気管支拡張症の患者さんが約3週間前ぐらいから来られています。

この方、約2年前にインフルエンザをこじらせて気管支拡張症になったそうです。

気管支拡張症の症状ですが、咳はほぼ出ないそうです。

ただし、クーラーなどで体が冷えると咳が出ることがあるそうです。

この患者さんの主な症状は血痰です。

痰の量そのものは多くはないそうなのですが、寒くなると間違いなく血痰が出るそうです。

また体が疲れてしんどいなどの体調が悪い時にも血痰が出やすいそうです。

また横になっていて起きると5分から30分以内に黄色い痰が出るそうです。

それ以外に最近では息をするのに違和感(息苦しい)があるのと、喉にも違和感を感じるそうです。

最初、電話で気管支拡張症という話を聞いて、肺マック症(非結核性抗酸菌症)かなと思った( 気管支拡張症の診断を受けている人が実際肺マック症だったという話はよくあることなのです)のですけれども、実際来られてチェックしてみると、どうも肺膜症ではないような気がしました。

今回の場合は純粋な気管支拡張症のようです。

漢方薬局ハーブスイメージ

しかし、この患者さんの場合、典型的な気管支拡張症に使う漢方薬がどれ一つとして合いませんでした。

また、この患者さんはちょうど病院でも肺マック症(非結核性抗酸菌症)かどうかの検査を受けている最中で、その確定的な診断が出るのがもう少し後だったので 、今回は漢方薬を出さずにその診断を待って再度、来ていただくことにしました。

そして患者さんが再び来られた際に、検査結果をお話を伺いすると、病院でも肺マック症(非結核性抗酸菌症)ではないということでした。

そこで今回は、呼吸器全般に使う漢方薬の中でこの患者さんに合いそうな漢方薬を探してみることにしました。
そうすると、この方には粘膜が弱くてアレルギーを起こしやすいタイプの人に使う漢方薬と肺の根本を元気にする漢方薬の組み合わせが良いように思いました。

とりあえず、この組み合わせの薬を一週間飲んでいただくことにしました。

そして一週間後来られた際に、 様子をお伺いすると、前回より少し良いそうです。

通常ならそのまま同じ薬を出して様子を見るところなのですが、再度、気管支拡張症の状態をチェックしてみると、今回出した漢方薬が少しずれてきている気がするのです。

気管支拡張症治療イメージ

そこで再度、漢方薬を見直すことにしました。

そしてもう一度見直してみたら、やはりベースの漢方薬は変わらないような気がします。
これと合わせる漢方薬が違う気がするのです。
いろいろ試行錯誤して最終的には漢方的な抗菌作用のあるようなものを前回も使ったベースの漢方薬に併用してみることにしました。

そしてまた一週間様子を見てもらうことにしました。

そして一週間後こられた時に、再度様子を伺いすると、今回はもう横になっても黄色い痰も出ないし、血痰も出ないとのことです。

本人曰く、調子が良いとのことでした。

とりあえずひと安心です。

ただ、前回、再度チェックしてみたら合わなくなっていたので、改めて再度チェックしてみます。

大丈夫そうです。

ただし、まだまだ治療は終わりではありません。

漢方治療というのは治療の過程が2段階はあるのです。

第一段階は最初に来られた時の主訴を中心とした症状を取り除く治療。

第二段階は漢方薬を飲まなくなっても症状が再発しないレベルまで改善させる治療です。

第一段階の治療を標治(対処療法)といい、第二段階の治療を本治(根本治療≒体質改善)といいます。

とりあえず、第一段階終了なのです。

これから第二段階にすすみます。