以前、漢方相談に来られていた患者さんから久しぶりに連絡がありました。

今回はお子さんをみてほしいということでした。

症状をお伺いすると、主な症状が腹痛だという事でした。

それが原因でもう1週間以上学校に行けていないとのことでした。

この電話をいただいた段階では、この以前来られていた患者さんのお名前と顔が一致しなかったので、初めて腹痛のお子さんのご相談でお電話されてくる親御さんにお話しするようなお話をしました。

内容としては、

①ご本人が来られずに代理でのご相談は受け付けていないこと。これは当然の話なのですが、舌の状態や顏色、漢方的な体質を知るために直接患者さんをみた方が良いということと、しゃべり方や質問したことにどのような口調でどのようなトーンでどのようおに返答されるのか?目を見て話されるのか?うつむいて話されるのか?質問したことに対してダイレクトに答えが返ってくるのか?少し話が脱線されるのか?こういったところにその方の性格的なものが出てきます。後にも書いていますが、腹痛は感染症でなければ精神的な問題で生じることが多いのです。そして、その精神的な問題とその方の性格は無関係ではないのです。
例えば、不安神経症という病気にはもともと心配性の人になりやすく、楽天的な人はなりにくいわけです。そのため、その患者さんの性格的な特徴を捕まえることが腹痛(過敏性腸症候群)の漢方治療の治療をする際とても大事なのです。そのため、腹痛の治療の際は必ずご本人様に来ていただくようにしているのです。

 

②食あたりや感染症ではない腹痛で長期間、学校をお休みされている場合、その多くは心因性(精神的ストレス)が原因でベースに学校に行きたくないという気持ちが存在していることが多く、その理由のために無意識に腹痛を起こしていることが多いと私は感じています。そのため、仮に漢方薬で腹痛を軽減・消失させたとしても、そのことで学校に行かない理由が無くなってしまうため、症状が改善したのに、漢方薬を飲まなくなるケースが多いのです。
また、仮にそのまま腹痛が無くなったとしても、今度は別の症状を出して(あくまで本人は無意識です)学校に行けない理由を作り出そうとすることもあるのです。
漢方薬で症状を改善させたり、消失させることはできる場合が多いですが、学校に行きたいという気持ちにさせる漢方薬は無いのです。
そのため、ご本人が学校に行きたいか、行きたくないかはものすごく重要な問題なのです。

以上のようなお話をしたところ、お子様は学校には行きたがっているということだったので、直接来ていただいてみてみることにしました。

漢方治療イメージ

そして、久しぶりに来られた親御さんを見てすぐ思い出しました。

心の病で来られていて漢方で完治した方でした。

その後お子さんともお話しして、本当に学校には行きたいということが分かったので、このお子さんに合う漢方薬を探してみることにしました。

東洋医学的な体質を知るための質問に加えて、性格的な特徴を知るための質問を行い、それらを総合してこの患者さんに合うと思われる漢方薬をとりあえず2週間出してみることにしました。

そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

漢方薬を飲み始めてから1回も学校を休んでいないとのことでした。

腹痛は全く無くなった訳では無いけれど学校を休まないといけない程の痛みではなくなり、その頻度と度合も格段に減ったという事でした。

これはちょっと出来過ぎなので、逆に反動が来ないか?は心配なのですが、取り合えず症状が良かったです。