不妊症の患者さんが来られました。この方、二人目不妊ということで以前うちで不妊治療を受けて妊娠された患者さんの紹介で来られたのです。最初来られた時、2年半授乳して半年前位に断乳したということで、高プロラクチン血症があるのではないかと疑ったのですが、その読みは間違っていました。年齢的には40歳代なので高齢不妊の原因が何かあるのではないかと再度チェックしたのですが、この方には特に問題がないような気がするのです。そこでご主人のお話をお伺いすることにしました。そうするとご主人が公務員なのですが、何日も船に乗って帰ってこれない職種の方なのです。こういう海上自衛隊や海上保安庁で船のるお仕事の方はかなりの確率で疲れが原因の男性不妊症があるのです。そこでご主人をチェックさせてもらうと・・・やはり男性不妊がはっきりとありました。そこで奥さんでなくご主人にお薬を飲んでいただくことにしました。これで話は終わりだと思ったのですが、奥さんが最近股関節~鼠径部付近に痛みが出るというのです。そこでついでに何が原因がチェックしてみました。通常は骨盤か腰椎の問題なのですが、この方はそのどちらも問題がありませんでした。そうすると内臓疾患の可能性もあるのでそれをチェックしてみることにしました。そうすると内臓疾患はありませんでしたが、何かおなかの付近に反応があります。でもその部分には臓器らしいものはありません。そうすると・・・腹膜の可能性があります。こういう場合は食べ物に原因があることがあるのです。そこで最近健康にいいと思ってやっていることはないか尋ねました。そうすると、最近生姜を良くとっているそうなのです。生姜紅茶や何にでもしょうがを入れるような感じで料理を作っているとの事。そこでそれをイメージしてもらうと・・・ビンゴです。生姜は合う合わないがあるものです。生姜はしょうきょうと言って漢方薬に使われる代表的な生薬なのです。もちろん合っていれば問題ないのですが、合わなければ、粘膜を刺激して腹膜炎や肺炎、気管支炎を起こす引き金になるのです。実際この方は生姜を止められてからこの症状はおさまってきました。生姜が合っているかどうかの基準は飲んで少なくとも2週間以内には身体の調子が良くなるということです。何も変わらない場合は合ってはいないのでそれを1~2か月飲むと人によってこのような違う形での副作用が出てくるのです。生姜が身体にいいというのは全く間違っているわけではないのですが、正確にいえば生姜は身体にいい人が多いということで、誰でもいいというわけではないのです。お気をつけください。