気管支拡張症の患者さんが来られました。

この患者さん漢方を服用されて約1年になります。

最初の方は肺マック(非結核性抗酸菌症)の疑いもあり
、いくつかの病院でかなり細かな検査を受けていたのです。

その結果少なくとも今のところ非結核性抗酸菌の存在は認められないということだったのです。

肺マック症非結核性抗酸菌症の患者さんの場合は気管支拡張症を併発していることが多く気管支拡張症だと思っていたら肺マック症だったということももちろんあるのです。

最初は病院で漢方を出してもらいたいと思って、肺マック症に詳しい病院に行ったそうなのですが、その病院では漢方を出してないということでネットで探して私の薬局に来られたのです。

この方の気管支拡張症と思われる症状が出始めたのは2016年の初め頃で、インフルエンザにかかった後、インフルエンザは治ったけれども黄色い痰が出続けるという症状が続いたことが原因と本人は思われているようです。

さらにこの患者さんは、その数ヶ月前に歯が炎症して頬が腫れたとことが関係してるのではないか?と言われていたのですけれども、それはさすがに今となってはわかりません。

気管支拡張症イメージ

気管支拡張症の症状が重くなってきたのが約1年後の2016年の夏頃で、このころから極々たまに、少しだけ血痰が混じるようになったそうです。

その1年後の2017年頃からは、波がありますが、月に1回程度血痰が出るようになったそうです。

タンに関してはかなり気になるようで日中でも横になってから 起きると5分から30分以外にほぼ必ず、 黄色い痰が出るそうです。
また、部屋がクーラーなので寒くなっても黄色い痰が出るそうです。

あと気になってることは喉はイガイガしやすいことと、息をすることに違和感があるそうです。

咳は意外にもあまり多くなく痰の量そのものも極端には多くないそうです。

これらの症状をもとに、この患者さんの気管支拡張症に合う漢方薬を調合しました。

この患者さんの場合煎じ薬の方が良い気がしたので煎じ薬でまずは1週間服用していただくことにしました。

そして1週間後来られた際に話を伺いすると、
極端に悪くないそうですが一回だけ薄い血痰が出たそうです。

そこで再度漢方薬をチェックして、漢方薬の組み合わせを変えてまた1週間分お出しすることにしました。

漢方治療イメージ

そして、 一週間後来られた際に様子を伺いすると・・・良い感じだそうです。

血痰も今のところ出ていないそうです。

元々咳は少なかったそうなのですけれども、咳もほとんど出ていないそうです。

そこから2~3週間おきに来ていただいたのですが、 服用されておよそ1か月半後ぐらいには、漢方薬を服用している限りは気になることがひとつもない。
という状態まで改善しました。

ただし、まだ薬を飲み忘れたりすることがあると、
黄色い痰などの症状が出てくることがあるので飲み続けたいと言われてずっと継続して飲まれていました。

そして約1年ほど経過して、 患者さんが漢方薬を数日間連続で飲み忘れても血痰や黄色い痰、咳、息苦しさなど何も症状も出ず、
呼吸器のツボの反応でみても、もう問題らしい問題も何も感じなくなりました。

そこでそろそろ、漢方治療終了しようという話をしました。

しかし、この患者さんは漢方薬がなくなったらとても不安だから、どうしても続けたいという風に言われたのです。

ずっと合っていた漢方薬でも、体質が改善し、その病気の原因がなくなると、その漢方薬が必要でなくなったりします。

そうすると、その漢方薬を飲むことで、むしろ体調を崩すことが出てくることがあるのです。

今回の漢方薬はそうなる可能性があるのではないかと思いました。

どうしようか?私の方が少し困ってると患者さんから、このまま風邪をひかないような元気な体にしてほしいというような話がありました。

体質改善イメージ

そうすると、風邪をひきにくくするような元気にする体質改善の薬が使えるかもしれないと思いました。

しかし、実際に風邪ひきにくくするような体質改善の薬をチェックしてみても、この患者さんにはどれ一つ合いそうなものがありませんでした。

そこで患者さんに子供の頃に、体の状態はどうだったですか?という話を聞いてみると、とても健康優良児だったとの事でした。

そのような元々が健康だった体質の人に対し、体質改善の薬というのはなかなか難しいのです。

そこでまた違う方向から考えてみることにしました。

人の体質というものに関係する要因にはいくつかのものがあります。

親からもらった生まれながらの体質は非常に大きな要因ですが、生まれてからの食事の取り方や運動なども体質を変える大きなようになります。

また女性の場合は妊娠、出産も体質が変わるきっかけになります。

さらに加齢(老化)も体質が変わっていく大きな要因のひとつです。

女性の場合は更年期、閉経も体質が変わる大きなきっかけとなります。

この患者さんの場合はひょっとしてこの更年期や閉経などが呼吸器に影響を与えていたのではないかと思ったのです。

そこで女性ホルモンの反応の出てくるツボの反応と呼吸器のツのボの反応をチェックしてみるとどうも関連がありそうな気がしました。

そこで穏やかに更年期を迎えられるような漢方薬をチェックしてみるとこの患者さんに合いそうな気がしたのです。

そこで患者さんにこの話をして呼吸器を良くするために、通常、更年期障害に使うような漢方薬を服用していただくことにしたのです。

また、この経過については今後機会があれば書きたいと思います。

とりあえず気管支拡張症の治療は無事終了です。

本当に改善してよかったです。

ほっとしました。