紹介で患者さんが来られました。

病名は非結核性抗酸菌症(肺マック症)です。

この方は4~5年前に気管支喘息になり、その数年後肺炎になったそうですが、病院の治療で症状は治まったそうです。

ところが再び、咳などの症状が出て病院で検査してもらったところ、非結核性抗酸菌症(肺マック症)の診断を受けたそうなのです。

そして、病院で治療を受けて一旦は陰性になったそうですが、去年、ひどい咳と黄色と緑、どす黒い色の痰が出るようになり病院で検査してみてもらったところ、非結核性抗酸菌症(肺マック症)の再陽性の診断を受けたそうなのです。

その後病院で治療を受けたそうですが、今回は十分な改善が見られず、現在は病院での治療はしていないそうです。

そこで、漢方的に現在の状態をお伺いしいたところ、私が思う、非結核性抗酸菌症(肺マック症)の方に共通するような症状はほとんど見当たりませんでした。

体重も50kg台の後半で、体重減少もなく、疲れやすくもありませんでした。

あと喉や気管、気管支、肺などの呼吸器の過敏な感じもありませんでした。

正直、非結核性抗酸菌症(肺マック症)っぽくないなと思いました。

漢方治療イメージ

そこで、漢方的にこの患者さんに合う漢方薬を探してみると、通常、私の薬局で非結核性抗酸菌症(肺マック症)に用いる漢方薬では無いものが合っているように思いました。

この漢方薬はこじれた風邪に使うようなものでした。

しかし、現在のひどい咳と黄色と緑、どす黒い色の痰の治療には良いように思われたので、取り合えず2週間服用してもらうことにしました。

そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・痰の色は変わっていないそうですが、痰の量は明らかに減ったそうです。それに伴って咳も減ったそうです。

そこで、さらに改善スピードを上げるため、養生法を実践してもらうためにお話をしていたら、この方、いろいろな健康食品やサプリメント漢方生薬やハーブを服用されていることがわかりました。

その中には感染症を悪化させ、現在の症状である痰の量を増やしたり、痰の色をより濃くしたりする可能性の高いもの

も複数ありました。

そのため、今回は現在服用されているそれら一切を止めていただくようお願いしました。

そして漢方薬だけにしてさらに2週間お出しして様子をみることにしました。

その2週間後には痰の量も減り、それに伴って咳の量も減りました。そして痰の色も薄くなっていました。

その後も2週間間隔で来られて、約2か月後には痰と咳が出なくなりました。

その後も2週間間隔で来られ、主な症状は消えてもまだ、喉の奥に詰まった感じがあるとかを訴えられていました。

そして漢方薬を服用されてから3ヶ月後に病院でレントゲン検査を受けた段階では良くも悪くもなっていないという診断だったそうです。

症状改善イメージ

そこからは、自覚症状としてはほぼ何もない状態が続きましたが、病院でも肺~気管支にかけて白い影は残ったままでしたし、漢方的にもまだ治っていない状態だったので、漢方薬を継続して服用していただきました。

そして、時々風邪を引かれた時だけ少し症状がでたりしました。

また、春先には黄砂やpm2.5の影響で咳や喉の調子を若干悪くしましたが基本的には状態は安定していました。

そして漢方薬を服用されてから約10か月経過した段階で再び病院でレントゲンの検査を受けられたところ、肺の白い影が消失しているため、もう経過観察する必要はないと言われたそうです。

個人的には非結核性抗酸菌症(肺マック症)に使わない漢方薬で症状が改善したので原因は違うのではないか?と思っているのですが、患者さんはとても喜んでおられたので良かったです。

ただし、まだ漢方的には治っているという状態までは至っていないので、もうしばらく漢方薬は服用していただくことにはなります。

さらに非結核性抗酸菌症(肺マック症)に興味のある方は→非結核性抗酸菌症(肺マック症)のページ