今回は『約50日続いた不正出血が治まりました』の患者さんの話の続きです。

簡単に前回のおさらいをすると、現在約50日間不正出血が止まらないということのご相談で来られたのですが、よくよくお話をお伺いすると、あまりにも多い不正出血のために貧血にもなっており、その原因は子宮筋腫(粘膜下子宮筋腫)ではないか?ということで、年齢的にも更年期にさしかかっているので、なんとか手術をせずに閉経を迎えることができないか?とご相談に来られたのです。

そこで、一応年齢や体質を考慮した子宮筋腫(粘膜下子宮筋腫)の漢方薬をお出ししたところ、約2週間の服用でほぼ不正出血は治まったのです。

ところが、というか、これには話の続きがあって、しばらくは同じ漢方薬で良かったのですが、時間が経過すると、また再び出血してきたのです。

出血量としては大量ではないのですが、少しずつしみ出るように出てくるのです。

そこで、再度東洋医学的なチェックを行うと、どうも東洋医学的に不正出血を起こしている原因が変わっているのです。

子宮筋腫が複数個ある場合、それぞれの子宮筋腫を東洋医学的に丁寧にチェックしてみると、それぞれの子宮筋腫の原因が異なっている事があるのです。

それぞれの子宮筋腫の原因が異なるということは、用いる漢方薬が異なるという事です。

そして、どうもこの患者さんの場合は、不正出血を起こす原因となっている子宮筋腫は複数個あり、そのその複数個の子宮筋腫の東洋医学的な原因がそれぞれ異なるのです。

漢方治療イメージ

そのため、それぞれ現在不正出血に関係していると思われる子宮筋腫に合う漢方薬に変更してみました。

そうすると再び不正出血は減ったのです。

そして一旦ピタッと止まったのもつかの間、また再び激しくはないですがだらだらとした出血が出てきたそうです。

そこで再度患者さんの身体の状態をチェックすると、不正出血のツボに反応が出ていたので、今度は不正出血に用いる漢方薬の中からこの患者さんに合いそうなものを選んで服用していただきました。

そうすると、また不正出血は減りました。

しかし・・・また、不正出血が始まり、再度チェックしなおすと、不正出血のツボの反応ではなく、今度は更年期障害の反応の表れるツボに反応が出ていました。

そこで、今度は更年期障害に用いる漢方薬の中からこの患者さんに合いそうな漢方薬を出してみました。

そうすると、また再び不正出血は治まったのです。

こんな感じを繰り返してはいましたが、長期間の大量出血を起こすことは無くなったので、貧血は良くなり、鉄剤は必要なくなったそうです。

ところが、また、じわりと不正出血が出てきたそうです。

そこで、改めて身体の状態を東洋医学的にチェックしなおすと、また別の粘膜下子宮筋腫が影響しているように感じました。

そのため、再びこの粘膜下子宮筋腫に合いそうな漢方薬をお出しして様子をみていただくことにしました。

そうすると再び不正出血は止まったのですが・・・なんというか、このやり方だと不正出血はある程度抑えがることができて貧血にはならないのですが、もぐらたたきのようで終わりが見えないのです。

少なくとも、このままだと体質改善までは至らない気がするのです。

みなさんは体質改善という言葉は知っていても、実際のところはわからない方が多いと思うのですが、体質改善が起こるためには、病気の原因の根幹となっている東洋医学的な原因(体質)を見つけ出さないといけないですし、その原因(体質)が改善(変化)するまで漢方薬を飲み続ける必要があるわけです。

体質改善イメージ

ではどう変化するまでか?というと、漢方薬を飲まなくなっても現在の症状が出てこないレベルまでです。

そうなったということは病気の原因となる体質が改善したと言えるのです。

その体質が改善するためには少なくともその体質に対応するための漢方薬が必要になるのですが、多くの場合、その体質を変える漢方薬というのは、変わらないことが多いですし、少なくともベースとなる漢方薬は変わらないで、それに組み合わせる漢方薬が微妙に変化していくくらいの感じなのです。

そのため、こんなに不正出血を起こした原因に対してベースとなる漢方薬を変えてしまったら、体質改善の起こりようが無いのです。

そこで、この不正出血を引き起こした複数見つけた東洋医学的原因の共通する根源的原因と、時間がかかってもそれらを同時に治療できるような漢方薬はないか?を探してみることにしました。

そうすると・・・多分ですが、それらしき漢方薬を見つける事が出来ました。

それは瘀血と血虚を組み合わせたものでした。

ただ、実際のところ、患者さんにこの漢方薬を服用していただいて、長期的な視点でチェックしてみる必要があります。

そこで、とりあえずは1週間間隔でご相談に来ていただきました。

そして、1週間、2週間、3週間、4週間を同じ漢方薬で様子をみていきましたが、この期間は初めて生理以外では出血は一切ありませんでした。

つまり、不正出血は一切なかったのです。

そのため、2週間間隔にご相談を変更しました。

やっと、体質改善の道が見えてきました。

まだまだ治療は続きますが、少しホッとしました。

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