LHサージの後に排卵しない時に考えられる原因と対策について書いています。

読者対象はLHサージを確認した後に排卵していない方、LHサージと排卵の関係について詳しく知りたい方です。

この内容は長年、基礎体温をもとに不妊治療を行ってきた漢方薬剤師としての経験に基づくものです。

LHサージの後に排卵しないと何が問題なのか?

もしLHサージの後に常に排卵しないのであれば、どんなにタイミングをとっても妊娠できません。

多くの方は妊娠するタイミングを知るために基礎体温をつけられています。

そのタイミングに排卵していないのであれば 基礎体温をつける意味はありません。

そのためLHサージの後に排卵しない原因について知り対策できることに関しては対策を行うことが重要になります。

LHサージの後排卵しない時に考えられる原因の多くは黄体化未破裂卵胞(LUF)

LHサージの後排卵しない時に考えられる原因の多くは黄体化未破裂卵胞(LUF)です。

黄体化未破裂卵胞(LUF)とは 卵胞が成長しているにもかかわらず様々な原因によって排卵できずにそのまま黄体化した卵胞のことを言います。

通常は卵胞が排卵することによって黄体なるわけですけれども排卵が起こっていないにも関わらずその卵胞が黄体化するということが特徴なわけです。

黄体化未破裂卵胞(LUF)は排卵していないわけですから妊娠もしないわけです。

なおかつ黄体化未破裂卵胞(LUF)は2次的にさらに問題を生じることがあります。

それは黄体化未破裂卵胞(LUF)が卵巣の中に残っている状態では次の不妊治療をすることができないのです。

それは黄体化未破裂卵(LUF)胞からホルモンが分泌され、それが新しい卵胞などにも影響を与え、排卵障害や不正出血の原因となることもあるからです。

黄体化未破裂卵胞(LUF)は誰にでも起こる自然なことで問題はその頻度なのです。

黄体化未破裂卵胞(LUF)は排卵のある女性であれば誰しも起こりうる事です。

黄体化未破裂卵胞説明イメージ

全生理周期に対して7%の頻度で起こると言われています。

つまり14回に一回一、年とちょっとの間に1回ぐらいは自然にこういうことが起こるわけです。

そのためたまたまこの黄体化未破裂卵胞が(LUF)生じていたとしても、それがまた1年半後に起こる程度であれば何も気にする必要はないわけです。

このLHサージが出ているのに排卵していない状況が一年に何度も起こるようであれば、それは問題があると思います。

ここで一つ注意すべき ことがあります。

黄体化未破裂卵胞(LUF) はいくつかの器質的な原因によって起こる病気ですけれども、それらの原因がなくてもこの黄体化未破裂卵胞(LUF)を起こすことがあるのです「。

それは鎮痛剤の服用です。

具体的に言えばボルタレンやロキソニンなどの鎮痛剤をこの排卵が起こる時期に服用すると排卵が起きにくくなることがあるのです

これは体の中で作られるプロスタグランジンという成分と関係してると言われています。

この成分は痛みや炎症に関係する物質なのですが、 ボルタレンロキソニンなどの消炎鎮痛薬はこのプロスタグランジンを作られなくすることで痛みを抑えているのです。

そのため痛み止め(鎮痛薬)を日常的に使われている方は黄体化未破裂卵胞(LUF)を起こしやすいのです。

黄体化未破裂卵胞(LUF)の基礎体温

LHサージの確認方法として基礎体温を付けられている方は黄体化未破裂卵胞(LUF)かどうかをある程度推測することができます。

黄体化未破裂卵胞(LUF)の基礎体温は2層に分かれますが、高温期が10日程度と通常に比べ短いという特徴があります

ただし、この基礎体温は黄体機能不全の方でも見られますので、これだけで完全に判別できないかもしれません。

黄体化未破裂卵胞(LUF)の基礎体温

黄体化未破裂卵胞(LUF)を起こす原因疾患とその対策について

重度の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

重度の多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)になると卵巣の膜が硬くなり排卵しづらくなります。

過去に私の薬局に来られたことがある患者さんでも最もひどい人は1年に1回も排卵しないという方もおられました。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の治療としては基本的には排卵誘発剤による治療です。

これでうまくいかない場合で、インスリン抵抗性を示す場合はメトホルミン製剤(グリコラン)などの糖尿病薬を併用することがあります。

より詳しく噫りたい方は➡多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

クラミジアや淋病に感染したことがある

クラミジアや淋病に感染すると卵巣周辺に癒着を起こすことがあります。

もし過去にクラミジアや淋病に感染した経験があれば一度腹腔鏡による検査をした方が良いかもしれません。

過去に腹膜炎を起こしたことがある。

過去に腹膜炎を起こしたことがある方も卵巣付近に癒着を起こすことがあります。

骨盤内の手術を受けたことがある

骨盤内の手術を受けたことがある方も腹膜炎を起こしたことがある方と同様に卵巣付近に癒着を生じる可能性があります。

子宮内膜症

子宮内膜症は子宮内膜の細胞が子宮内膜以外の場所にできる病気のことです。

代表的なものとしてはチョコレート嚢胞です。

チョコレート嚢胞は卵巣の内側の中に子宮内膜の細胞ができてしまう病気です。

この子宮内膜の細胞は生理の度に剥がれ落ち出血を起こします。

その出血したものが卵巣内に溜まっていき、腫れてチョコレート色になったものがチョコレート嚢胞なのです。

このチョコレート嚢胞ができている場合かなりの確率で卵巣周囲にも癒着を生じます。

それが排卵障害の一つとなります。

それと同時に子宮内膜症は卵巣の外側の膜を厚くして排卵を難しくしてしまいます。

つまり子宮内膜症は卵巣の外側の膜自体を厚くする働きとその周辺に癒着を引き起こすことがあるため、それが併発した場合はかなりひどい排卵障害となります。

これに対する治療は内視鏡による剥離手術です。

ただし子宮内膜症というのは原因もはっきりしておらず、治療しても再発のリスクは高いです。

そのため、重度の子宮内膜症になった場合は排卵障害の影響を受けない体外受精へステップアップすることの方が望ましいと思います。

より詳しく知りたい方は➡子宮内膜症

重度の高プロラクチン血症

重度の高プロラクチン血症も黄体化未破裂卵胞を生じさせることがあります。

高プロラクチン血症はプロラクチンの値を下げるため、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を抑制するのですが、それによって2次的に黄体形成ホルモンLHの分泌も抑制されてしまうのです。

そのため、ここに上げた他の疾患に比べるとLHサージは十分出ない可能性もあります。

より詳しく知りたい方は➡高プロラクチン血症

まとめ

LHサージの後排卵しない時に考えられる原因と対策について書いてきました。

LHサージの後排卵しない原因は黄体化未破裂卵胞(LUF)であることが多いという事です。

ただし、それが1年半に1回程度起こるのであれば気にする必要はありません。

もし、1年に数回起きるのであればそれは病気の原因が隠れているかもしれないので腹腔鏡などによる検査が必要です。

もし検査を受けて問題ないのにもかかわらず、黄体化未破裂卵胞(LUF)が高頻度で起きる場合は痛み止めが関係していることがあるので注意が必要です。

上記の原因以外でLHサージの後排卵しないなどのお悩みがありましたら、ご相談いただければと思います。

このページと関連の深いページ➡基礎体温の高温期が短い時の4つの原因その対策とは?

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