患者さんとして来られている息子さんの紹介で、この患者さんのお母さんが漢方相談に来られました。

この方、もう15年前から耳鳴りとめまいに悩まされているそうなのです。

もう少し詳しく症状をお伺いすると・・・耳鳴りは右後頭部あたりから聞こえてくるそうで、耳鳴りの音はキーンとかピーとかかなり高い音なのだそうです。
この耳鳴りは一日のうちで小さくなる事はあっても全く消えることはないそうです。

そして、めまいに関してはふわふわするめまいとグルグルする回転性のめまいの2種類が出てくるそうです。

このめまい、高頻度であるけれども毎日ではないそうです。

ただ、天気が悪いときや疲れた時に等には必ず症状が出てくるそうです。

そこで、これらの症状がでるようになったきっかけをお伺いすると、当時働いていた仕事のストレスではないか?と話されていました。

ここからさらに漢方的にこの耳鳴りとめまいになった原因を問診で絞りこんでゆくことにしました。

この問診の中で特に気になったのが疲れやすいということ、むくみやすいこと、胃腸が丈夫でない事、お腹が張りやすいことなどです。

これらと主訴を考え合わせると、漢方的には脾虚(胃腸が弱い)が根本原因にあるような気がしたのです。

そこで、胃腸を改善してめまいを取り除くような漢方薬が合っている気がしました。

漢方治療イメージ

そこで、その代表的な漢方薬をめまいのツボを使ってチェックしてみることにしました。
そうすると・・・ほぼ合っている気がします。

若干何かが足りない気がしましたが、この段階では正直わかりませんでした。

そのため、とりあえずこの漢方薬で3週間様子を見てもらうことにしました。

そして、3週間後来られた際、症状をお伺いすると・・・耳鳴りはひょっとしたら多少いい気がする程度でしたが、めまいの頻度は確実に減ったそうです。

特にふわふわするまめいの方はかなり落ち着いたそうです。

そして、漢方薬を服用される前は何度も起きていたのが、漢方薬を飲み始めて朝までぐっすり眠れるようになったそうです。

通常、2週間でこれくらいの改善があれば十分なのですが、めまいのツボと耳鳴りのツボの反応をチェックすると・・・もう改善は頭打ちしそうなのです。

漢方相談イメージ

そこで再度、この患者さんに合う漢方薬を探してみることにしました。

今までの話から考えるとベースとなる漢方薬は合っている気がします。

そのため、追加で別の漢方薬がさらに必要なのではないかと思ったのです。

そこで、過去の文献や耳鳴り、めまいに関連する資料などをチェックしてみると・・・

この患者さんに追加できそうな漢方薬の候補が見つかりました。

そこで、その漢方薬が合うかどうかめまいと耳鳴りのツボでそれぞれチェックしてみると・・・
合っていそうです。

そこでこの漢方薬を2週間分を出しして様子を見て頂くことにしました。

そして、また2週間後に来られた際に様子を伺いすると・・・ 今回は風邪をひいてしまったということで全体的な症状はむしろ若干悪化しているような感じさえしました。

ただ風邪をひくとめまいなどの症状は悪化することがよくあります。

そして耳鳴りそのものはなかなか改善しないものの一つなのです。

特にジージーザーザーと言う音の耳鳴りは老化に伴うものなので、患者さんによっては漢方薬が合っていたとしてもまったく改善しないこともあるのです。

この患者さんの耳鳴りの音はキーンとかピーという高い音なので、どちらかというとストレスが関わっていることが多いのです。
そのため、さらにもう2週間服用していただいて様子を見ることにしました。

そしてさらに2週間後、来ていただいて様子を伺いすると、めまいの症状は今までよりもさらに若干良くなっていました。
しかし、耳鳴りの方は大きくは変わっていないようでした。

耳鳴りに関しては先ほども書きましたように、なかなか改善しないものですし、耳鳴りのツボの反応でチェックしてもやはり合っている気がしたので、また同じ漢方薬を継続していただくことにしました。

そして、そろそろ4ヶ月が経過する時期に、再び漢方相談に来られ、様子をお伺いすると・・・右耳の耳鳴りが明らかに小さくなってきているというのです。

最初の耳鳴りの、大きさを10とすると、今どれくらいですか?
とお伺いすると、10が7位まで減ってきているそうです。

普通の症状であれば改善スピードは 遅い方なのですけれども耳鳴りで考えれば比較的早い方だと思います。

そしてめまいの症状は現在全くなくなっているそうです。

とりあえず順調のようで良かったですほっとしました。

めまいの漢方療法についてはこちら