不妊症の患者さんが来られました。 この方は他の患者さんからの紹介で来られたのです。

この方は現在のところ、病院に通い始めて2年経つそうなのですけれども、タイミング療法だけを行っているのです。

2年のタイミング療法の期間というのは一般的に考えると長いのですが、1年前に自然妊娠されているのです。
ただ、残念ながら、最終的には、稽留流産にされてしまったのです。

また、この患者さんは右の卵管に閉塞があり、病院でFTを勧められているそうなのです。

このような状況で友人の方の勧めもあって私の薬局に相談に来られたのです。

まず私がこの患者さんにお話ししたのは、とりあえず不育症の検査を受けてほしいということです。

基本的に不育症(習慣性流産) というのも、3回以上流産した時に受ける検査なのですけれども、人によっては3回流産してから検査したのでは手遅れになることがあるからです。

特に40歳を過ぎて高齢になってきたケースの場合は、一回でも妊娠するというのは大変になってきます。

そのため、ワンチャンスをものにするという事がとても大事になってくるのです。

この患者さんもちょうど40代に入って来たところなのです。

とにかく気になるのは、妊娠されたのに一度稽留流産されたということです。

そのため、次妊娠した時は無事に出産まで至るように準備しておくことが重要になるのです。

漢方治療イメージ

そして次に、漢方的な体の状態をチェックしてみました。
そうすると、やはり不育症の反応が出ているような気がするのです。

そこでこの患者さんには不育症に用いる漢方薬 を使うことにしました。

それから数ヶ月同じ漢方薬を服用していただいたのですけれども、もうそろそろ人工授精、体外受精とステップアップしていこうという話になったのです。

そこで病院で精液検査をしてみたところ、1回目の 検査では運動率が0%、それから4日後に再度、検査をしてみたのですけれども、その時でもわずか8%弱しかありませんでした。

それでびっくりしてご主人の漢方薬も出して欲しいということになったのです。
そこでご主人の状態をチェックしてみると、漢方的に言えば血虚と腎虚が混在しているな状態でした。

そのため、それに合う漢方薬を探してみることにしました。

そうすると、その漢方薬は男性不妊としては割とポピュラーなものなのですけれども普通の人に比べてその必要量が多かったのです。

この漢方薬を約1ヶ月半飲んでいただいて再度精液検査を行ったところ、運動率が70%にまでアップしていました。

また正常形態率(精子の奇形を表す指標) も3%と(正常値4%以上に比べて)悪かったのに対し、一か月半後では11%まで改善していました。

とりあえず、ご主人に関しては男性不妊の状態では無くなりました。

不妊治療はまだまだこれからですけれども、少しほっとしました。