基礎体温の高温期が長い時に考えられる5つの原因とその改善策について書いています。
この話をする前にまずは基礎体温について少しご説明します。
基礎体温とは安静時に測る体温のことです。
そのため、基礎体温は朝起き上がる前に寝ている状態で測定するのです。
基礎体温を測ることで何がわかるのかというと、排卵の時期の予測(タイミングをとる時期の予測)、排卵したかどうか?、妊娠したかどうか?などです。
これ以外にも妊娠しやすい体質かどうかを知ることもできます。
その話をこれからしていきたいと思います。
そもそも基礎体温の高温期が長いとは何日以上のこと?
基礎体温の高温期が長い時の原因と対策をお話しする前に、そもそも基礎体温の高温期が長いとは何日以上のこと?かについてお話しします。
基本的に基礎体温の高温期は12日~14日が標準といわれています。
そのため高温期が15日以上続くときには基礎体温は長いと考えてください。
基礎体温の高温期が長いのは何か問題があるのでしょうか?
基本的に基礎体温の高温期は短いよりも長い方が良いことが多いため、高温期が長い場合というのは不妊症の原因になることは少ないです。
しかし基礎体温の高温期が常に長いのになかなか妊娠しない方の中には漢方的な視点から見ると不妊の原因が潜んでいることがあります。
そのため高温期が長く続いていて病院でも特に問題を指摘されていないになかなか妊娠されずに悩んでおられる方は是非最後まで読んで自分がそれに該当しないかチェックしてみてください。
基礎体温の高温期が長い時の原因1 病院でのホルモン補充療法による影響
病院での不妊治療では多くの場合、ホルモン補充療法を行います。
その中でも特にゴナドトロピン製剤HMG、HCGなどに黄体ホルモンを併用するような治療を継続することによって徐々に基礎体温の低温期も高温期も長くなる傾向があります。
これは特に病的ではないことが多いので基本的に対策は必要ないと思いますが、短期間に5 kg、10 kと太るタイプの方に関して言えば、この肥満そのものが新たな不妊症の原因となることがありますので、漢方的な治療が必要になることがあります。
基礎体温の高温期が長い時の原因2 黄体依存症
黄体が何らかの原因によって黄体ホルモンを高濃度に分泌する状態を指す言葉です。
これは一見病院で使われるような医学用語に思われますが医学用語ではありません。
そのため通常お医者さんはこの用語は使いません。(お医者さんの中にもこの言葉そのものは知っている先生もおられると思います。)
この用語は不妊治療を行っている患者さんの中だけで通用する変わった用語です。
妊娠していないのに高温期が長く続くような時にその理由説明として便宜的に使われることが多いように思います。
これに対しての改善策(対策)はありません。
なぜなら原因そのものがわからないため、改善策(対策)のしようがないのです。
それに、高温期が長く続く状況というのは基本的に悪い状況でないことが多いので改善について考える必要もないことが多いのではないかと思います。
基礎体温の高温期が長い時の原因3 漢方薬による治療の影響
漢方による不妊治療で体質改善の治療を行っていく過程で一過性でみられることがあります。
実際には全体的な基礎体温の方等や他の問診症状の改善の有無や病院での検査結果などを総合的に判断してみないと分かりませんが、通常は妊娠しやすい状態に改善している兆候と考えられることが多いです。
そのため、これも特別な改善策(対策)は必要ないですし、治療の方向性が正しい場合にこのようなことが起きやすいと思います。
基礎体温の高温期が長い時の原因4 漢方理論の熱証
熱証とは漢方理論の独自の考え方で、病気の原因の1つになる要因です。
熱証とは炎症があったり、体の機能が過剰に更新したり、新陳代謝が過剰であったりする状態、感染症や精神的な過剰な興奮なども含まれます。
この状態になると必ず高温期が長くなるというわけではありません。
人によって新陳代謝が盛んになるため基礎体温の高温期が高くなったり、低温期と高温期の温度差が0.5°以上になったりすることもあります。
新陳代謝が盛んになることによって卵の発育が早くあることによって排卵も速くなり結果として基礎体温の低温期が短くなることもあります。
それが人によって基礎体温の高温期が長くなる人もいるのです。
また不正出血の原因になることもあります。
この熱証が不正出血を起こす原因を特に専門的には血熱証と呼んでいます。
熱証に対する改善策(対策)
これは漢方的には病気(不妊症)の原因にもなります。
そのためこの状態に関しては漢方的には血液の熱を冷ますような漢方薬を用います。
黄連や黄芩を含むような漢方薬を用いることが多いです。
さらに詳しく知りたい方は➡熱証
基礎体温の高温期が長い時の原因 瘀血(漢方理論)
瘀血とは血液の流れが悪い状態やドロドロ血などの意味合いとして使われることが多いようですけれども、こと不妊治療に関して言えば、瘀血というのは血虚に対しての反意語的な意味として使われることがあります。
もう少し具体的に言うと漢方で女性ホルモン不足に相当する血虚という漢方理論があります。
その反対の女性ホルモンの過剰分泌というような意味で瘀血が使われることがあるのです。
瘀血に対する改善策(対策)
血液の流れが悪い場合でも、女性ホルモンの分泌が過剰であったとしても漢方的には活血薬(血液をサラサラにする漢方薬)を用います。
実際に長年不妊治療に関わっていてみると、この活血薬は単純に血液をサラサラにしているわけではなく女性ホルモンの調整に関わっているということを実感します。
それは例えば子宮筋腫にも活血薬を用いるのですが、単純に子宮筋腫が血液をサラサラにするだけで良くなるとは考えづらいのです。
子宮筋腫は閉経すると自然に縮小してくるため、間違いなく女性ホルモンの影響を受けているわけです。
活血薬はこれと同様に子宮筋腫を小さくしてゆく作用があるので、女性ホルモンに何らかの影響を与えていると思われるのです。
不妊治療に使われる代表的な活血薬としては 桂枝茯苓丸や桃核承気湯などがあります。
まとめ
基礎体温の高温期が長い時に考えられる5つの原因と対策について書いてきました。
基礎体温の高温期が長い状態というのは人によっては妊娠しやすい症候のシグナルであったりする場合もあります。
一方で漢方的に見ると不妊の原因になっていることもあります。
この部分の見極めはとても難しいように思います。
そのため、ある程度の漢方的な知識と経験が必要になりますが、 傾向としては基礎体温高温期が37°以上であったり、低温期と高温期の温度差が0.5°以上あるような場合は漢方的に見ると病的であるケースが多いように思います。
そのような状態があって、なかなか妊娠されていない場合はご相談いただければと思います。
この他にも、基礎体温の高温期と低温期のそれぞれの長さによって、考えられる原因と改善策は異なります。下記の記事も合わせてお読みください。
1.基礎体温の低温期が短い時の4つの原因と改善策とは?
2.基礎体温の低温期が長いときに考えられる4つの原因とその対策とは?
3.基礎体温の高温期が短い時の4つ原因と改善策とは?
また、基礎体温の測り方や見方など詳しく知りたい方は➡基礎体温表のグラフの測り方や見方などを詳しく解説