アトピーの患者さんが来られました。

この方、約2年前から指が荒れ始め、それが手全体に広がってどんどん悪化していったそうなのです。

それからしばらくは手だけが悪かったそうですが、さらに1年ぐらいした後に、膝裏や肘の内側にかゆみが出始め、さらに首まで広がったのです。

このようになった原因に心当たりが無いか?をお伺いしたところ、特に思い当たることはないということでした。

ただし、小さい頃に元々アトピーはあったそうです。しかし、小中高の学校時代は治っていたそうです。

それが社会人になり、仕事を始めてから手荒れが出るようになったそうですが、どんなにおかしくなっても手だけだったそうです。

そこで改めて、皮膚が悪化したことに関してもう少し詳しく質問してみることにしました。

まず悪化し始めた時期ですけれども、春先に悪化し始めたそうです。

ただ現在はほぼ1年を通して悪く、よくなる時期はないそうです。

また梅雨の時期にもさらに悪化する傾向があるとのことでした。

そこでさらに追加の質問を行い、悪化している皮膚の患部を見せてもらって漢方薬を出してみることにしました。

まずは肘とか膝の裏に対しての漢方薬を出してみました。

そうすると飲み始めてから明らかに肘とか膝裏の痒みは減り、綺麗になっていきました。

ところが秋口辺りから再び症状が悪化してきました。

どうも乾燥が皮膚に良くないようでした。

そのため皮膚を潤す漢方薬を使ってみるとまた明らかに改善してきました

これでしばらく症状は落ち着いていたのですが、また春先になり始めると症状が悪化してきました。

そこで最初の頃に使っていた漢方薬は使えないか、再度チェックしてみたのですが最初に使った薬はどうも合わないような気がしました。

漢方治療イメージ

そこでまた違うタイプの漢方薬を組み合わせて使ってみたところ、また症状が落ち着きました。

ところが今度、梅雨から夏にかけて再び症状が悪化したため、再度漢方薬を検討し直したところ、どうも湿気が影響しているように思われました。

そのため湿気を取り除くような漢方薬を用いてみたら、また症状が落ち着いてきました。

ところが、今度は秋になると乾燥が原因で皮膚が悪化してきたため、また今までとは別の皮膚を潤す漢方薬に変更しました。

それでまた皮膚の状態が落ち着いてきました。

このように治療開始して半年、1年、1年半と治療するうちに症状の出てくる場所は少なくなり、首や肘や足の裏などはほぼ出なくなり、症状は手に限定されてきましたが、この手の状態だけはなかなか綺麗になりませんでした。

そうこうするうちに今まで使っていた漢方薬がどれもこれもバッチリ効かなくなってきました。

いろんな組み合わせを試行錯誤しましたがどうしてもなかなか上手くいかないのです。

そこで再度この患者さんのこのアトピーを起こしている原因についてイチから考え直してみることにしました。

ストレス発散イメージ

その中で可能性があると思われたのはストレスと更年期障害でした

ストレスに関してご本人はあまり自覚されておらず、私もそれほどストレスが原因なってるとは思っていなかったのですが、今までの皮膚に使う漢方薬ではうまくいかなくなってきたので、ストレスを緩和させるような漢方薬を使ってみることにしたのです。

そうすると・・・完全ではないですが今まで改善しにくかったところに改善が見られたのです。

これには少なからず私も驚かされました。

ただこの治療も頭打ちになり、完全に手の状態が良くなるまでは至りませんでした。

そこで最後に更年期障害の漢方薬を出してみることにしてみたのです。

なぜ今までこの患者さんに更年期障害の漢方薬を出していなかったかと言うと、更年期障害の代表的な症状であるホットフラッシュや動悸やめまいなどの症状がなかったからです。

しかし、私の今までの経験から更年期障害は、ほとんどありとあらゆる症状が出てきます。

その中には皮膚の痒みや肌荒れのような症状が出てくる方もおられるのです。

そこで更年期に使う漢方薬の中からこの患者さんに合いそうなものを選んで出してみることにしました。

そうすると・・・驚いたことに、あれほど手こずっていた手の状態が見違えるほど良くなってきたのです。

私も今までいろんなアトピー患者さんを見てきましたが、これほど更年期障害の漢方薬でアトピーの状態が良くなった人を見たことがありませんでした。

う~む・・・こんなこともあるのですね。

今回、改めて先入観を持たず治療していくことの大事さを再確認しました