AMH0.48、FSH約26mIU/ml、39歳の患者さん妊娠しました。
この方、2年前から不妊治療を初めて、体外受精までやってみたのですが、その時は受精卵が異常受精で卵を戻すことができなかったのです。
それ以降はFSHが26mIU/ml前後の値になって、その数値が下がるまで体外受精はできないという方針の病院だったため、1年間まるまるそれを下げるための治療を行っていたのです。
しかし、実際には全く下がらず、うちの漢方薬局に来られたのです。
最初来られた時、この数値を聞いて、きっと漢方的には腎虚(老化に伴う生殖機能の低下)の問題があるだろうと思ったのですが、実際に漢方的なチェックを行ってみたら、もともと若干卵巣機能が弱い感じ(黄体機能不全っぽい感じ)がしたのです。
黄体機能不全を漢方で考えるとその原因は血虚or腎虚、気虚が多いのです。
血虚とは女性ホルモンの不足した状態に近い感じです。
腎虚は先ほども書いた老化に伴う生殖機能の低下です。
気虚とはえエネルギー不足や気力不足、身体の機能低下などを意味があります。そそして
そしてこの方の場合は血虚の処方が出ました。
そこでそれをしばらく飲んでいただいたのです。
そうするとと、1年間今まで一度も下がらなかったFSHがすぐに正常になったのです。
これには少し驚きました。
というのも、普段はFSH(卵胞刺激ホルモン)が高くなってきたときにはそれ専用の漢方薬を用いることが多かったのです。
でも、今回はその漢方薬は用いず血虚の漢方薬でうまくいったのです。
このことを改めて考えてみると、FSHが上昇するときというのはエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌が低下している時なのです。
つまり卵巣の機能が衰えて卵胞の育ちが悪いためにエストロゲンの分泌が低下した結果、卵胞の働きを高くしようとして卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)の分泌が高まるわけです。
だから卵巣の働きが良くなると卵胞の育ちも良くなり、エストロゲンの濃度も上がり結果としてFSHの分泌量も下がるわけです。
今回の血虚の漢方薬はこのような理由で効いたのだと思います。
そして、その後何回か漢方薬を変えながらこの患者さんの治療を行っていたのです。
そして、今回始めて、正常な受精卵ができて、それを返してみたら妊娠したのです。
これにも正直驚きました。
まだ、妊娠できるレベルではないと思っていたのです。
しかし、うちの薬局で妊娠するときにはある種の法則があって・・・
私が妊娠すると思っていない方がほぼ妊娠するのです。
それにしても・・・とりあえず妊娠されて良かったです。
ちなみにこの方の通っておられた病院は体外受精はできますが、特別、早発閉経などの治療は行っていないのです。
一般のホルモン補充療法ベースの普通の病院なのです。
それでも、うまく漢方を合わせると、FSH26mIU/ml位の微妙な感じでも妊娠できるということなのです。
近くの病院しか、通うことができない場合でも早期であれば可能性はあるということです。