HPを見て患者さんが漢方相談に来られました。

症状は非結核性抗酸菌症(肺マック病)です。

非結核性抗酸菌症(肺マック病)に関しては、私の薬局ではある程度、漢方的な治療法が確立できているのですが、今回のご相談は非結核性抗酸菌症(肺マック病)の治療ではなく、病院では非結核性抗酸菌症(肺マック病)の治療を受けてかなりひどい視力障害が出てつらいので何とかしてほしいというご相談でした。

非結核性抗酸菌症(肺マック病)の病院での治療では基本的に3種類の抗生物質を用いるのが標準的な治療です。

この抗生物質というのがクラリスロマイシン、エタンブトール、リファンピシンの3つなのです。

そして、この3つの抗生物質の併用は非常に副作用の出やすい組み合わせとして、知られてます。

これらの組み合わせによって、肝障害や皮膚アレルギー、視力障害、白血球や血小板の減少などが知られています。

中でも、視力障害はエタンブトールを服用した際に出てくる可能性のある副作用でこの薬の組み合わせで2〜3%の確立で出てくることがわかっています。

ただし、通常はこの組み合わせで約4ヶ月服用されてから出てくるのが一般的なのですが、この方は服用してすぐにこの症状が出てきたそうです。

そして、視力はみるみるうちに悪化し、1.0だったものが1ヶ月後には0.1まで悪化したそうです。

そこから、視力が回復する気配が無く、担当医の先生に視力回復の見通しについて聞いても、眼科に行って専門医の先生に相談してくださいとしか言われないことに不安を感じ相談に来られたのです。

正直、このエタンブトールの副作用による視力低下に対する漢方治療は経験したことがありませんでした。

そこで、改めて漢方的な問診を行い、可能性の高そうな漢方薬をとりえあず2週間服用していただくことにしました。

それから2週間おきに相談に来られたのですが、相談に来られて3回目まではまったく症状の変化はありませんでした。

このままこの漢方薬で良いのか随分迷いましたが、患者さんは、病院でもいつ治るかとか全く眼科に通っても単に経過観察だけで、治療らしいことはしてもらえないということで、辛抱強く続けてくださいました。

そして服用を始めてから約2か月後に来られた際、目の具合はどうですか?とお伺いしたら、少し見えるようになってきたそうです。

病因で視力検査をしてもらったところ0.1だった視力が0.3まで改善したそうです。

この話を聞いて本当にホッとしました。

それから、さらに1か月後に来られた際に様子をお伺いすると、あれから視力検査はしていないけれど、前より見えるようになってきているそうです。

今まではボールペンで書いた字が読めなかったそうですが、読めるようになったそうです。

ただ、まだ車の運転は怖いそうなので、していないということでした。

最初はどうなることかと思いましたが、何となく道が開けてきた気がします。