生理が来たのに基礎体温の高温期が高いまま?の原因と対策について書いています。
ここで書いている生理が来たのに基礎体温の高温期が高いまま?と別ページに書いている基礎体温の高温期が高いままで生理が来た?は一見同じように思えるかもしれませんが、これらは全く別の内容です。
生理が来たのに基礎体温が高いままの場合は基礎体温から見た不妊症の原因やポイントについての話になりますが、
基礎体温の高温期中に生理がきた? という内容では不妊治療な内容というよりも、基礎体温からわかる婦人科の病気の予測の話が中心になります。
そして特にこちらの内容には命に関わるような重大疾患も含まれています。
そのためこの二つは、はっきりと分けて考えるべきです。
この内容は長年基礎体温をもとに不妊治療を行ってきた漢方薬剤師としての長年の経験に基づくものです。
基礎体温の高温期が高いまま生理が来るのが何が問題なのか?
基礎体温の高温期が高いまま生理が来る場合は、西洋医学にしろ、漢方医学にしろ不妊症の原因をもっている可能性が方いのです。
そのため、今まで産婦人科などで不妊症に関わるしっかりとした検査をしたことが無ければ検査を受けてみるべきですし、もし過去に受けたことがある。
受けてみて問題なかった場合でも漢方医学的には問題があり、漢方治療した方が妊娠しやすくなるケースが多いのです。
基礎体温の高温期が高いままで生理が来る時の原因と対策
病院で不妊治療(ホルモン補充療法) の影響を受けている
病院で不妊治療のホルモン補充療法を受けていると基礎体温が長く高くなる傾向があります。
そのため、ホルモン補充療法を受けられていて基礎体温がだんだん高くなくなってきていて、なおかつ高温期であるのに出血が出るようになった場合、ホルモン補充療法の影響の可能性が高いです。
対策
基本的には特に対策する必要ありません。
ホルモン補充療法の影響ですのでやめてしばらくするとゆっくりゆっくりと正常に戻ってきますし、多くの場合、病的な問題は生じません。
ただし、基礎体温の状態が元の状態に戻るには年単位の時間が必要になります。
子宮筋腫
子宮筋腫があっても生理が来たのに基礎体温の高温期が数日続くことがあります。
子宮筋腫は場所によっては不妊治療の原因の一つとなります。
子宮筋腫はその大きさによって症状の度合いも異なってきます。
子宮筋腫が大きくなってくると月経過多、レバー状の塊が出る、重い生理痛またその筋腫が膀胱を圧迫すると頻尿になり、直腸圧迫すると便秘になります。
しかし中には自覚症状を伴わない方もおられます。
これは内診と超音波検査なのではっきりと確認することができます。
対策
病院での対策
手術による除去が一般的です。
手術を行わずに治療するにはピルを服用することによって子宮筋腫を小さくするやり方もありますが、ピルを服用していると妊娠ができないため、不妊治療されている方は手術をされるのが一般的です。
漢方による対策
子宮筋腫の大きさと年齢の問題(術後子宮が回復するまで不妊治療を休まなければならない➡半年程度、40代の高齢不妊になってくるとこの半年という期間が大きい)にもよりますけれども手術をどうしてもやりたくないという方は漢方薬による治療という選択肢もあります。
一般的に自分の握りこぶしよりも大きい大きさの筋腫は漢方薬では無理という風に考えられています。
あまり大きくない子宮筋腫が数多くあるようなケースの場合は漢方薬での治療も選択肢の一つになると思います。
その瘀血を取り除くため活血薬という血液をサラサラにする漢方薬を用います。
より詳しく知りたい方は➡子宮筋腫
子宮内膜症
子宮内膜症でも生理が来たのに高温期がしばらく続くという事が起こります。
子宮内膜症とは子宮の内膜の細胞が子宮内膜以外の所にできてしまう病気のことです。
例えば子宮内膜症が卵巣内にできてしまうものをチョコレート嚢胞といい、子宮内膜症が子宮筋層内にできてしまうものを子宮腺筋症と言います。
どちらも不妊症の原因となります。
子宮内膜症の検査としては経膣超音波断層法、CTなどの画像診断が有効です。
確定診断には腹腔鏡検査が行われます。
対処法
病院での対処法
子宮内膜症で妊娠を希望されていない方の場合は、ピルなどのホルモン剤を用いて子宮内膜の増殖を抑える治療が行われることがあります。
これは治療も簡単で身体的負担もないですけれども吐き気や頭痛不正出血などの副作用が出ることがあります。
またピルを服用している間は妊娠することができないため妊娠希望されている人には向かない治療法です。
妊娠を希望される場合は手術療法が一般的になります。
手術は腹腔鏡を用いて行われます。
手術は保存手術という形で病巣部分以外の卵巣を残します。
病巣のみを切除して癒着を剥がします。
ただ子宮内膜症は再発リスクがかなりあります。
そのため、重症化した子宮内膜症の場合は子宮内膜症の影響を受けない不妊治療(体外受精など)へステップアップすることも選択肢の一つです。
漢方による対策
子宮内膜症や子宮腺筋症など生理痛(月経困難症) などに関する治療に関しては漢方はとても有効です。
子宮内膜症による癒着が原因でキャッチアップ障害などが起きている場合は残念ながら漢方で対処する方法はありません。(ただし病院でもキャッチアップ障害を直接調べることはできませんし、確実な治療法が確立されているわけでもありません)
詳しく知りたい方は➡子宮内膜症
体に合わないサプリメントを服用している。
自分で良かれと思って服用しているサプリメントが合わないとこのように基礎体温の高温期に生理が来てしまうことがあります。
サプリメントでもミネラル系やビタミン系のサプリではこのような影響は保護を受けることはありません。
このようなことが起こるのはマカやザクロなど、女性ホルモンに影響を与えるような成分が入っていて、なおかつ服用ている人に合っていない時にこのようなことが起こります。
また漢方薬でもこのようなことが起こることがあります。
これは合っていない場合と体質改善を行っていく時に一過性でこのような状態が起きることもあります。
対策
ご自身の判断でサプリメントや漢方薬を購入されている場合は、一旦サプリメントや漢方薬をやめて様子を見てみるというのはひとつのやり方です。
もし専門的な漢方薬局、健康食品のお店などで相談をされているようであれば、そちらで 改めて相談をしてみても良いと思います。
漢方理論の瘀血がある
ホルモン補充療法などの不妊治療も行っていないし、子宮筋腫や子宮内膜症などの婦人科の病気も無いのにも関わらず、生理が来たのに高温期が続くような場合というのは、漢方理論でいうもともとが瘀血体質である可能性があります。
瘀血体質とはもともと血液の流れが悪いタイプのことです。
例えば唇が普通の方に比べて黒っぽかったり、舌を出すと舌にほくろのような点が見えたり、舌の裏の静脈が青黒く浮き上がって見えたりたりするようなタイプの方はこれにあたります。
自覚症状では足先の冷え、冷えのぼせといった症状が出やすいタイプです。
そしてこういう方は案外多くおられます。
対策
漢方でいう活血薬という漢方薬を用います。
簡単に言えば血液をサラサラにするお薬です。
詳しく知りたい方は➡瘀血と基礎体温
まとめ
ここでは生理が来たのに基礎体温の高温期が高いまま?の原因と対策について書いてきました。
明らかに生理が来たのにも関わらず、高温期が数日続くような場合の中で、気をつけるべき婦人科の病気としては子宮内膜症や子宮筋腫があります。
子宮筋腫の場合、そのできた場所と大きさによって対応は異なります。
もし、病院の医師の所見として子宮筋腫が不妊症の原因となっている場合は手術する方が早いです。
しかし術後しばらく不妊治療をお休みする必要があるため40代の高齢不妊の患者さんの場合は選択が難しいです。
子宮内膜症の場合は、手術という選択肢もありますが、子宮内膜症の影響を受けにくい体外受精へのステップアップの方が治療としては近道かもしれません。
子宮内膜症による激しい痛みは漢方でも対応できるものです。
そして、病院で原因らしい病気がない時には、生理が来たのに高温期が高いままの原因は瘀血であることがほとんどです。
そのため、そういう場合は漢方薬による治療をお勧めします。