紹介で患者さんが来られました。
症状は多汗症です。
病院で治療を受けたのだそうですが、改善しなかったためご相談に来られたのです。
この方の多汗症は、全身に汗をかくタイプの多汗症ではなく、主には手の汗に悩んでおられるのです。
厳密に言えば、手汗、脇汗、足の裏の汗です。
この手汗、脇汗、足の裏の汗はセットで症状がでることが多いのです。
これらの汗によって特に症状が悪化した際は汗疱のような症状も出るそうなのです。
この汗に関してですが、漢方的に解釈すると五志(心因性・自律神経の調節系)の問題であることが多いのです。
そこで、この患者さんにどういう時に起こりやすいか?とかをお伺いすると
物理的に刺激を受けた(手すりを握るとか、手をこする)時でも、もちろん症状は出るのですが、それ以外に、緊張したりするような時に汗の量が増えるそうなのです。
この症状の出方はこの患者さんに限ったことではなく、手汗でご相談に来る患者さんのほとんどがそうなのです。
それ以外にこの患者さんは朝起きた段階から手汗が出るそうです。
おそらく、朝起きた段階で交感神経のはたらき物凄く活発になっているのだと思います。
この症状がいつから出始めたのかお伺いすると、小学校の頃だそうです。
それ以外に汗の出る状況やこの患者さんの漢方的な体質を見極めるため、それ以外にも東洋医学に即して質問を行いました。
そして、この患者さんに合いそうな漢方薬を見つけることができました。
そこで、この漢方薬をとりあえず、2週間分お出しして様子をみることにしました。
そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・
少し良くなっているようでした。
朝起きた段階で出ていた汗が、もう少し後から出るようになったそうです。
そして、漢方薬を服用されると、少し気持ちが落ちつくそうです。
この話を聞いて、私は少し驚きました。
2週間前、この患者さんには精神的な汗を減らす可能性のある漢方薬だと説明していたのですが、この漢方薬を飲んだら気持ちが落ち着きますとは一切説明していなかったのです。
でも、この漢方薬は直接汗を減らすというより、テンパった気持ちを落ち着かせるための漢方薬だったのです。
その部分を狙って結果として汗が減るように意図していたのです。
その意図を服用した結果、感じとるなんてなかなか珍しい事なのです。
それでも、2週間経過すると漢方薬がずれていることもあるので、再度この患者さんに合っているかどうかチェックすると・・・まだ合っているようした。
そのため、同じ漢方薬を服用して様子をみてもらう事にしました。
とりあえず、最初の読みは間違っていなかったようで良かったです。