基礎体温と漢方理論について
基礎体温の形は間接的に女性ホルモンの働きや疾患の存在を推測できるものです。
そのため漢方薬局ハーブスでは基礎体温の状態は重視しますし、漢方薬を選択する際には重要な手掛かりとしています。
ここでは大雑把な漢方理論と基礎体温の関係について書いてみたいと思います。
標準的な基礎体温
標準的な基礎体温の温度は高温期36.7℃~37.0℃で期間は12~14日間です。
低温期は高温期よりも温度差で0.3℃~0.5℃低い温度です。つまり36.2℃~36.4℃です。
そして生理周期は基本28日~30日の間です。
血虚と基礎体温
血虚とは女性ホルモン不足や貧血の概念が混ざったような概念です。血虚の基礎体温のパターンは実際には様々あります。
そのなかで代表的なものをいくつか載せておきます。
基礎体温がゆっくり上がるもの、高温期が低く、短くなるもの、そして高温期が不安定で途中で下がるものです。
パターン1(基礎体温がゆっくり上がるもの)
パターン2(高温期が短いもの)
パターン3(高温期が不安定なもの)
血虚に用いる代表的な漢方薬
当帰芍薬散、四物湯
もっと詳しく知りたい方は➡血虚と基礎体温
気虚と基礎体温
気虚とはエネルギー不足、ガス欠状態ですが、女性が気虚になると、傾向そしては低温期が短くなります(低温期が正常な方と変わらないケースもあります)。
そして高温期が低く、短くなる場合と高温期が不安定になる場合もあります。
パターン1(高温期が短いもの)
パターン2(高温期が不安定なもの)
気虚に用いる代表的な漢方薬
六君子湯、補中益気湯
もっと詳しく知りたい方は➡気虚と基礎体温
瘀血と基礎体温
瘀血とは血流が悪くなった状態です。瘀血の基礎体温には大きく2パターンあり、高温期が高くなるケースと低温期が高くなるケースがあります。
パターン1(高温期の高く長いもの)
パターン2(低温期の高いもの)
瘀血に用いる代表的な漢方薬
桂枝茯苓丸、桃核承気湯
もっと詳しく知りたい方は➡瘀血と基礎体温
腎虚と基礎体温
腎虚とは簡単にいえば老化のことです。
女性が加齢に伴って腎虚になった場合も基礎体温のパターンはいくつかあります。
基礎体温が不安定になるケースもあります。
パターン1(高温期が短いもの)
パターン2(高温期が不安定なもの)
腎虚に用いる代表的な漢方薬
紫荷車製剤、鹿茸製剤
もっと詳しく知りたい方は➡腎虚と基礎体温
熱証と基礎体温
熱証とはその名の通り身体に熱のある状態です。
身体の炎症や体の機能の過亢進、新陳代謝の過亢進、感染症に伴う発熱や精神的な興奮なども含む概念です。
基礎体温的には低温期が短くなる、低温期が高くなる、高温期が高くなるなどがあります。
パターン1(高温期が高くなる)
パターン2(低温期が短くなる、低温期が高くなる)
熱証に用いる漢方薬
黄連や黄芩の入る漢方薬
もっと詳しく知りたい方は➡熱証と基礎体温
気滞(肝気鬱結)と基礎体温
気滞とは感情が蓄積した状態で気が巡っていない状態であり、肝気鬱結とはストレス状態や自律神経が乱れた状態のことを指します。
もし女性が肝気鬱結になると基礎体温がギザギザした形になります。
気滞(肝気鬱結)に用いる代表的な漢方薬
加味逍遙散
もっと詳しく知りたい方は➡気滞(肝気鬱結)と基礎体温
まとめ
ここでは基礎体温と漢方理論について説明してきました。
漢方理論の瘀血、血虚、腎虚、気虚、気滞(肝気鬱結)、熱証と基礎体温にはある程度の相関があり、漢方理論のそれぞれの状態の時には基礎体温のグラフの形もある程度決まってくるという事です。
逆に言えば、基礎体温グラフの形をみると、そこからある程度、漢方の証(漢方的診断)を決めることができるということです。
つまり基礎体温の形からどんな種類の漢方薬がふさわしいか推測できるのです。
そのため、漢方薬局での不妊治療に基礎体温表は欠かせないものなのです。
そのため、できるだけ基礎体温をつけるようにしていただきたいと思います。
さらに基礎体温の測り方や見方に関して詳しく知りたい方は➡基礎体温表のグラフの測り方や見方などを詳しく解説