紹介で患者さんが来られました。

相談内容は不妊です。

現在はまだ人工授精の段階なのですが、病院で検査してもらったところ、子宮内膜が十分に厚くならないそうです。

この子宮内膜菲薄(子宮内膜が厚くならない症状)、そんなに多くはおられないのですが、重なるときは重なるんですよね・・・

そこで、だいたいどのくらいの厚みか?お伺いすると、7mm~8mmが多いそうなのです。

子宮内膜の理想的な厚さは10mm~13mmと言われています。

では7~8mmではそれほど問題があるのでしょうか?

この子宮内膜の厚みに関しては実際のところ様々な意見がようです。

私が読んだある論文では7mm以下では妊娠していなかったです。

妊娠(着床)は7mm以上から始まるのですが、7mm~8mmの間は子宮内膜が厚くなればなるほど妊娠率が上がります。

そして7mm~8mmの間では子宮内膜が薄ければ薄いほど流産率が上がるのです。

つまり子宮内膜は8mm以上が望ましいということです。

しかし、別の病院で、自身の病院での体外受精の結果をまとめたものには、

4mm以上で2割前後の着床、妊娠に至ったという報告がなされています。

そのため、病院の先生によっても、体外受精の場合、多少子宮内膜が薄くても大丈夫という先生もおられるようです。

漢方治療イメージ

しかし、実際、不妊治療に携わっていて、子宮内膜の厚みが厚い・薄いの問題は重要で、薄い人は妊娠しずらいという実感が私にはあります。

特に子宮内膜が7mm未満の方は妊娠しずらいという印象があります。

そのため、子宮内膜を厚くするのはこの患者さんにとって重要なのではないか?と思いました。

そこで、この患者さんの漢方的な体質をチェックしてみることにしました。

そうすると、特徴的だったのは、生理の期間が3日間と短いことと、とても疲れやすいこと、そして、毎日湯船につかっているのにも関わらず、全身が冷えるということでした。

生理の期間が短いのは漢方的には血虚(けっきょ:血(女性ホルモンの働き)の不足)が多く

疲れやすいのは漢方的には気虚(ききょ:エネルギー不足)が多く

全身の冷えは気虚でも血虚でも腎虚(じんきょ:老化による基礎代謝の低下)でも起こります。

これらのことを考えあわせると、少なくともこの患者さんは気虚と血虚が混在した状態であるように思いました。

そこで、補血(ほけつ:血虚の治療法)の漢方薬に補気(ほき:気虚の治療)の漢方薬を組み合わせて服用していただくことにしました。

この漢方薬を飲んでいただいて、1か月程度経過した段階で疲れやすいとかは微妙に良いくらいでした。

それでも漢方薬を服用して2か月した段階で病院にいって子宮内膜をチェックしてもらったところ、子宮内膜の厚みは9mmに改善していたそうです。

患者さんはとても喜んでおられました。

ただ、身体のだるさに関しては横ばいの状態でした。

そこで再度、体の状態をチェックしなおしたところ、このだるさは単純な血や気が不足しているだけではなく、気の巡りが停滞して起きているように思われました。

そこで今までの漢方薬にさらに気の巡りを良くする漢方薬を追加しました。

そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・漢方薬を変えてから気力が出てきて随分動けるようになったそうです。

そして夜もぐっすり眠れるようになったそうです。

とりあえず、順調です。

子宮内膜菲薄に関してさらに知りたい方は→子宮内膜菲薄のページ