よりも短いのは西洋医学的には黄体機能不全や黄体化未破裂卵胞(LUF)、高プロラクチン血症や甲状腺機能低下症などが主なものです。漢方的には血虚や腎虚の可能性が高いのです。

このように基礎体温の周期を同じように短くする場合でも、低温期が短い場合と高温期が短い場合では原因が大きく異なるのです。

そのため、その原因を改善する方法もそれぞれ異なってきます。

つまり、同にように基礎体温を短くする場合でも低温期と高温期は全く別のものとして考える必要があるのです。

そこで、ここではまず、基礎体温の低温期、高温期のそれぞれの特徴的なタイプと、そこで見られる体質的な傾向、西洋医学的病気の原因や漢方的な原因、それに対する基本的な改善方法などについて書いてみたいと思います。

 

基礎体温のタイプ別の原因と改善方法

低温期が長いタイプ

低温期が長いの基礎体温のグラフ

不妊症の方に多い基礎体温のパターンです。

卵子の発育・成熟が悪いために排卵が遅れ、その結果、黄体ホルモンの分泌も悪くなるためこのような基礎体温になるのです。

西洋医学的には黄体機能不全の徴候を持っているタイプです。

漢方理論で考えると血虚、軽度の腎虚もしくは瘀血などによっても生じることがあります。

基本的な考えは卵子の発育や成熟を促すような治療や養生(生活上気を付けること)を実践することです。

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温の低温期が長いときに考えられる4つの原因とその対策とは?

 

低温期が短いタイプ

低温期が短い基礎体温のグラフ

不妊症になりやすいタイプの一つです。

このタイプはもともと持っている体質というよりも、加齢(老化)に伴って卵巣機能が衰えていく過程で起こる問題のことが多いのです。

卵巣の機能が低下してエストロゲンの分泌が減少することによって卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が高まり、その結果として卵胞が早く育って排卵も早まり低温期が短くなるのです。

西洋医学的には卵胞期短縮症がこれにあたります。

漢方的にはこの状態を軽度の腎虚(老化)と考え治療を行います。

そのため、基本的な考え方は老化を遅らせるような治療や養生(生活上気を付けること)を実践することです。

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温の低温期が短い時の4つの原因と改善策とは?

 

基礎体温が低いタイプ(低温期35℃台の低体温で高温期が36.5℃以下)

基礎体温の低温期が低いグラフ

基礎体温が低い場合は不妊症の体質を持っている場合が多いです。

厳密には低温期が低い場合と高温期が低い場合では不妊症の体質の原因は異なります。

そのため、高温期が低い場合と、低温期も高温期も低い場合、それぞれのケースを読んでいただければと思います。

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温が35.8℃や35.9℃などの低体温になる4つの原因と対策とは?

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温の高温期が低めになる3つの原因とその対処法とは

 

高温期が途中でガクッと下がるタイプ

基礎体温の高温期が途中でガクッと下がるグラフ

高温期の途中で基礎体温が下がるタイプです。

この状態をインプランテーションディップといって欧米では妊娠兆候と解釈する考え方もあるようですが、私は長年の臨床経験からその確率は非常に低いと考えています。

むしろ、この形に近い状態を繰り返す場合は不妊症の体質がある場合が多いのです。

西洋医学的には黄体ホルモンの分泌の低下か黄体ホルモンに対する子宮内膜の感受性の低下による黄体機能不全が考えられます。

漢方理論的には血虚もしくは腎虚気虚などが考えられます。

こういう場合の改善策として、病院で治療を受ける(ホルモン剤の投与)のも一つのやり方です。

黄体機能不全は漢方治療も有効な改善策となる場合が多いです。

また、これらを併用することでさらによい結果が出ることも多いです。

さらに詳しく知りたい方は➡高温期8日、9日、10日あたりで基礎体温が下がる時の解釈の仕方問題点とは?

 

低温期から高温期へ徐々に上がるタイプ

低温期から高温期へ徐々に上がる基礎体温のグラフ

このタイプの方も不妊症では比較的多く見られます。

西洋医学的には黄体機能不全、卵管閉塞(卵管狭窄)高プロラクチン血症などが考えられます。

漢方的には瘀血もしくは気滞と瘀血が合わさった状態と考えます。

この場合の改善法は原因によって異なります。

高プロラクチン血症の場合は病院での治療で改善しやすいです。

卵管閉塞は軽度なものは通水検査や卵管造影検査などで改善することもありますが、それで結果がでない場合は一気に手術になります。

そのため、ここは漢方治療も一つのやり方だと思います。

黄体機能不全の場合は先ほど書きましたように病院の治療、漢方での治療、病院と漢方との併用の3ついづれでもよいです。

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温が徐々に上がる時に考えられる4つの原因とその対策とは?

 

基礎体温がガタガタのタイプ

基礎体温の高温期がガタガタになるグラフ

このタイプの方はストレスが強く自律神経や情緒に乱れのある方が多いですが、高プロラクチン血症の方でも見られます。

西洋医学的には月経前症候群(PMS)自律神経失調症、高プロラクチン血症などが考えられます

漢方理論的には気滞(肝気鬱結)の状態と考えます。

また基礎体温計が電池切れを起こす直前や朝起きる時間がバラバラの時にはこのような基礎体温になることもありますのでご注意ください。

このような場合の改善策ですが、高プロラクチン血症の場合は病院の治療でも良いと思いますが、月経前症候群(PMS)や自律神経失調症の場合、病院での治療の場合、安定剤などの向精神薬の服用になる場合があり、妊娠希望の方にはお勧めできません。

そのため、このような場合は漢方服用でじっくり治していかれることが望ましいと思います。

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温の高温期がガタガタになる3つの原因とその対策とは?

 

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温の高温期が長いときに考えられる原因とその改善策とは?

 

基礎体温の高温期が短いタイプ

基礎体温の高温期が短いグラフ

基礎体温の高温期が短いタイプというのは、不妊症の体質である場合が多いです。

具体的に言えば、黄体機能の働きが低下している場合が多いのです。

そのため黄体機能不全が最も多い原因と考えられますが、黄体機能不全と見間違ってしまう黄体化未破裂卵胞(LUF)などの存在もあるので注意が必要です。

この状態を漢方理論で考えると血虚や気虚や腎虚の状態と考えられます。

このような場合の改善策としては黄体機能不全の場合は、病院での治療、漢方薬による治療、病院と漢方薬の併用いづれでも良い結果が出る可能性があります。

ただし、黄体化未破裂卵胞(LUF)に関しては、病院で超音波診断(エコー)などを使わないとわからないですし、対処も病院でないとできません。

こういう基礎体温が続いていて病院に通われていない場合は、少なくとも1度は病院で不妊の検査を受けられることをお勧めします。

さらに詳しく知りたい方は➡基礎体温の高温期が短い時の4つ原因と改善策とは?

 

無排卵(月経)高温期がない(1層タイプ)

無排卵(月経)の基礎体温

生理(月経)が定期的にあるのに排卵していないタイプです。

不妊症としては重度であるケースが多いです。

生理(月経)が定期的に来ているため、自分自身では排卵していないことに全く気付きません。

そろそろ、妊娠を考えたころに病院に行ったり、ご自身で基礎体温をつけてみて初めて自分自身が無排卵だと気づくわけです。

でも、いつからこの状態になったのか本人もわからない。

そのため、本人も非常に焦りますし、何が原因でこれが起こったのかもはっきりしない。

病気の軽重は経過した年数に比例する部分があるのでどのぐらいこの病気が根深いものかも分かりにくいのです。

そのため、まず妊娠をしたいと思ったならば、基礎体温をつけてみるということが、こういうことを経験すると大事だということが分かってきます。

さて、この原因として多いのは、西洋医学的には卵巣機能不全、重度の多嚢胞性卵巣、重度の高プロラクチン血症、子宮内膜症によるチョコレート膿腫、早発閉経高齢不妊(43歳以上)などが考えられます。

また過度のストレスや、過度の肥満や過度の栄養不良などでも生じることがあります。特に10代の卵巣が十分発達していない段階で過度なダイエットなどはこの原因になりますので、注意が必要です。

漢方的には重度の瘀血、重度の血虚、腎虚、重度の気滞(肝気鬱結)などが関係している場合が多いです。

卵巣機能不全とは何らかの原因で卵巣機能が低下して排卵障害を起こしている状態のことを言います。

この状況というのはかなり厳しい状況です。

そのため、このような場合は病院の治療と漢方の治療を併用した方がうまくいく場合が多いです。

まとめ

基礎体温表のグラフの見方について、できるだけわかりやすく説明したつもりですがいかがでしたか?

基礎体温を測ることによって一般的に知られている、妊娠しやすい日の予測や排卵したかどうか?妊娠したかどうか?以外にも様々なことが基礎体温から読み取れます。

そして、このように細かく基礎体温を読むためには毎日毎日、一定の時間に、一定の条件で、継続的に基礎体温を測り続けることが重要なのです。

これによって、病院にすぐに通うべきかどうかの判断の目安に使うこともできますし、妊娠しやすい体質か妊娠しにくい体質かなども知ることができます。

もし、妊娠しにくい体質であったとしても、基礎体温を細かく見ていくことで、妊娠しやすい体質に変えてゆくような漢方的なアプローチは可能です。

そのように基礎体温を細かく見る際に重要なポイントとなるのが、基礎体温の低温期、低温期から高温期への移行期、高温期、月経期(生理)、それぞれの長さ・短さ、高さ・低さ、グラフの形などなのです。

どうしてそれらが重要なポイントとなるのかといえば、その時期ごとに卵胞の状態や分泌されるホルモン、子宮内膜の状態が全く異なるためです。

そして、それらが合わさった基礎体温のグラフの形にその人の体質が表れるのです。

漢方治療というのは、体質に合わせて漢方薬を使い分けてゆくものなので、基礎体温からその人の体質がわかれば、

どのような漢方薬を用いればよいか、おおよその見当がつくのです。

 

広島の漢方薬局ハーブスのTEL082-507-3470