今日は早発閉経と食養生の基本について書いていたいと思います。
早発閉経の患者さんの中にはよく「不妊に効く食べ物はないですか?」ということを尋ねられる患者さんがおられます。
基本的に不妊症を治すほど効くものはないです。
なぜならそれは食べ物だからです。
食べ物というのは作用が弱いから食べ物なのであり、だから毎日食べれるのです。
作用が強ければそれは薬になってしまいます。
なので毎日食べれるようなものというのはそれほど劇的に体を変えたりするようなことはないつまり治療というレベルにはならないというのが本当のことなのです。
「じゃあ食事に気をつける必要なんてないんじゃないか!!」と思うかもしれませんけれども、それもまた違っています。
食べ物の位置づけというのは漢方的には養生法の一つなのです。
養生法ってわからないかもしれませんけれども、簡単に言えば日々の生活上の注意点のことです。
それをするとどんな良いことがあるのかと言うと、今の状態をこれ以上悪化させないで維持させるという事があります。
ピンとこないかもしれませんけれども、例え話をすると、不妊治療というのは綱引きみたいなものなのです。
体を良くしようとする方向と悪化させようとする方向のそれぞれ綱を持つ人がいてどっちに引っ張る力が強いかで勝負が決まるわけです。
例えば病院の治療は味方の方の綱を引く方になりますし、体に合った漢方薬などを服用することも自分の味方の綱を引っ張ることになります。
では食べ物はどのような位置づけになるかと言うと、合っているものを食べている時というのは恐らく味方に微妙に加勢しているかもしれません。
けれどもほとんど引いていないみたいな感じです。
合わない食べ物を大量に食べているとどうなるか?と言うと、イメージとしては相手側に手を貸すような形になってしまうわけです。
治療を必要とするような病気というのは相手側の引っ張る力が常に強い状態です。
合わない食べ物を常に食べるというのは、味方側を休ませないで相手に常に加勢するようなことと同じで味方の力も落ちてしまうわけです。
なので大したことをしてないように思うかもしれませんけれども、体に良い食べ物を食べるということは 地味に意味があるのです。
あともう一つ重要なことがあります。
人間の体というのは多くの細胞が3ヶ月ぐらいで入れ替わるわけです。
そしてそれは食べたものによって作り変えられていくわけです。
残念ながら卵子は女性の方が赤ん坊として生まれた時から存在していて、それそのものは作り変わることはありません。
しかし、その卵子を栄養する細胞などは入れ替わったりするわけです。
その周辺の卵子を栄養する細胞を良くして卵子を良くしようというのが漢方治療であったりするわけです。
食べ物というのはその周辺の細胞 が入れ替わる時にその材料となるわけです。
つまりその食べたものがその周辺の卵子を栄養する細胞になるわけです。
そのため 身体に良い食べ物を取るというのはとても 大事なことです。
しかし身体に良いものを食べれば不妊症が治るとか、不妊症を治す食べ物がどこかにあるのではないかと探すとかまでなってしまうと、それはちょっと行き過ぎた考えだと思います。
食べ物は薬ではないから食べ物なのです。