ここでは冷え症と低体温と基礎体温と漢方の面白い関係についてこれからお話しします。
この記事を読んでいる皆さんの中には 冷え症があるのに基礎体温を測ったら低くない、場合によっては基礎体温がむしろ高いということで、「なんでなんだろう?」と疑問に思っている方もおられると思います。
そのなんで?という疑問に対して漢方理論を用いて説明するとなるほどと納得できることがあるので、ここではそれについて説明をしたいと思います。
まず冷え症というものに対する認識が人によってまちまちなのでそこのところから話ししたいと思います。
冷え症と言っても、実際に日中に体温(平熱)を測定してみると低い人もいますが、低くない人もいます。
冷え症の定義とは一体どういうものなのでしょうか?
冷え症とはなに?冷え症の定義について
冷え症とは冷えによって不快感を感じる状態のことを言います。
そのため特に冷えによって不快感は感じないけれども触ると冷たいというのは冷え症にはあたらないのです。
また自覚症状として冷えを感じたとしても基礎体温を測定してみると基礎体温は低くないという方は案外おられますし、逆に、冷えは感じないのに実際に体温を測ってみると低いという方もおられます。
この違いは一体どこからくるのでしょうか?
まずは分かりやすいものから具体例を挙げてお話しします。
冷え症と基礎体温のお話
基礎体温が低い、低体温(低温期が36℃未満)の場合を例に挙げてみます。
基礎体温が低体温(低温期が36℃未満)の時には、体の代謝機能は、当然低下しています。
その代謝の低下に伴う、体温の低下に対して不快感を感じれば低体温よる冷え症が起きているということになるのです。
そしてこのような状態というのは、特に妊娠に関わる基礎体温の高温期も下げる結果になりますので妊娠しづらい状況となります。(高温期で36.7°未満の状態が続いている場合、妊娠しづらい傾向があります。)
これは当たり前といえば当たり前の事なので分かりやすいと思います。
冷え症があるのに基礎体温は高い!!なぜ?
次は自覚症状として冷え症であるのにも関わらず、基礎体温が高い人について説明したいと思います。
自覚症状としての冷え症があるにも関わらず、冷えとは反対に基礎体温が高くなるのはなぜなのか?それは漢方的な理論で説明すると説明がつくのです。
冷え症なのに基礎体温が高くなる原因は瘀血です。
この瘀血とは漢方理論の一つで簡単に言えば血流障害です。
では瘀血になると、なぜ基礎体温が高くなってしまうのでしょう?
瘀血タイプの方はもともと体の中心部分(手足以外の部分)は冷えていないのです。
つまり体の中心部分の一部である子宮や卵巣の付近も冷えていないわけです。
特に子宮に関して言うと、子宮内膜が作られ、剥がれ、を繰り返しているため新陳代謝が盛んなのです。
そのため、そこでは常に熱が発生している状態が起きているのです。
そこでできた熱というのは通常、血流によって循環し、全身に分散してゆくわけです。
血流が正常に巡っていれば子宮内に熱がこもらないようになっているわけです。
ところが瘀血は血流障害が起こった状態です。
本来血流というのは循環することによって熱を運んで、全身の体温を均一にするように働いているわけです。
それによって体の中心部分の温度は過剰に上がらず、手足などの末梢には熱が行き渡るようになってるわけです。
瘀血(血流障害)が起こると本来、血流と一緒に全身に巡っていた熱が循環できなくなって子宮や卵巣内でこもってしまうため、むしろ基礎体温は高くなってしまうのです。
その一方で身体の中心部分(内臓や子宮や卵巣も含む)でできた熱を末梢まで運ぶことができなくなるため、足先などの部分は冷えてしまうという症状がでるのです。
瘀血以外に冷え症があるのに基礎体温が高くなる原因とは?
またこれ以外に気滞(肝気鬱結)という漢方理論でも自覚的な冷え性があるにも関わらず基礎体温が高くなるということが起こります。
この気滞(肝気鬱結)という状態は西洋医学的にに言えば過度なストレス状態であったり、自律神経失調症の状態に相当するものです。
通常、過度なストレスを受けると交感神経優位の状態になります。
交感神経優位になると身体(脳)は興奮し、緊急の状態に備える準備をします。
緊急の状態とは(Fight and Flight)逃走や闘争する状態です。
このような闘争か逃走できるようにためには、エネルギーがたくさん必要になります。
このエネルギーをたくさん作るためには、血糖値も高くないといけないですし、酸素もたくさん必要になります。
これらがたくさんあると新陳代謝も活発になります。
新陳代謝が活発になれば体の中の熱エネルギーも大量に発生するわけです。
そのため自律神経の交感神経が優位になると体温は高くなる傾向があるのです。
しかし一方で交感神経が興奮すると末梢の血管は収縮するようになっています。
そのため、交感神経優位になると、手と足の末梢の血管が収縮して末梢の血流が悪くなり、手先・足先が冷えるという症状が出てくるのです。
このようなことから、気滞(肝気鬱結)の状態の時には、手足が冷えるのに基礎体温は高い状態となっているのです。
この気滞(肝気鬱結)は、不妊症の原因となることがありますが、この気滞(肝気鬱結)が必ず不妊症の原因になるわけではありません。
この気滞( 肝気鬱結)が不妊症の原因となっているかどうかは、基礎体温を見ればすぐに分かります。
気滞(肝気鬱結)が不妊症の原因となっている時には基礎体温がガタガタになるのです。
そのため、基礎体温がガタガタになっていれば、気滞( 肝気鬱結)があると考えます。
ただし、それが本当に正しいかどうかは、問診などでも確認する必要があります。
そしてもし、気滞(肝気鬱結)があって、この状態に合う漢方薬を見つけることができれば、基礎体温のギザギザも減ってきますし、妊娠しやすい状態にもなってくるのです。
まとめ
冷え症と低体温と基礎体温と漢方の面白い関係についてお話してきました。
冷え症というのは単に身体が冷たいのではなく、冷えに対して不快感を伴うものをいいます。
そのため、低体温であっても不快感を伴わないものは冷え症ではないのです。
また冷え症があるのにもかかわらず、基礎体温を測ると体温が高い方は西洋医学的には説明できませんが、漢方的には瘀血や気滞(肝気鬱結)であることが多いのです。
これらは不妊症の原因となりますが、それが不妊症の原因となっているときには基礎体温のグラフにその特徴が表れます。
さらに冷え症と基礎体温について詳しく知りたい方は➡冷え性が不妊症の原因になるとは限らない!!基礎体温をみればすぐにわかります
また基礎体温表のグラフの測り方や見方などに関して詳しく知りたい方は➡基礎体温表のグラフの測り方や見方などを詳しく解説