この間から新らしく子宮内膜症の患者さんが来られています。
子宮内膜症とは子宮の内膜が通常できる場所以外に子宮内膜ができてしまう病気です。
それで何が問題なのかというと、その子宮内膜ができたところは生理になるとその組織の部分が剥がれてしまうということなのです。
剥がれる訳ですから、出血したり、痛みを伴ったりするわけです。
そのため基本的に子宮内膜症は痛い場合が多いのです。
ただし卵巣内に子宮内膜がきでるような場合、つまりチョコレート嚢胞などの場合は痛みはそれほど感じない場合もあります。
でも卵巣内だけにできているケースはそれほど多くはなく、他の組織にもできているのでやっぱり痛いことが多いとは思います。
しかしおそらく子宮内膜症で一番痛いのは子宮腺筋症だと思います。
これは子宮内の筋肉の中に子宮内膜ができてしまう子宮内膜症のことです。
これは痛みも伴うし、基本的に剥がれたりしない部分が剥がれる訳ですからその血液が行き場がむずかしく、結果としてその周辺の血流障害も引き起こします。
東洋医学でいう瘀血です。
そのため子宮内膜症ができると子宮内を栄養することが普通の人に比べて難しくなります。
そのため子宮内膜症になると、かなりの確率で東洋医学的には不妊の状態になります。
逆にいえば子宮内膜症の場合、子宮内膜症の治療を行うことが東洋医学的な不妊治療になる場合が多いのです。
最も代表的な漢方薬は桂枝茯苓丸です。
これは下半身の血流を良くするお薬です。いわゆる瘀血の治療薬です。
これによって子宮内の血流が改善して妊娠しやすくなることがあるのです。
また痛みの原因を東洋医学では不通則痛といって「通じざればすなわち痛む」と考えます。
これをもう少し簡単にいうと通じていない(うまく流れてない)から痛みがでるのだという考え方です。
つまり流れれば痛みは出ないという考え方なのです。
そのため血液の流れを良くする活血薬を子宮内膜症の痛みに用いるです。
そして十分血液(血流)が流れるようになれば、痛みは減っていくのです。
ただしこの理屈も人によって異なる場合もあります。
単純なお血の状態ではなく、血虚がメインの患者さんもあられますし、血虚とお血が別々に存在する患者さんもおられますし、血虚とお血が両方混ざっている状態の患者さんもおられるのです。
そのため実際には漢方薬を合わせるのにかなり時間がかかるケースもあります。
それにしても実際気功でチェックしても子宮内膜症の漢方薬と不妊症の漢方薬は重なることが多いのです。