遠方の患者さんからお電話がありました。

また、漢方相談をお願いしたいということでした。

この患者さん、以前も遠方での不妊治療の漢方相談を行い一人目のお子様を授かったのです。

この時すでに、。外受精を行っても凍結できた受精卵が1個という厳しい状況からのスタートでした。

この時は病院での高度な不妊治療と漢方薬を併用する形で何とか、妊娠・出産までこぎつけたのです。

今回は、1回目の不妊治療を始めてからすでに5年経過しています。

あの頃の印象としてはギリギリいけた!!という感じだったので、どうだろう?と思ったのですが、もう一人おられるので、今回は体外受精などの高度な不妊治療は行わないという話だったと思います。

そして現在は排卵がうまくゆかず、カウフマン療法で生理を起こさせて、生理周期が整ってきたらタイミングをとるというような治療を病院でされているということでした。

カウフマン療法を行っているということはかなり卵巣が衰えているという証拠でもあります。

漢方治療イメージ

そして、この患者さんは年齢が40歳を超え、もともと卵巣機能が良くはない状況からなので、漢方治療をすれば必ず妊娠するということにはならないですが、少なくとも今の状態よりは良くすることはできる自信もあったので、遠方の漢方相談を開始しました。

まず、再度基礎体温を送ってもらい、病院での卵胞チェックの経過などをお知らせいただき、漢方的な問診などを一通り行いました。

それらの結果、年齢的な問題及び加齢に伴う瘀血(血流障害)が生じており、それが今回の二人目不妊の原因になっているように思われました。

※この患者さんはもともとは気虚(エネルギー不足)体質で疲れやすく、それが原因で一人目はなかなか妊娠されず、身体を元気にする漢方薬(補気薬)を服用されて体調が改善し、妊娠されたのです。そこから考えると、体質が変わったということです。その体質が変わった大きな要因は加齢だということです。

そのため、加齢に伴う血流障害を改善する漢方薬を服用してもらい様子を見ることにしました。

この患者さんの場合は遠方ということもあり、基礎体温の変化がはっきりわかる4週間間隔で漢方相談を行いました。

漢方薬を服用されて、すぐに自覚症状が変化はしませんでした。

最初の段階で気にされていたのは下半身の冷えと疲れやすさ、胃腸の不調等でした。

基礎体温も極端に悪いという程ではありませんでした。

ただ、時々卵胞が育っていないことがあるのをこの患者さんはとても恐れていました。

冷え症や身体の疲れやすさ、胃腸の調子は気が付けば改善していたようです。

卵胞は感覚的には四季ごとくらいの頻度で育っていませんでした。

妊活イメージ

二人目不妊を開始されてからは病院でAMH(抗ミュラー菅ホルモン)の値を測っていないようなので、正確なことはわからないのですが、恐らくAMH(抗ミュラー菅ホルモン)の値がかなり低くなっているのだと思われました。

卵巣内の残卵数が減っているため、たまたま、その月に育つ卵が無いという現象がAMH(抗ミュラー菅ホルモン)の値の低い40代の患者さんでは比較的よく見かける現象なのです。

この方もそうだと思いました。ただ、漢方薬を服用して育たない頻度は四季ごと位から半年に1回くらいに改善したように思います。

これは漢方薬を服用して卵巣内の卵が増えたわけではなく、体質に合っている漢方薬を服用することで残っている卵が効率よく育つようになるからではないか?と思います。

漢方薬を服用してある程度、自覚症状も改善し、卵胞もコンスタントに育つようになったころに突然基礎体温が乱れ、排卵していないと病院で言われたと連絡がありました。

漢方的にはまだ漢方薬は合っている感じがしました。

そういう時には大体、良かれと思って新しく始めたことが、その方に合っていないことが多いのです。そのため、ここ最近、何か新しく始めてたことはありますか?とお伺いすると・・・

卵巣のために豆乳を毎日欠かさず飲むようにした時期と一致していました。

豆乳画像

基礎体温もちょうどその頃から乱れ始めていました。

そのため、とりあえず豆乳を一切やめてもらいました。

そうすると、それ以降はまた基礎体温も正常に戻り、卵胞も育つようになったのです。

そこからさらに数か月後、何となく基礎体温の感じが良くない感じになりました。

また、何か別の妊活方法を取り入れたのかかな?と思ってお話をお伺いしましたが、特に何もしていないとのこと。

そこで、改めて漢方的に身体の状態をチェックしてみると、どうも加齢に伴って、もう一ランク卵巣の機能が低下した感じを受けました。

そして、今のこの患者さんに合う漢方薬は完全に腎虚(老化)が原因で起こる不妊症に用いるものでないと対応できない気がしました。

ただ、この患者さんに今まで出していた漢方薬に比べ金額がかなり上がってしまうのです。

この患者さんは二人目不妊ということもあり、妊活にかけれる予算があまりないということで、今までもできる範囲で対応していたのですが、今回の場合はどうしても、用いる漢方薬、生薬が高価になるので、どうしても予算オーバーしてしまうのです。

その旨を伝えて、少し考えてみてくださいというお話をして連絡を待つという状態でした。

そして約1か月後にこの患者さんから連絡があり、妊娠されたということでした。

病院の先生に診てもらって大丈夫だろう、という話でうれしくて連絡したということだったのです。

私、本当に驚きました。

この方は気が付けば43歳で、純粋にタイミングによる自然妊娠だったのです。

しかも、私からしたら、基礎体温の状態も良くなくて、かなり卵巣機能が低下してきているヤバイ状況だったのに、漢方薬以外何もしていなかったということなので、本当?という思いもかなりありました。

またこんな状態でも妊娠できるんだ・・・と人の身体をすべて分かることはできないんだな・・・と改めて教えられました。

妊娠されたことをわざわざご連絡いただいたこともうれしかったですし、このまま無事出産まで行ってもらいたいと思います。

本当に良かったです。

 

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