このページは子宮内膜菲薄(子宮内膜薄い)に関する情報ページです。

ここでは、子宮内膜菲薄(子宮内膜薄い)の症例、子宮内膜の基本的な役割や仕組み、どうして子宮内膜が厚くならないのか?の原因、漢方から見た子宮内膜菲薄(子宮内膜薄い)原因と治療法、実際の治療や費用の目安や漢方相談の流れ等についてお話ししたいと思います。

子宮内膜菲薄(子宮内膜薄い)の症例

子宮内膜菲薄(子宮内膜薄い)患者さん妊娠されました

子宮内膜菲薄の患者さん3か月の漢方薬服用で妊娠されました

胞状奇胎になり抗癌剤を使用し、その後卵胞が育たなくなった不妊患者さん妊娠されました

なぜか重なる子宮内膜菲薄患者さん改善しています

子宮内膜菲薄(子宮内膜が厚くならない)改善しました

子宮内膜の基本的な役割や仕組み

下記の図は基礎体温と卵巣、子宮内膜、女性ホルモンの関係を生理周期でまとめたものです。これをもとに話をすすめていきます。

子宮内膜と女性ホルモンと基礎体温の関係

子宮内膜は卵胞から出させる卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)の働きにより、子宮内膜は増殖し厚くなっていきます。

その後卵胞が成熟し、排卵が起こると排卵した後の卵胞は黄体へと変化します。

この黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン、P4)は厚くなった子宮内膜を着床しやすいようにふかふかにする働きと子宮内膜の厚みを維持する働きがあります。

もし、受精卵が着床した場合は、黄体ホルモンの分泌は維持されます。その結果、子宮内膜も厚い状態が維持されるのです。

着床しなかった場合は、黄体ホルモンの分泌が低下します。そうすると子宮内膜の厚みを維持することはできず、子宮内膜が剥がれて生理が起こるのです。

話をまとめて単純化すると

子宮内膜の厚さに直接関係するのが・・・卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)

子宮内膜の厚さの維持に働くのが・・・黄体ホルモン(プロゲステロン、P4)

という事になります。

つまり西洋医学的には卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)がしっかり出るようにすることが子宮内膜を厚くする治療になるのです

妊娠するために必要な子宮内膜の厚みとは

子宮内膜の理想的な数値は10mm~13mmといわれています。

8mm以上であれば、着床もしやすく、妊娠も維持しやすい

7mm~8mmは着床(妊娠)しても流産しやすい

7mm未満だと着床しずらい

これが私が過去に読んだ文献の内容をコンパクトにまとめたものですが、そういう傾向はあると思います。

この内容と私の薬局に来られている患者さんの体外受精の結果はかなり相関があるように感じています。

子宮内膜菲薄(子宮内膜薄い)の原因

①黄体機能不全

名前の通り黄体の機能が低下することによって、子宮内膜の厚みが維持できないというが一般的な解釈ですが、実際はそうではありせん。黄体の機能が低下しているということは、子宮内膜を厚くする卵胞の機能(卵胞ホルモンの働き)も低下しているということなのです。なぜそう言えるのかというと、もともとは卵胞と黄体は一緒のものだからです。卵胞が排卵したら黄体という名前に名称が変わるという決まりがあるのです。そのため、黄体の働きが悪いということはもともとの卵胞の働きも悪いのです。卵胞の働きが悪いということは卵胞ホルモンの分泌も悪い可能性が高いのです。子宮内膜の厚みは卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)の分泌によって決まっていくわけですから、黄体機能不全の場合、当然、もとの卵胞の働きも悪いのです。そのため卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)の分泌(働き)が良くなく、子宮内膜が厚くなりにくいのです。

②排卵誘発剤であるクロミフェン(クロミッド)の副作用

排卵誘発剤のクロミッドを長期間使用することで子宮内膜が薄くなる、頸管粘液の分泌が低下するという副作用は広く知られています。

ただ、これは誰でも生じるわけでは無いです。しかし比較高い頻度で発生します。一般的にはクロミッドを止めてしばらくすれば回復すると言われていますが、現実問題として回復しない方もおられます。

しかし、今後は子宮内膜を薄くするような副作用の無いレトロゾール(フェマーラ)が保険適応となったため、クロミッドの副作用による子宮内膜菲薄の問題は減っていくのではないか?と思います。

③子宮内膜の女性ホルモンに対する感受性が鈍い

これは黄体機能不全の患者さんにもみられますが、黄体機能不全の診断を受けていない患者さんにもおられます。

病院ではハッキリとした原因がわからないけれども、HMGなどの卵胞刺激ホルモン類似物質で高用量の刺激を長期続けると、何とかギリギリ子宮内膜が育つようなタイプの方です。

このタイプの方が漢方的には血虚、気虚、腎虚など虚証(きょしょう)体質の方である事が多いです。つまり、漢方治療が有効であることが多いのです。

④加齢に伴う卵胞(卵)の質の低下

加齢に伴って卵胞(卵)の質が低下してきます。そうするとそれに伴って卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)の働きも黄体ホルモン(プロゲステロン、P4)の働きも低下するのです。

臨床データ的にも加齢に伴って、子宮内膜が薄くなっていくことが証明されています。

⑤卵胞期短縮症

これは更年期より少し前くらいの時期(今までよりも卵胞の働きが軽度に低下し始めた時期)に起こることがあるものです。(全員に生じるわけではありません)

この微妙な卵巣機能の低下(卵胞ホルモンの微妙な低下)を脳が感知し、卵胞の育ちを良くするため、FSH(卵胞刺激ホルモン)の分泌を軽度高めます。

まだこの段階では卵巣の機能はそこまで衰えていないので、FSH(卵胞刺激ホルモン)の今までよりも強い刺激に対して反応し、卵胞が通常よりも速く育って通常よりも早く排卵してしまうのです。(通常は生理が来てから排卵するまでに14日くらいかかるのが一般的ですが、排卵期短縮症の場合それよりも短い12日未満である場合が多いのです)

そうすると、子宮内膜の厚みは卵胞ホルモン(エストロゲン、E2)の分泌よって促されてたわけですが、それが14日分泌されていた(刺激されていた)ものが11日とか10日しか分泌されない(刺激されない)と子宮内膜が十分育たないということになってしまうのです。

⑥流産後の搔爬手術の影響

人工妊娠中絶や子宮内膜ポリープキュレットという専門器具で子宮内膜ごと掻きだす手術です。本来子宮内膜は月経の度に再生されますが、過度の搔爬によって子宮内膜を傷つけてしまうと子宮内膜の再生が障害され、子宮内膜が厚くならなくなり不妊の原因となることがあるのです。

⑦抗がん剤の副作用

とてもレアなケースですが、稀におられます。抗がん剤にはいろいろなタイプのものがありますが、基本的には細胞分裂の盛んな場所(がん組織)に取り込まれ、その細胞分裂を阻害ことでガンの増殖を抑制するわけです。そのため、身体の細胞分裂の盛んな場所は多かれ少なかれ影響を受けるわけです。その代表的なものが頭皮(髪の毛)と胃です。どちらも細胞分裂の盛んな場所なので抗がん剤の影響を受けてしまうのです。抗がん剤は基本的に止めれば、その副作用は軽減してきますが、全く元の状態に戻るわけではありません。先ほどの髪の毛を例に挙げると、抗がん剤を止めて時間が経過すると髪の毛は確かに生えてきますが、ほとんどの方は縮れた髪の毛が生えてきます。直毛にはならない、それが続くのです。つまり完全に元の状態に戻らない事が多いのです。子宮内膜も子宮内膜の細胞が増殖して子宮内膜を厚くするわけですから、細胞分裂が盛んなのです。そのため抗がん剤の影響を受けやすいわけです。そしてその影響が人によっては子宮内膜の厚みの低下として現れることがあるのです。

子宮内膜菲薄を生じる漢方的な原因と代表的な漢方薬

子宮内膜菲薄を生じる漢方的な原因は先程書いた子宮内膜菲薄の原因で書いた事と大きな差は無いです。

ただし、実際の漢方薬による治療はここに書いた代表的な漢方薬になることは稀です。漢方的な原因が複合していたりする場合が多いためだと思います。

気虚(ききょ)

エネルギー不足が原因で身体の働きが低下しているため、子宮内膜を厚くする働きも低下しているような場合です。

普段から疲れやすく、胃腸の働きが悪く、やせ型で色白の方に多いタイプです。

代表的な漢方薬としては六君子湯(りっくんしとう)があります

血虚(けっきょ)

女性ホルモン自体の分泌が低下していたり、女性ホルモンの働きが低下している、栄養状態が良くない、貧血があるなどが原因で子宮内膜が厚くならない様な場合です。

代表的な漢方薬としては当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)があります。

瘀血(おけつ)

必ずしもドロドロ血とは限らないのですが、様々な要因で血流が悪くなっているのが原因して子宮内膜が厚くならない場合です。

代表的な漢方薬としては桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)があります。

腎虚(じんきょ)

加齢(老化)に伴って卵巣機能が低下し、それによって子宮内膜が厚くならなくなってきたような場合です。

代表的な漢方薬としては鹿茸(ろくじょう:鹿の角)製剤です。

漢方薬局ハーブスで子宮内膜菲薄のご相談について

費用の目安

1日当たり400円~600円の方が多いです。

漢方相談の間隔

最初は2週間間隔で様子をみます。その間、お出しした漢方薬が一定期間を過ぎても変わらない方はご本人様の希望によって1か月間隔に変更することも可能です。

実際の漢方相談の流れ

子宮内膜菲薄に関しては来局でも、遠方の方でも漢方相談は可能です。

詳しくは以下のページを参照してみてください。

来局される方の漢方相談の流れ

遠方の方の漢方相談の流れ