体外受精の適応について
体外受精は人工授精に比べ費用も非常にかかりますし、体外受精をおこなえば必ず妊娠するわけでもありません。しかし自然妊娠で授からなかった場合には人工授精に比べれば、明らかに妊娠率は上がります。ここで言えることは一般的なことになるのですが、どういう方が体外受精を行うべきなのかについて書いてみたいと思います。
高齢の不妊(40歳以上の不妊治療)
これは必ずではないのですが、妊娠できる時間的な問題を考えると体外受精の方が結果が早く出る可能性が高いです。確率的にも、女性ホルモンの分泌の低下や子宮や卵巣の器質的な疾患(子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、チョコレート膿腫など)、卵管の問題など様々な疾患、症状を持っている可能性も高まりますし、同世代の可能性の高いご主人も男性不妊である可能性もあるため、それも加味すると体外受精の行う方がいい場合が多いように思います。
フーナーテスト(ヒューナーテスト)で結果が良くなかった場合
フーナーテスト(ヒューナーテスト)は精子の問題及び、精子と子宮の相性をみる検査でもあります。そのためフーナーテスト(ヒューナーテスト)で問題があった場合は人工授精以上の治療が望ましいわけです。
人工授精を6回以上行っても妊娠していない場合
一般的な話ですが6回程度人工授精を行っても妊娠しない場合、より高度な原因が関係している可能性が高いと判断される場合が多いのです。そのため、体外受精を行った方がよいと考えられます。
抗精子抗体などの問題がある場合
子宮頸管粘液に抗精子抗体が存在する場合、妊娠率は極端に下がります。そのため精子を直接卵子に入れる顕微授精も含め体外受精の方が望ましい場合が多いのです。
ご主人に男性不妊がある場合
ご主人の方に、無精子症、乏精子症(精子減少症)、精子無力症、精索静脈瘤などの男性不妊の原因がある場合、体外受精以上の治療を行う方が妊娠率は高まります。
卵管が原因の不妊症
卵管に原因があると精子が卵子と受精することができなくなります。そういうケースの場合は体外受精しか方法がないこともあります。
卵管閉塞が原因の場合
卵管閉塞を起こしている場合、片側だけでも通っている場合は人工授精でも妊娠することはありますが、両方が閉塞している場合は体外受精以外に方法はありません。
卵管を切除している場合
卵管での子宮外妊娠が原因で卵管を切除している場合などは、自然には妊娠できないケースがあります。
キャッチアップ障害がある場合
卵管采の付近が癒着していて、卵をうまくキャッチできなくなっている場合(キャッチアップ障害)には直接受精させて子宮に戻す体外受精のほうが妊娠しやすいです。
排卵障害がある場合
多のう胞性卵巣など卵巣に問題があり、排卵をうまく起こすことができない場合は、体外受精の方が圧倒的に妊娠しやすいと思います。
原因不明の長期間の不妊症
体外受精で本当にうまくゆくのかはわかりませんが、今までのやり方では妊娠していないという点から別の方法として体外受精をすることで妊娠したというケースもあるのです。