流産後、基礎体温が高いままで下がらない方の重要な3つの原因と対策について書いています。
流産後の基礎体温に関して他の多くのサイトは高いまま下がらない場合も低いまま上がらない場合もガタガタの場合も単に不安定という一括りで大雑把に考えていますが、実際にはこの3つではその原因がそれぞれ異なりますし、対策も異なります。
そのためこれら3つは別々のものとして細分化して認識すべきです。
ここでは流産後、基礎体温が高いままで下がらない原因と対策について書いています。
それ以外は下記の2つを参考にしてください。
流産後、基礎体温が低いまま上がらない時に考えるべき5つの事とその対策とは?
流産後、基礎体温がガタガタになった時に注意すべき5つの原因と対策
この内容は過去に私の経験した患者さんが流産後に下がらなかった原因いついて具体的な例を挙げながら書いているので参考になると思います。
流産後、基礎体温が高いまま下がらなかった3つの重要な原因
流産後、基礎体温が高いままで下がらない方の原因で実際に経験した原因について書きます。
原因によっては病院での検査も必要になる場合がありますし、病院の検査では引っかからないものもあります。
特に重要と思えるものを3つ挙げてみますので参考にしてくださいね。
胞状奇胎
胞状奇胎とは異常妊娠のひとつです。
胎盤のもとになる絨毛細胞が水ぶくれを起こし、ぶどうが実っているかのように増殖したものを言います。
このため胎盤は正常に育たなくなるのです。
この胞状奇胎はそうは手術後にも再発してくることがあるので注意が必要です。
胞状奇胎の原因
基本的には染色体異常です。
主には2つの精子が卵子と受精しまう受精障害や卵子の染色体に問題があった場合に生じます。
当然異常妊娠ですので正常には胎児は育ちません。
この胞状奇胎の一部はさらに侵入奇胎という状態に変化します。
そしてさらに悪性化した場合には絨毛癌となる可能性があるので注意が必要です。
ただし、ここで重要なのは胞状奇胎は先天的な問題ではないので遺伝はしません。そのため、次回、胞状奇胎になる確率はほとんどありません。
胞状奇胎の症状
- 切迫流産の様な症状
- つわり
- 不正出血
などの症状が出てくることがあります。
胞状奇胎の検査
- 経膣超音波検査(エコー)比較的簡単に画像診断ができます。
- 腫瘍マーカーによる検査、HCGという妊娠の診断に用いる数値がマーカーの働きをしてくれます。
胞状奇胎だった患者さんの症例
うちで不妊治療をされていて、妊娠確認後、胎児の発育が不十分で、胎児の成長が止まったのにも関わらず、胎盤組織の一部だけが成長を続ける胞状奇胎と診断されました。
基礎体温は高い状態をキープし続けていました。
この状態は絨毛ガンに移行する可能性もあるため、病院によってはすぐに掻把手術を行い、場合によっては抗がん剤の投与が行われます。
この患者さんの場合も、病院の先生からは勧められたのですが、抗がん剤などを使うと、次の妊娠の許可が下りるまでの期間が延びることと、抗がん剤そのものに対する不安からこの方は漢方薬で治療されました。
治療がうまくいっているかのどうかの指標はHCG(妊娠検査の指標に使われるもの)です。
このHCGの値を追っていきながら漢方薬を服用していただきました。
この数値の下降と高いままだった基礎体温の下降はある程度相関がありました。
この方は漢方薬で最終的にHCGはゼロになり、基礎体温も正常になりました。
そして、再度妊娠し、無事出産されています。
胞状奇胎に関してさらに知りたい方は➡胞状奇胎
不完全流産
形としては自然流産なのですが、流産しても胎盤などの組織の一部が残ってしまっている場合に生じます。
症状
症状として流産したのにもかかわらず下腹部痛のような症状が続いたり、陣痛のような痛みや、出血が続いたりします。
検査方法
産婦人科などに行って、血液検査及び超音波検査などで調べます。
稽留流産後の掻把手術
稽留流産とは妊娠してから22週未満に体芽もしくは胎児がすでに死亡しているのにも関わらず子宮内に留まっている状態をいいます。
稽留流産は自覚症状がありませんから流産したことも病院に行かなければ気づきません。
稽留流産をした場合、病院によってその処置の仕方は異なります。
自然流産するまで経過を待つ病院と掻爬手術によって人工的に処置する病院の二つに分かれるのです。
稽留流産後に自然流産するまで経過を待って流産した場合というのはかなりの確率で基礎体温は下がります。
稽留流産後に掻爬手術を受けた方の一部に高温期が継続される方がおられます。
これはあくまで私の個人的な意見ですけれども、この人工的な掻爬手術によって流産の処置を受けた方は自分自身の体が流産したことを気づいていない状態が起きているのではないかと考えています。
そのため自分自身で流産したことを自覚するように漢方薬でリセットをするやり方を私は行なっています
病院での検査
病院での検査では問題ないといわれることが多いのです。
症状
無症状の事が多いですが、中にはそうは手術後に体調不良を感じたり、生理不順(次の生理が来ない)となる方もおられます。
まとめ
流産後、基礎体温が高いままで下がらない場合の3つの重要な原因と対策について書いてきました。
このような状態の中には胞状奇胎のように重大な疾患が隠れていることがありますので注意が必要です。
そのため、流産後1週間以上高温期が下がらない場合や、一度下がったのに再び上昇した場合などは病院に再受診して、経膣超音波検査や血液検査などを再度受けられることをお勧めします。
それでも、大きな問題が見つからない場合は、稽留流産後の掻把手術が影響していることがあります。
いずれにしてもこちらは漢方薬による治療が適応となることが多いですので、ご相談いただければと思います。