ちょうど一年前の4月から不眠症になったという患者さんが相談に来られました。

その方不眠症以外にほてりと胸焼け食道の違和感があるとのことでした。

もう少し細かくお話を伺いすると不眠症やほてりは1年前からだそうですが胸焼けや食道の違和感は3ヶ月前からだそうです。

この病気になったきっかけに心当たりがありますかと伺いした所、ストレスではないかとご本人は言われていました。

約5年前にうつになったことがありその時にもほてりが出ていたそうです。

普通に考えるとストレスからくる不眠症のようにも思いましたが、この患者さんが持参した病気になってから現在までのお薬や経過などについてまとめたものをチェックさせていただくと、どうみても、風邪→気管支炎になった後から不眠症状が出ているように感じました。

そして胸焼けや食道の違和感は病院で出された漢方薬を飲み始めてから症状が出ているように思えました。

そのことは患者さんも薄々感じていたみたいで、この漢方薬を飲むとしばらくすると酸っぱいものが上がってきて胃や食道付近に違和感が出てくるそうなのです。そのことをお医者さんに相談したのですが胃薬を出されて漢方薬は継続するように言われたそうです。

漢方的に考えるとこれはおかしなやり方で、もし漢方薬出して症状が出たのであれば、その漢方薬は合っていないと判断して漢方薬を変更するのは普通です。

それでその漢方薬を飲み始めて不眠は改善したのかどうかお伺いすると全く改善していないそうです。

漢方治療イメージ

そこでもう一度話を整理して考えてみることにしました。

この不眠とほてりは確かに自律神経失調症などの精神神経的な症状として現れることもありますが、患者さんの話の流れから考えると風邪こじれて治りきらない状態が続いていて起きているとも考えられるのです。

これは生理学的には考えづらい状態かもしれませんけれども漢方的にはあり得る状態なのです。

首の火照りも風邪の引き始めに熱が上がる時に出てくる症状に似ているのです。

体に実際にウイルスや細菌が残っているわけではなく体がその状態からうまく元に戻せないような状態になっているのではないかと考えました。

そのような状態にも漢方薬の治りそうで治らないような時に使う風邪薬が使えるのです。

そこで治りそうで治らないようなこじれた風邪に使う漢方薬をとりあえず1週間飲んでいただくことにしました。

そして、病院の薬の中で、胸焼けや食道の違和感を起こしている可能性のある漢方薬だけはお休みしていただくことにしました。

そして一週間あとこられた際に、様子を伺いすると 胸焼けと食道の違和感は病院で出されていた漢方薬を止めた直後からみるみる改善したそうです。

そして、眠りに関してですが一週間前よりも随分眠れるようになったそうです。

首の熱感ほてりに関しては減ったそうですがまだかなり残っているそうです。

全体としては良さそうな感じですそのため同じお薬を2週間服用していたらことにしました。

とりあえず全体的に症状が改善して良かったです。