HPを見て患者さんが来られました。

ご相談内容は無月経(生理不順)です。

最初に相談した病院では低用量ピルを出され、それを数年間服用されていたのですが、それを飲んでも無月経が改善されることは無いことに気づいて止めたそうです。

そしてそこ後、再度無月経について相談して黄体ホルモン剤を出してもらって服用しているそうですが、確かに黄体ホルモン剤を服用すれば生理は来ますが、排卵が起こることは無く、このまま治療を続けていても自然に排卵するようになることは無いと分かったのでご相談に来られたのです。

そこで、いつから無月経(生理不順)になったのか?やそうなった経緯についてお伺いしました。

無月経の方の多くは生理が始まった頃から不順だった方が多いのですが、この患者さんは無月経になったのは学生時代でご自身では食生活や生活リズムの乱れが原因ではないか?と言われていました。

ただ、その点を反省し、社会人になってからは食生活や生活リズムをできる範囲で整えたのにも関わらず、無月経は一向に改善する気配も無いという事でした。

また、病院で何か検査を受かられたか?をお伺いすると

血液検査は行い女性ホルモンの値を測定してもらったら、FSH(卵胞刺激ホルモン)よりもLH(黄体形成ホルモン)の値の方が高かったそうです。

漢方治療イメージ

LH(黄体形成ホルモン)/FSH(卵胞刺激ホルモン)が1以上の場合、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)である可能性が高いです。

ただし、多嚢胞性卵巣症候群と診断される際にはさらに、生理不順と卵巣にネックレスサイン(卵巣内に未熟な卵胞がたくさん数珠状に連なっている)が揃った場合なのです。

この患者さんは生理不順ですから卵巣にネックレスサイン(卵巣内に未熟な卵胞がたくさん集数珠状に連なっている)があれば多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されるのですが、病院ではネックレスサインは無いと言われたそうです。

なので、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)気味くらいという感じで話を濁されたみたいです。

ただ、どちらにしろ産婦人科での治療は排卵をさせるための治療はしていなかったので、漢方で少し時間がかかっても体質改善して自然に生理が来る身体になりたいというお話でした。

そこで西洋医学的な血液の検査結果をさらにチェックしてみました。

そうすると、プロラクチン(乳汁分泌ホルモン)という母乳を出すのを促すホルモンの値も高かったのです。

これも排卵障害を引き起こす要因になります。

さらに東洋医学的な問診を行い、漢方的には少なくとも瘀血(おけつ⇒血流障害)と血虚(けっきょ⇒女性ホルモンの働き不足)があるように思いました。

養生法イメージ

そこで最初はこの瘀血(おけつ)に対する漢方薬と血虚(けっきょ)に対する漢方薬を併用して飲んでいただくことにしました。

この患者さんは無月経になられてから結構時間が経過してたので、そんなに簡単に生理は来ることは基本的には無いと思っていました。

順調にいったとしても半年後くらいに生理がき始めれば上出来だったりするのです。

ただ、患者さんの養生法(生活上注意するポイント)をチェックしたり、漢方薬のずれがひどくならないうちに修正する目的もあって2週間間隔でご相談に来ていただきました。

そして2週間ごとに養生の仕方と漢方薬が合っているかどうかの確認、漢方薬がずれてきていれば修正などを行いました。

そして2週間、4週間、6週間、8週間と漢方相談に来られて、やはり生理は来ませんでした。

そして10週間目も生理は来ませんでした。

現在、不定期に通われている産婦人科では3か月生理が来なかったら来てくださいと言われていて、そうなったら黄体ホルモンが出て生理を起こすということでした。

そして12週目にご相談に来られた際にお話をお伺いすると・・・

体質改善イメージ

生理が来たそうです。

良かった・・・

この患者さん基礎体温もつけておられるので基礎体温をチェックしてみると・・・

高温期がありません・・・なので無排卵月経です・・・

それでも、とりあえず生理が来たのは良い事なので、ちょっとだけホッとしました。

それから漢方薬は変えず40日弱で再び生理が来ましたが、その際もやはり無排卵月経でした。

そこからはしばらく生理が来ず病院に行かれたら、排卵する気配は無いと言われ黄体ホルモンが出たそうです。

どうも、この漢方薬の組み合わせではここまでが限界かもと思い、漢方薬を見直してみることにしました。

そこからは多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に用いる漢方薬ではなく、生理不順に用いる漢方薬、また最初に出した漢方薬の組み合わせ、自律神経の調整に用いる漢方薬など漢方薬の組み合わせを等変えながら色々試していきました。

その中で自律神経を整える漢方薬にして再び不定期ですが生理が来るようになりました。

でもやはり無排卵月経でした。

無排卵(月経)の基礎体温

 

そして、生理の量や日数などは十分ではなく、この漢方薬の組み合わせは完全ではない気がしました。

 

それでも生理が比較的定期的に来るようになったので、漢方薬を変更する踏ん切りがつかず、約半年くらいこの自律神経を整える漢方薬を用いました。

でも、この漢方薬では排卵することが無かったので、また漢方薬を変更してみることにしました。

そこで再度この患者さんの状態を一からチェックしなおして生理が始まってからずっと生理不順みたいな人に用いる漢方薬に変更してみました。

そこから2か月後に初めて排卵検査薬で排卵陽性反応が出ました。

漢方治療を始めてから約1年と4か月が経過していました。

丁度この時期と前後して患者さんが結婚されました。

本当に久しぶりに自力で排卵したことも、今までの経緯もあり、結婚直後ですが、すぐに妊活に入られました。

漢方薬は大きくは変えずそのまま継続しました。

そして再び2か月後に自力で排卵し、生理が来ました。

その次の月も排卵しましたがきっちり1ヵ月ではありませんでした。

その次の月も排卵し生理が来ましたがやはり、タイミングはずれていました。

ところがその次の月は排卵しませんでした。

そこで、自力で排卵できるようになってきたことも分かったし、今の不定期な排卵だとタイミングをとることが難しいという事で、次の月から排卵誘発剤を使ってタイミングをとることにされたのです。

ところが排卵誘発剤を使ったのに次の月も排卵しませんでした。

そのため、次の月は排卵誘発剤を変更してまたタイミングをとることになしました。

この月は上手く卵胞は育ってそれに合わせてタイミングをとられました。

そしてこのタイミングで見事妊娠されたのです。

漢方相談に来られてから2年弱の時間が流れましたが、自力で排卵するようになってタイミングで妊娠されたのは本当に良かったです。

ホッとしました。

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