紹介で患者さんが50代の男性の患者さんが来られました。

症状は主に咳と全身の倦怠感ですが、疲れているのに夜眠れないそうです。

もう少し詳しくお話を伺うと、咳は話をすると出る、体を動かしても出る、疲れると出る、ごはんを食べた後にもでるそうです。

そして咳は日中にも出るのですが夜がひどく、その咳は空咳だそうです。

全身の倦怠感に関しては動くととにかくしんどい、階段の上り下りがしんどい、食後もしんどいそうです。

このしんどい時には息切れも起きるそうです。

食べると体がしんどくなるため、食欲も無いそうです。

また、くしゃみや鼻水は無いそうですが痰は少し出るそうです、そして寒気が時々出るそうです。

そういう時にだるさと一緒に熱っぽさも出てくるとのことでした。

でも熱は無いとのことでした。

さらに東洋医学的な視点からもお話をお伺いして、舌の状態やそれ以外の東洋医学的なチェックを行いましたが、基本的には過労だと思いました。

漢方治療イメージ

長年の過労の蓄積によって東洋医学でいう気が消耗されてしまった気虚(ききょ:エネルギー不足)の状態のように思われました。

そこでこの患者さんには元気にする漢方薬の中から、風邪が長引いたときに使う漢方薬をチョイスして飲んでいただくことにしました。

そしてだいたい、2週間間隔でご相談に来ていただくようにしました。

最初の2週間後に来られた際に、しんどさは変わらなかったそうですが、不思議と夜眠れるようになったそうです。そして食欲は無いなりに食べれるようになったそうです。

少し改善傾向だと思いました。そして再度漢方薬をチェックして合っているみたいだったので、同じ漢方薬をまた2週間お出ししました。

そして2週間後こられた際には、ご自身で大分良くなった感覚だということでした。

咳はまだまだ出ますが、倦怠感が減ってきているとのことでした。

そして、再度お薬が合っているかチェックして、合っている感じだったので、また同じ漢方薬をお出ししました。

そしてさらに2週間後来られた際には、咳も少し減ってきたそうです。

そして食欲が出てきて、息切れも少なくなってきたそうです。

このように2週間ごとに少しずつ症状は改善していきました。

漢方薬を服用して2か月経過した頃には症状は6割消えて4割程度になったということでした。

ところが3か月経過した頃に大型ショッピングモールに買い物に2回行ってから症状が再び悪化したそうです。

養生法イメージ

咳が再び出だして、動悸も出始めたそうです。

最初はどうしてなのかわかりませんでしたが、ショッピングモールは広いので結果としてかなり歩いたのだと思います。

身体が弱っているときには長時間歩くのも体に負担になり消耗したのだと思います。

そこからは一進一退を繰り返しました。

食後にしんどくなるようになったり、寝て起きたらしんどいということも出てきました。

何かおかしい・・・薬は合っているのに思うように改善しない。こういう時には養生(患者さん自身が生活上で気を付ける事)がうまくできていないことが多いのです。

そこで、この患者さんの現在の生活について再度チェックすると、どうも仕事の業務量に波があって、現在は睡眠時間が6時間程度であることがわかりました。

睡眠時間に関しては何時間寝ないといけないということは無く、人それぞれですが、この患者さんは8時間くらい寝た時には調子が良いということなので、この患者さんには睡眠時間は8時間は必要ということなのです。

そのお話をして、極力、睡眠時間を8時間とるように心がけてもらいました。

それでも、改善がここにきて横ばいな感じになりました。

漢方薬は何度もチェックしているのですが、合っているようなのです。

そこで、再度、生活に問題が無いかいろいろお話をお伺いすると、寝る部屋に磁気や電磁波を発生させるようなものがたくさん置いてあることがわかりました。

電磁波の問題は誰でも影響するわけではないのです。

例えば、寒さに強い人と弱い人がいて弱い人を冷え症と呼ぶように、電磁波に弱い人がいるのです。

そういう人が長期間電磁波の多い場所にいると徐々に体調が悪くなっていくことがあるのです。

この患者さんもひょっとしたらそうなのではないか?と思い、この患者さんに寝室の電磁波を発生させるような物を極力片づけるようにお願いしました。

食養生イメージ

それから、2週間後この患者さんが来られた際に様子をお伺いすると・・・

びっくりするほど体が楽になったそうです。

こういうこともたまにはあるのです。

ここからまた2週間ごとに体調が改善するようになりました。

そしてここから1か月後にはご自身で自分は元気になった!!といわれていたのですが・・・

広島で珍しく雪の降った寒い日に雪かきをしたら一気に体調が悪くなったのです。

そこからは用いる漢方薬が変わりました。

もっと急性の疲労感に使えるものに変わりました。

そこから体調が持ち上がってくるのに1か月半くらいかかりました。

そして、体調が少し戻ってきた頃に、職場の大掃除一人でされて、ホコリを吸って再び悪化したのです。

恐らくホコリだけが原因ではなく、大掃除を一人でして疲れたのも原因だと思います。

どちらにしろ、また再び身体がだるく、しんどくなり、咳が出るようになったのです。そして微熱も出ているとのことでした。

ここから、漢方薬の量を増やしました。

それで2週間おきに身体の状態をチェックしたのですが、再び体調が持ち上がってくるのに2か月近くかかりました。

そして、最近は再び咳も収まり、調子が良くなってきました。

そこで、今回は患者さんに、自分の気力や体力を過信しないようにお話ししました。

私見ですが40代で1回ガクッと体力が落ちて、50代でももう1回ガクッと体力が落ちる感覚があるのです。

昔の感覚で同じように働くと体力がついて来ないから消耗してしまうのです。

そして、ちょっと体力が戻ると無理して再び悪化する。

それをこの方は繰り返しているように感じるのです。

漢方薬は万能ではありません。

昔から三漢方、七養生といわれます。(漢方薬の力が3割、あとの7割は自分自身の生活)

今回の場合は、まさにこれが当てはまると思うのです。

つまり養生(患者さん自身が生活上で気を付ける事)が漢方薬を服用する以上に大事になるのです。

皆さんもこのことをぜひ知っておいてください。