ライフステージとは人生の変化を節目で区切った、それぞれの段階(ステージ)のことです。

女性のライフステージは多くの場合、女性ホルモン(エストロゲン:卵胞ホルモン)の働きと関連することが多いです。
その場合、
女性のライフステージは

  1. 思春期・・・女性ホルモン(エストロゲン:卵胞ホルモン)の分泌が増え始める時期
  2. 成人期(性成熟期)・・・女性ホルモン(エストロゲン:卵胞ホルモン)の分泌が最も盛んになる時期
  3. 更年期・・・女性ホルモン(エストロゲン:卵胞ホルモン)の分泌が急激に減少し始める時期
  4. 老年期・・・女性ホルモン(エストロゲン:卵胞ホルモン)の分泌が少なくなった時期

に分けることができます。
このようにライフステージごとに女性特有の病気になることを知っておくことで、予防に役立てることができたり、早期に自分の病気に気づいて早めに対処することができる可能性が高まります。

今回はまずは思春期のステージについてお話していきたいと思います。

成人期についての記事はこちら
更年期・老年期についての記事はこちら

日本産婦人科学会では思春期とは「初経(初潮)が始まってから月経が安定するまでの期間」と定義されています。実際の年齢としてはおおよそ8歳~18歳を指す言葉です。
思春期は生理が始まる時期でもあり、第二次成長期と重なり、生理不順やニキビなど女性ホルモンの乱れによる病気になりやすい時期です。またライフサイクルも小学校、中学校、高校と目まぐるしく移り変わり、人間関係や環境も1年ごとに劇的に変化したりする時期です。これと感情的には多感な時期と重なり、メンタル的な問題を起こしやすい時期でもあります。また、身体が劇的に変化する時期でもあるので調節機能が乱れやすい時期でもあり、そのような病気になりやすくもあります。

1.ニキビ(尋常性ざ瘡:じんじょうせいざそう)

ニキビ(尋常性ざ瘡:じんじょうせいざそう)を生じさせる原因として、不規則な生活習慣、偏った食事、ストレス、誤ったスキンケア、アクネ菌の繁殖など様々ありますが、思春期のニキビにはホルモンバランスの乱れも関係していることが多いです。
これらの原因が複合することで結果として、皮脂の過剰な分泌による毛穴のつまりからニキビに移行することも多いのです。

ニキビ(尋常性ざ瘡:じんじょうせいざそう)用いる代表的な漢方薬

清上防風湯・・・いわゆる青春のニキビに用いるファーストチョイスの漢方薬、赤味や化膿のひどいニキビに用いることが多い。

桂枝茯苓丸加薏苡仁・・・女性のニキビに用いることが多い。食生活が乱れていて、甘いお菓子やコッテリしたものを食べすぎているタイプに用いることが多い。

当帰芍薬散・・・女性のニキビに用いる。症状はそれほどひどくないが、生理後に悪化するようなニキビに用いることが多い

ニキビ(尋常性ざ瘡:じんじょうせいざそう)の養生法(生活上の注意点)

夜更かしをしないように、できるだけ規則正しい生活を心がける。お菓子の摂取を控え、食事のバランスを整える。中でも緑の濃い野菜は積極的に摂取するようにする。

2.摂食障害

思春期の場合は、家庭環境の問題や思春期に伴う女性の美しさを過度に意識する精神性、精神的な不安定さ、対人関係のストレスなどなど様々な要因が絡み合って摂食障害を引き起こします。
思春期の多くの女性にはやせることに対する願望があり、ダイエットが引き金となって、摂食障害を引き起こすことがあります。
また、過度なストレスが引き金となって摂食障害を引き起こすこともあります。
漢方では胃腸の働きを整える漢方薬や自律神経、情緒を整える漢方薬などを組み合わせ摂食障害にアプロオーチします。

摂食障害に用いる代表的な漢方薬

過食に用いる代表的な漢方薬

甘麦大棗湯・・・緊張を緩めることで過食を緩和できる場合があります。

拒食に用いる漢方薬

抑肝扶脾散・・・ストレスが原因で拒食になった場合に良いといわれています。

六君子湯・・・もともとが胃腸虚弱があり、食べたいと思っても食べられない場合に用います。

拒食と過食を繰り返すような場合に用いる代表的な漢方薬

半夏厚朴湯・・・感情の浮き沈みが激しい方に用いることの多い漢方薬です。

3.生理不順

思春期の頃はまだまだ卵巣機能が未熟なため、毎月決まった間隔で来なくても心配する必要はありません。
しかし、それが、一度生理が来たのにも関わらず、3か月以上来ないような場合(無月経)や1か月に2回も3回も生理が来るような状況が続く場合(頻発月経)は、急激なダイエットをした後に生理が突然来なくなった場合(体重減少性無月経)、15歳を過ぎても一度も生理が来ていない場合などは婦人科の病院で検査してみることをお勧めします。
漢方的にはホルモンバランスの乱れやストレスや寝る時間や起きる時間など不足な生活によっても生理不順を引き起こすと考えます。
そのため、ホルモンバランスを整える漢方薬を用いるとともに生活習慣を整えるような指導を行います。

思春期の生理不順に用いる代表的な漢方薬

芎帰調血飲第一加減・・・生理が始まった頃からの体質的な生理不順に用いることが多いです。

加味逍遙散・・・精神的なストレスなどが引き金になって生じる生理不順に用いることが多いです。

当帰芍薬散・・・生理の量が少なく、生理痛が重いタイプの方に用いることの多いものです。

桂枝茯苓丸・・・生理の量が多く、足先が冷えるなど血流に問題があるタイプの方に用いることの多いものです。

4.起立性調節障害

起立性調節障害とは自律神経の乱れが原因で調節機能が失われて生じる病気です。以前は起立性低血圧と言われていました。
自律神経の中でも交感神経の働きが不十分で立ち上がる時や起き上がる時に、血圧がすぐに上昇しないため、頭への血流が不足し、結果として立ち眩み(めまい)、ひどければ意識障害を起こすこともあります。またそれ以外に、倦怠感、気分不良、朝起きれない、動悸などの症状を生じることもあります。
そのため、漢方的には自律神経を整えるような漢方薬を服用していただきながら、自律神経を整えるための生活リズムを整えるような指導を行います。

思春期の起立性調節障害に用いる代表的な漢方薬

苓桂朮甘湯・・・起き上がる時、立ち上がる時クラッとくるようなタイプの方に用いることの多い漢方薬です。

補中益気湯・・・もともと血圧が低い傾向にあり、倦怠感を伴うようなタイプに用いることの多い漢方薬です。

逍遙散・・・汗の分泌の乱れ、生理不順、頭痛、過敏性腸症候群などもともと自律神経の乱れやすい方に用いることの多い漢方薬です。

まとめ

思春期は身体が劇的に変化する時期で、調節機能が乱れ、病気や体調不良を起こしやすい時期でもあります。
漢方薬局ハーブスでも思春期のニキビや生理不順のご相談が多く寄せられています。
ハーブスでは漢方療法だけでなく、食事や生活習慣からのアドバイスも行っていますので、体調不良にお悩みの方はご相談ください。

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