現在、結膜炎の治療をしている方が来られました。
この患者さん、朝起きたら目やにがひどくて困っているということで、1週間間隔で来ていただいて治療をしているのです。
この症状は徐々に良くなってきてたのですが、この度来られた際に、突然右耳からポコポコという音がするようになったといわれるのです。
この患者さんは70代の方で、もともとは右耳が痛いということでご相談に来られていたのです。
この右耳の痛みは、お話をお伺いしたところ、風邪がこじれて副鼻腔炎になり、この鼻から耳管を通って中耳炎に移行した可能性が高かったので、この患者さんの副鼻腔炎と中耳炎に共通して効きそうな漢方薬をお出しして、それがうまくいってこの治療は一旦終了したのです。
ただ、この右耳の痛みはとても辛かったらしく、耳の不調に関してはデリケートで、まずこの耳鳴りの症状を治療してほしいということでした。
通常耳鳴りの治療は普通の疾患よりも難しいです。
特に高齢になった方の耳鳴りは難しいです。
そして耳鳴りは耳鳴りの音によって治療の難治度が異なります。
その中で最も難しいのはジージーとかザーザーとか低めの音で俗にいうセミの鳴く音です。
この音を生じさせる原因は漢方的に腎虚(じんきょ)と考えられています。
腎虚(じんきょ)とは簡単に言えば老化です。
つまり老化を治すことは難しいのです。
そのため、この音の耳鳴りのご相談の時は原則お断りするか、上記の説明を行ったうえでそれでも服用されたいというケースに限りお薬をお出ししているのです。
そこでまず、この患者さんの耳鳴りの音を確認すると・・・
ポコポコと音がするだけでジージーとかザーザーとかはしないそうです。
ポコポコかあ~・・・その耳鳴りの音が治療しやすいか?治療しにくいか?はわかりません。
でもこの患者さんはこの耳鳴りを優先して治療してほしいということなので、この耳鳴りに合う漢方薬を探してみることにしました。
そうすると・・・血流を良くする漢方薬が合っている気がしました。
そこでこの血流を良くする漢方薬をお出しして1週間ごとに様子をみることにしました。
そして。1週間後は少し良くなり、2週間後は1週間後よりも若干良くなり、3週間後も若干良くなり、このままこの漢方薬で治るかと思っていたのですが、4週間後に若干悪化したと言われたのです。
そこで再度耳鳴りの状態を東洋医学的にチェックすると確かに少し良くない感じが出ていました。
そして、その原因はどうも漢方薬が合わなくなってきていることのように思われました。
そこで再び漢方薬を見直してみると・・・もう少し根本的な原因に腎虚(じんきょ)≒老化があるように思われました。
通常だとこの段階で、たぶん効果が出ないというお話をするのですが、今回この患者さんに合うと思われた漢方薬は通常使う腎虚による耳鳴りに使うものとは別のタイプの漢方薬だったので出してみることにしました。
そして1週間後来られた際に耳鳴りの状態をお伺いすると・・・
薬を変えてピタっと止まったそうです。
へえ~・・・僕の方が少し驚きました。
老化が原因でも良くなることがあるんだ・・・
患者さんも喜んでおられたし、私も勉強になりました。
ホッとしましたし、ほんと良かったです。
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