以前、不妊治療で相談に来られていて妊娠・出産された方が、再びご相談に来られました。

二人目不妊のご相談ではなく、両手の強ばり・しびれ・むくみ、筋肉痛のような全身の痛み、などの症状が約1か月前から出てきて困っているということでした。

この患者さん、妊娠された段階ですでに40代の高齢妊娠高齢出産だったので、年齢と症状から考えると、更年期障害の可能性が高いです。

特に両手の強ばり・しびれ・むくみは一見、関節リウマチの症状のように見えますが、更年期障害の患者さんには比較的良くみられる症状なのです。

私も漢方を始めて間もない頃はこの症状を聞いた時、リウマチだと思い、専門病院に検査に行ってもらったことが数えきれない程ありましたが、リウマチの診断にはならなくて、検査上、CRPなどの炎症因子が少し高くてもリウマチ因子は異常値になっていないのです。

それでも、自覚症状とCRPからリウマチの診断を受けてリウマチ薬を服用される方もおられましたが、こういうケースの場合、あまり症状の改善が見られなかったり、その他の自覚症状が気になり始める方が多かったのです。

そして、漢方的にチェックしてみても、このような方にはリウマチの漢方薬は合わず、何度も合う漢方薬を探した結果、行きついたのが更年期障害を改善させるための漢方薬だったのです。

この更年期障害を改善させるための漢方薬を用いると、薄皮を剥ぐようにですが、症状が改善していきました。

そのような経験を何度も繰り返し、最近は症状を聞いた段階である程度推測できるようになりました。

さて、そこで、現在のそれ以外の状態をお伺いすることにしました。

漢方治療イメージ

さらに東洋医学的な体質の質問なども行い、とりあえず、腎虚メインの更年期障害の患者さんに用いる漢方薬を2週間分出しました。

そして次に来られた際に再度身体をチェックしなおすと、前回出した漢方薬はもう合わなくなっていました。

そのため、再度漢方薬を見直しました。

そうすると、やはり更年期障害に用いる漢方薬で、加齢に伴って新陳代謝が落ちてきた人に用いる漢方薬が合っているように思いました。

そこで、その漢方薬を2週間分お出しして様子をみることにしました。

それから2週間後来られた際に様子を伺いすると・・・特に変化はないそうです。

自分としては多少の改善はしても良いと思っていたのでやや拍子抜けしましたが、再度、東洋医学的にチェックしなおしても漢方薬は合っている気がしたので同じ漢方薬で様子をみてもらうことにしました。

それからも2週間間隔でご相談に来られたのですが、この漢方薬に切り替えてから、1か月、2か月、3ヶ月と経過しているのにも関わらず、患者さんの自覚症状は思った程改善しませんでした。

来られた際に都度漢方薬が合っているかどうかはチェックしているのですが、合っているのです。

なんかおかしい・・・漢方薬が合っているのにも関わらず、思ったように改善しない場合、患者さんが良かれと思ってやっている事が足を引っ張る原因になっている事が多いのです。

そのため、患者さんに改めて何か更年期障害のためにやっていることは無いか?お伺いしました。

そうすると・・・大豆から抽出した成分で更年期に良いと宣伝しているサプリを服用されていることがわかりました。

このサプリ、お姉さんがこのサプリで更年期障害が改善されたということで薦められたそうです。

このサプリをチェックすると・・・この患者さんにはあまり合っておらず、そして今出している漢方薬との相性が悪いことがわかりました。

症状改善イメージ

そこで、このサプリメントを一旦お休みしてもらうことにしました。

そうすると、止められてから1か月後には漢方薬の効果を始めて実感され、それからは来られる度に症状が改善してゆき、3か月後には、両手の強ばり・しびれ・むくみなどの症状はほとんど無くなったのです。

良かれと思ったことがマイナスに働くこともあるのです。

そして、サプリメントと漢方薬は相互作用を起こすことがあり、多くの場合それは相乗効果ではなく足を引っ張る事が多いのです。

是非知っておいてください。