チョコレート嚢胞のある患者さんが来られました。
この方、子宮内膜症が原因で卵巣嚢腫の一種であるチョコレート嚢胞になってしまったのです。
子宮内膜症があるので生理痛もかなりあるのです。
漢方薬を服用されてから生理痛は減っては来ています。
ただ、全くなくなるというところまでいかないのですが、今までのように、痛み止めを飲まなくても我慢できる程度までにはなりました。
自覚症状の改善は比較的早かったのですけれども、チョコレート嚢胞が小さくなるには当初時間がかかりました。
というのも、基本的にチョコレート嚢胞は漢方的に考えると瘀血なので、この瘀血を改善するために活血薬という漢方薬を服用するのですが、他の疾患と比べるとチョコレート嚢胞はなぜか活血薬の効きが悪いのです。
そのため、チョコレート嚢胞が小さくなるのに思った以上に時間がかかりました。
その後も相談に来られるたびに漢方薬の組み合わせなどを微調整し、服用していただいていたのですが、それでも思ったほどの劇的な改善は見られませんでした。
そのような経過もあって、チョコレート嚢胞はなかなか難しいなと思っていたのですけれども、一時期、チョコレート嚢腫の漢方治療に関する論文を書くため、 漢方だけでなく、チョコレート嚢胞や子宮内膜症などについて西洋医学的にかなり詳しく調べたことがあるのです。
その時に読んだ文献の内容の中に漢方治療に利用できるのでは?と思われることが書かれてあったのです。
それで、その西洋医学的な知識を手がかりに漢方薬を探してみると、今まで使ってた漢方薬とは違う漢方薬で効くのではないかという結論に至ったのです。
その漢方薬を実際に使ってみたら、今までだったら半年間でほんのわずかしか小さくならなかったのですけれども 一気に4センチぐらいあったチョコレート嚢胞が無くなったのです。
ただし、消失したのは片方だけで、まだもう一方は極端には小さくはなっていないです。
恐らくチョコレート嚢胞と一口にいっても、実際には右と左では漢方的にみて生じる原因が異なる場合があるのだと思います。
漢方薬の場合、その生じた原因に対してアプローチできる漢方薬でないと効かないのです。
それにしても・・・
今も日々漢方の勉強はしているのですけれども、漢方治療する上で西洋医学的な知識を詳しく知ることも大事だなということを改めて実感しました。