紹介で患者さんが来られました。

症状はアトピー性皮膚炎です。

小児アトピーは無く、ここ3~4年で悪化してきたそうです。

過去にいくつかの皮膚科の病院でも治療は受けたそうですが、思ったような改善は見られなかったそうです。

そこで、ご相談に来られたのです。

そこで、実際に患部を見せてもらうと、皮膚の悪化している部分のパターンがいくつかあり、少なくとも原因は一つではないと思いました。

そのパターンの中の一つはアトピー性皮膚炎の患者さんでよく見かけるような皮膚の状態でしたが、それ以外にストロフルスの患者さんの皮膚状態に近い部分がありました。

実際話を聞いてみると、アトピー性皮膚炎様の症状の部分が悪化するタイミングとストロフルスの患者さんの皮膚状態に近い部分が悪化するタイミングは異なっていることが、患者さんの話から分かりました。

症状が悪化するのは、夏暑くなってからの事が多く、寝ている時に掻いて悪化してしまうそうです。

寝ている時に掻いて悪化してしまうのは、アトピー性皮膚炎の患者さんの特徴の一つなので、それほどのヒントにはならないのですが、夏暑くなってから悪化するのはヒントになります。

夏暑くなってきてから悪化する可能性が高いのは光線過敏症、汗が原因の皮膚炎、カビが原因の皮膚炎、ストロフルスなどです。

さらにお話をお伺いして、汗と光線過敏症は無いように思いました。

そして、最も可能性が高いと思ったのはストロフルスでした。

通常ストロフルスは小児に出ることが多いのですが、大人にも出ることがあるのです。

なぜなら、患者さんの話の中で、この症状が虫に刺されて以降出てきたことが分かったからです。

そこで、ストロフルスに用いる漢方薬の中から、この患者さんに合いそうなものを服用していただくことにしました。

ストロフルス漢方治療イメージ

そして大体2週間間隔でご相談に来られたのです。

症状は2週間で微妙に微妙に良くなっているように感じたのですが、1か所良くなると、別の部分が悪化してしまうのです。

これは漢方薬が合わないというより、この皮膚を悪化させている原因が漢方的には複数あるため、それぞれに対応した漢方薬が必要になるのですが、予算的な問題や、服用回数を増やしても飲み忘れが増えてしまい、効果が半減するなどの理由から1種類に絞らざるを得ないという理由からでした。

そのため、ある部分は途中まで改善したのに、別の所が辛いと言われるとそこに合う漢方薬を出すという、もぐらたたきのような治療を余儀なくされました。

こういうひどい部分の症状を症状を抑えるだけの治療が続くとどうどう巡りになり、結果として目に見えて皮膚が良くなっていかない状態が続きます。

そうすると、患者さんも効果を実感できないので、漢方薬の飲み忘れが増えていきました。

そして、相談頻度も減ってきました。

このままだと良くならないまま治療を患者さんが断念する可能性もありました。

ただ、漢方薬は合っているのでしっかり続ければ良くなる確信が今回に関してはありました。

そのため、患者さんにアトピー性皮膚炎の部分だけはステロイドで抑えて、ストロフルスに特化して漢方治療を行う(ストロフルス?と思われる箇所にはステロイドは使用しません)ことを提案しました。

それと、漢方薬を飲み忘れなくきっちり飲むようにお願いしました。

ストロフルスは他の皮膚疾患と比べて、漢方薬の飲み忘れによって起こる漢方薬の血中濃度の低下の影響が出やすいのです。

つまり、キチッと服用しないと効かないことが多いのです。

このやり方に変えてから、確実に皮膚の状態は改善してきました。

もう1年が経過してしまいましたが、ストロフルスの部分に関しては何となくゴールが見えてきた感じです。

今回の事で、特に皮膚疾患に関してですが、単に合う漢方薬を出せばいいという問題ではなく、どのようにどう治療してゆくか?病院の治療との併用に関してもしっかりとした治療計画や患者さんに対しての説明が必要だというのを改めて実感しました。

本当にまだまだ学ぶべきことは多いです。