当薬局にご相談に来られた円形脱毛症の患者さんの初診から完治までの1年半の経過を画像を添えてご紹介します。病院治療で改善が見られずお悩みの方の参考になれば幸いです。
ご紹介の方が親子でご相談に来られました。
この家の方たちは家族ぐるみで何かあれば私の薬局にご相談に来られているのです。
そして、今回のご相談の方は以前にもご相談に来られたことはあるのです。
その時には漢方治療するほどではないという判断だったのですが、今回の症状はというと・・・円形脱毛症だそうです。
円形脱毛症・・・これは間違いなく治療を必要とするものです。
そして、通常、治療を始めてから、体質改善するまで早い方で10か月、人によっては年単位の治療が必要になる方もおられます。
| 来局時の円形脱毛症 | 卒業時の円形脱毛症 |
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円形脱毛症は、なかなか病院でも難しい治療で、病院でうまくゆかなかった方がご相談に来られることが多いのです。
漢方の考え方・鍵と鍵穴の解説
病院では、円形脱毛症は免疫異常と捉える考え方が一般的なようで、副腎皮質ホルモン(ステロイドホルモン)剤や免疫抑制剤が使われることが多いのです。
でもうちの薬局に来られた方は当たり前ですが、それらが効かなくてご相談に来られているので、正直、それらのお薬が効くのか?については確認したことがありません。
私の所属する漢方の流派では、円形脱毛症は基本的に自律神経の乱れやストレスが原因で生じると考えています。
そのため、用いる漢方薬は自律神経を整えたり、ストレスに伴う症状を緩和させるような漢方薬なのです。
ただ、一口に自律神経を整えたり、ストレス症状を緩和する漢方薬と言っても、ものすごく種類がありますし、それらの漢方薬を組み合わせなどを考えると無限に近い種類が存在するのです。
患者さんの円形脱毛症を鍵穴に例えるなら、その鍵穴にフィットしてそのドアを開けることができる様な適当に組み合わせるとかでは、髪が生えてくることはないのです。
そのため、それぞれの患者さんの性格的なポイントや自律神経の乱れがどのように体に影響しているのか?を質問しながら絞り込んでゆくことが大事なのです。
これに加え従来の漢方的な問題や指令外の東洋医学的なチェックも合わせて、トータル的に漢方薬を選んでゆくのです。
経過①:試行錯誤と12ヶ月間の停滞
そこで、一からこの患者さんに、円形脱毛症についてお伺いしました。
まずは、円形脱毛症はいつからできたのか?についてですが、円形脱毛症は昔からよくできていたそうですが、今まではできても短い期間では治っていたそうです。
でも今回はなかなか治らないので来られたそうです。
そして、ご自身で円形脱毛症になった原因についてお伺いすると・・・人間関係や勉強のストレスではないか?と言われていました。
どういう時に症状が出たり、悪化するのか?についてもお伺いすると・・・精神的ストレス多いときに症状が出たり、悪化するそうです。
原因としては疑いようがないと思いました。
さらに、漢方的な問診や東洋医学的なチェックを行い、この患者さんに合うと思われる漢方薬を出してみることにしました。
最初に選んだ漢方薬は我慢強い方に用いるようなものでした。
そして、ご相談間隔はおおよそ2週間間隔で来られました。
次に来られた際に、再度漢方薬をチェックすると、東洋医学的には何か足りない気がしたので、緊張を取り除くような漢方薬や東洋医学的な精が漏れるのを防ぐような漢方薬を追加でお願いしました。
次に来られた際には、精神緊張が強い方に用いるような漢方薬を追加しました。
さらに次に来られた際にはストレス発散が上手ではない方に用いるような漢方を追加しました。
このように2週間間隔ですが、毎回漢方薬を変更していきました。
私の治療経験だと円形脱毛症の漢方治療にはストレス発散や自律神経を整える様な漢方薬が用いられるわけですが、ちゃんと髪の毛が生えてくるためには、その患者さんの体質にばっちり合っていないとなかなか生えてこないのです。
それはいわば鍵と鍵穴の関係のようなものです。
鍵穴が患者さんの体質に相当するものです。この鍵穴にバッチリ合う鍵でなければ当然、鍵は開かないですよね!!
その鍵に相当するのが漢方薬なのです。
合わない鍵で鍵穴に差し込んで回そうとしても当然鍵は開かないですよね!!
むしろ、無理やり回そうとすると鍵は壊れてしまいますよね。
なので、この鍵穴に合う鍵を見つけることが何よりも重要なのです。
ここに漢方治療家としての技術の差が歴然と出るのです。
通常はこの鍵穴(患者さんの体質)に合う鍵(漢方薬)を合わせてゆくのに2~3か月かかり、合う鍵(漢方薬)が見つかってからは通常2か月程度服用すると髪が生え始めることが多いのです。
ところが・・・というかこの患者さんは、最初の鍵穴(患者さんの体質)に合う鍵(漢方薬)を見つけるのにずいぶん苦労しました。
通常なら、先ほどお話ししたように2~3か月で患者さんに用いる円形脱毛症の漢方薬は固定されるはずなのに、来られる度に漢方薬を変更しないといけないのです。
この患者さんは約3か月半の漢方薬の服用で、少し髪が生え始めたのですが、それもつかの間・・・また髪が生えなくなってしまいました。
こういう経験はあまりなく・・・私も非常に悩みました。
ただ、言えることは、またお出ししていた漢方薬が合わなくなっていて、変更が必要になっているのです。
この漢方薬の変更は半年以上経っても続きました。
この長い長いトンネルに入ってしまったように治療の効果の停滞は患者さんにとっても辛いわけで、そのため、漢方薬を服用するモチベーションも低下し、それに伴って服用頻度も低下している時期もありましたし、漢方薬の効果に対して疑問を持っているようにすら感じる時もありました。
私も、ベースとなる漢方薬は合っている気がするのですが、何か決定的な見落としがあるのではないか?とは思っていました。
ただ、理論的にも経験的にも、現在出しているような漢方薬の範囲の中でずっとうまくいっていたのです。
| 2か月経過後 | 3か月後 | 4か月後 | 5か月後 |
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| 6か月後 | 7か月後 | 8か月後 | 9か月後 |
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経過②:転換点(患者さんの繊細さに対する気づき)
そこで、改めて先入観を除いて、円形脱毛症に使う使わないを除外して、この患者さんに使えそうなストレスや自室神経を整える漢方薬の中から漢方薬を広く考えてみることにしたのです。
その時にポイントになったのはこの患者さんが我慢強いだけでなく繊細だということでした。
この繊細さにフォーカスすると別の漢方薬の可能性が出てきました。
そこで、この繊細さに対する漢方薬とそれに良く組み合わせる漢方薬のパターン、今まで使っていた我慢強い人に用いる漢方薬の組み合わせのパターン、さらに繊細さに対する漢方薬の組み合わせと我慢強い人に用いる漢方薬の組み合わせのをさらに合わせてシュミレーションしてみました。そうすると、繊細さと我慢強さに用いる漢方薬を組み合わせ、さらにそれらに合う漢方薬を組み合わせると、今まで用いていた漢方薬よりもさらに良さそうな手ごたえを得ました。
そこで、試しにその漢方薬を出してみることにしました。
この漢方薬に至るまでにすでに12か月が経過していました。
| 12か月経過後にやっと患者さんの繊細さに気づいてそのための漢方薬を追加した時点の画像 |
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経過③:ついに生え始めた!〜完治までの半年間
ここまでは実際に所、円形脱毛症は横ばいか、少し悪化しているか?という感じでした。そこからさらに多少の修正を加えて約2か月半が経過しました。
そこで患者さんのお母さまが髪が生え始めましたと言われたのです。
実際に確認してみるとわずかですが、確かに生え始めています。
ただ、当初漢方薬服用から3か月半で生え始めて、そこで再び停滞してしまったので、今回はさらに漢方薬に細かい修正を加え、この患者さんの体質にバッチリ合うと思われる漢方薬まで精度を上げました。
ここまでさらに1か月必要でした。
ここからは一切漢方薬の変更はしませんでした。そして2週間毎に来られましたが、日を追うごとに症状は改善していきました。
そして約半年後に髪は完全に生えて、漢方治療を卒業できたのです。
| 漢方薬を変更して50日後の円形脱毛症 |
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| 漢方薬を変更してから70日後後の円形脱毛症 |
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| 漢方薬を変更してから約100日後の円形脱毛症 |
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| 漢方薬を変更してから130日後の円形脱毛症 |
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| 漢方薬変更後から160日後の円形脱毛症 |
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| 漢方薬変更から約180日経過後の円形脱毛症 |
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| 漢方薬変更から約200日経過後の円形脱毛症 |
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私にとっても、ものすごく苦しい治療でしたし、この治療が最初の漢方治療だったら、患者さんは辞められていたかもしれないと思いました。
とても勉強になりましたし、言葉に尽くしがたい治療となりました。
とにかく髪が生えてきて本当に良かったです。
本当に本当にホッとしました。
※漢方薬の効果には個人差があります。
※画像の掲載は患者様の了解を得て掲載しております。
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