アトピー性皮膚炎痒疹のある患者さんが来られました。

この方、アトピーは40年以上前から(小児の頃から)良くなったり、悪くなったりを繰り返しながら、ずっと続いているのですが、痒疹は5年前から突然発症したのです。

痒疹に関して心当たりを聞いてみても、特に思い当たることはないそうです。

この5年間は痒疹を治したい一心で皮膚科に通っていますが、一向に治る気配がなく、むしろどんどん悪化してきているため、うちに通われている患者さんから話を聞いて漢方相談に来られたのです。

実際来られて最初に見た印象はかなりひどいです。

まず、顔の目立つところに痒疹がいくつもできているのです。あとは手にもでています。
実際には服で見えないところにも、無数の痒疹が出ているそうです。

そこで、アトピーと痒疹の相談で来られたのですが、とりあえず痒疹の治療に専念して、痒疹が改善したら、アトピーの治療をしたらどうかと提案しました。

患者さんもそうしてほしいと言われたので、そういうやり方でやってみることにしました。

まずは病院の皮膚科で受けている治療のことなどお伺いしその後に漢方的な問診を行いました。

その後に再度、痒疹部分の患部を詳細にチェックしていました。

そうすると用紙の中でも明らかに見た目の違う発疹が二パターンあるように思いました。

このことから、痒疹を起こしている漢方的な原因は、少なくとも二つはあるのではないかと思いました。

この中の一つは、私の過去の経験から言うと、体に元気がなく、弱っているため、自分で治す力が不足して慢性化してしまう時の状態に見えました。

そのため、身体を元気にして皮膚の再生を促進するような漢方薬が合っている気がしました。

そこで、そのような働きがある漢方薬の中からこの患者さんに合いそうなものを一つ選んで、その漢方薬をとりあえず、一週間服用していただくことにしました。

そして一週間後、来られた際に様子を伺いすると、なんとなく皮膚の状態が良いそうです。

実際に 皮膚のツボの反応でチェックしてみても確かに改善している気がします。

そのため同じ漢方薬でさらに2週間様子を見ていることにしました。

そして2週間後、来られた際に、再度、皮膚の状態をチェックしてみると・・・さらに2週間前よりも少し良くなっています。

今回は傍から見ても少し改善が見えます。

ご本人も調子が良いということなのでさらに3週間後に来ていただくことにしました。

そして3週間後に来られた際に撮った写真画像がこれです。

来局当時
痒疹(漢方薬服用前)
漢方薬を1か月半服用後
漢方薬1か月半服用後の痒疹

明らかに改善してきています。

そこで同じお薬をと思ったのですが再度チェックしてみるとこの薬がちょっとずれてきている気がしましたそのため今回は漢方薬を変更してお出しすることにしました。

それでも来るたびに少しずつ目に見えて改善してきているという事で患者さんも喜んでおられますし、私もホッとしました。