子宮内膜症と子宮内膜増殖症とても似通った名前ですよね。

そのため、これらの病気は同じような病気なのかと思われる方もいると思うのですが、全く異なる病気です

ただし、名前が似通っているだけに共通する部分もあるのです。

そのため、ここでは子宮内膜症子宮内膜増殖症の共通点と相違点について、お話ししたいと思います。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の定義

まず、子宮内膜症と子宮内膜増殖症のそれぞれの定義について、お話しします。

子宮内膜症とは

子宮内膜症とは子宮内膜組織が子宮内膜以外の場所で異常に増殖する病気です。

その子宮内膜ができる部位によってチョコレート嚢胞子宮腺筋症など別の病名がつけられることもあります。

子宮内膜増殖症とは

子宮内膜増殖症とは子宮内膜組織が子宮内膜で異常に厚くなる(増殖する)病気です。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点と相違点

この二つの定義から子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点と相違点を表にまとめるとこのようになります。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の定義の共通点と相違点

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の原因

さて次に、子宮内膜症の原因と子宮内膜増殖症の原因について、比較していきます。

子宮内膜症の原因

子宮内膜組織が生理時に卵管を通って腹腔内 に逆流するのが原因とか腹腔内の細胞が子宮内膜に化生した説などありますが、はつきりとはわかっていません。

子宮内膜増殖症の原因

様々な要因によって卵胞ホルモン(エストロゲン)が過剰になることが原因と考えられています。

主な要因としては黄体機能不全や 多嚢胞性卵巣症候群、エストロゲン剤の単独服用もしくはエストロゲンを主成分とした薬剤の服用によって生じるというふうに考えられています。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点と相違点

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の原因の共通点と相違点をまとめると以下のようになります。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の原因の共通点と相違点

 

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の症状

それでは次に子宮内膜症と子宮内膜増殖症の症状についてそれぞれお話ししていきます。

子宮内膜症の症状

子宮内膜症の主な症状としては 生理痛月経痛 が一番多いです。

それ以外には性交痛や排便痛、腰痛、生理の時以外の痛みなど痛みに関する症状が多いです。

それ以外に子宮内膜症が子宮筋に来そうな胃にできる子宮腺筋症などになると過多月経などの症状も出てきます。

子宮内膜増殖症の症状

子宮内膜増殖症の症状で最も多い症状は不正出血です。

それ以外に多いのは過多月経です。

それに伴う貧血などの症状も多いです。

それ以外に生理痛も見られることがよくあります。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点と相違点

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の症状の共通点と相違点をまとめると次のようになります。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の症状の共通点と相違点

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の治療

それでは次に、子宮内膜症と子宮内膜増殖症の治療について、それぞれお話しします。

子宮内膜症の治療

子宮内膜症の治療は何を主眼に置くかによって治療は異なってきます。

痛みを取り除くことに主眼を置いた場合、消炎鎮痛薬を用いる事になります。

子宮内膜症の進行を防ぐことに主眼を置いた場合は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の働きを抑えるような治療を行います。

妊娠を希望されている患者さんの場合は、手術による治療が優先されます。

子宮内膜増殖症の治療

子宮内膜増殖症の治療も何を主眼に置くかによって治療は異なってきます。

ただの子宮内膜増殖症の場合は6割以上が自然によくなるため、経過観察するケースも多いです。

正出血や過多月経が多く、それらをコントロールするだけであれば、黄体ホルモン剤による治療も考えられます。

しかし、子宮内膜異型増殖症の場合は妊娠を希望されないのであれば子宮の全摘出の手術が基本になります。

ただし、妊娠を希望される場合は、掻爬手術と高濃度の黄体ホルモン剤の服用などを併用するような形で治療が行われます。

しかしこれも子宮内膜増殖症が軽度であればという前提に基づきます。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点と相違点

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の治療の共通点と相違点をまとめると次のようになります。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の治療の共通点と相違点

※補足

治療に関して言えば、子宮内膜症の場合、妊娠希望かそうでないか?子宮内膜症はそれが内膜症なのか?チョコレート嚢胞なのか?子宮腺筋症なのか?そして、その症状の軽重などによって治療方法はケースバイケースです。

子宮内膜増殖症の場合も子宮内膜増殖症なのか?それとも子宮内膜異型増殖症なのか?その症状の軽重、および妊娠希望があるか?ないか?などによってケースバイケースであることを追記しておきます。

まとめ

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点と相違点について、その定義、原因、症状、治療法などの視点から書いてきました。

子宮内膜症と子宮内膜増殖症の共通点で重要なポイントはどちらの病気もその由来は子宮内膜組織であるということです。

そのため、この組織の生理的な働きが(月経周期に基づき剥がれて出血する)共通するため、部分的に共通する症状が生じるのです。

そして、この子宮内膜組織というのはエストロゲン(卵胞ホルモン)の影響を強く受けるというところも共通するのです。

そのため、治療法が一部分共通するのです。

一方、相違点として重要なのは、病気の原因となる組織は子宮内膜であり、共通なのに、病気が発症する場所が異なるため、異なった症状を引き起こすことがあるのです。

それに伴って治療法もそれぞれ異なってくるのです。