このサイトは広島市にある漢方薬局の不妊治療と漢方薬の情報ページです。

ここでは漢方的な不妊症の原因とその治療法について書いています。

ぜひ参考にしてください。

 

不妊症と漢方薬による不妊治療の考え方

不妊症というのは西洋医学的に見れば女性ホルモンの異常というのが主な原因になると思いますが、漢方的には考え方が全く異なります。

漢方では女子胞(現代の子宮と卵巣)に気血(エネルギーや血(栄養成分全般、女性ホルモン)が十分あり、任脈・衝脈の流れがスムーズであれば、生理が順調であり、その延長線上に妊娠があると考えられています

そのため女子胞に血がいかない、気がいかない、流れがスムーズでないということが不妊の原因となってしまうのです。

よって、その原因と突き止め、その原因に応じた漢方薬を服用することで女子胞に気血を満たし、衝脈・任脉の流れをスムースにしてゆくことが漢方的なアプローチとなるのです。

この原因ですが一般的に不妊症と言われる患者さんの場合は原因が複合していることが多く、2~3つ位はあるケースが多いように思います。

 

ここではその主な原因と治療法となる代表的な漢方薬について解説したいと思います。

漢方からみた不妊の原因

気虚(エネルギー不足)

一般的にいうエネルギー不足の状態です

その症状の特徴は疲れやすい、汗をかきやすい、食欲が無い、もしくは食が細い、風邪をひきやすい、軟便傾向、低血圧などの虚弱な状態の方が多いです。

そして多くの場合、胃腸の働きが弱い傾向があります。

こういう方は胃腸(東洋医学の脾)の働きが弱いため、胃腸から気・血・水の吸収力(吸収効率)が悪いため、身体に気・血・水が行きわたらず、結果として女子胞にも気・血・水が不足する

ため妊娠しづらいと考えられます。

血虚(貧血+女性ホルモンの不足)

漢方でいう血虚は西洋医学の貧血と女性ホルモン不足を合わせたような状態です。

漢方で最も血虚の進んだ状態は閉経です。

つまり漢方で言う血虚の状態とは女性ホルモンの分泌低下or女性ホルモンに対する子宮や卵巣などの周辺臓器の感受性

(女性ホルモンからの働きを促進するよう促す指令に対する反応)が鈍くなっている状態も含まれていると考えられます。

水毒(痰飲:体の水分代謝の異常)

漢方の場合、気・血・水は密接な関係があると考えられています。

水が滞ると、水と一緒に流れている気も滞ります。

気が滞ると、それと一緒に流れている血も結果としては滞るのです。

つまり水の滞り(水毒)も女子胞に栄養を運ぶ循環系を阻害し、女子胞が栄養されにくくなるのです。

また水毒によって胃腸の働きが落ちて気虚の状態を呈するものや、血の流れが悪くなり、女子胞が栄養されないケースなどさまざまあります。

その原因に応じてそれぞれ使われる漢方薬は異なるのです。

瘀血(血流が悪くなっている)

これは最もわかりやすい原因で不妊の原因の中でも主要な原因の一つになります。

いわゆる血流が悪いということです。

ただし、漢方的にはこの血流を悪くする原因がさらに存在する場合が多く、単純に血流を良くするだけはだめなことがあります。

血流を良くすると同時に血流が悪くなった原因に対しても漢方薬を必要とすることがあるのです。

血流を悪くする主な東洋医学的(漢方的)原因

– 陽虚(冷え)
– 気滞・肝気鬱結(ストレス)
– 気虚(エネルギー不足)
– 血虚(血が足りない)

腎虚(加齢・老化に伴う生殖機能の低下)

腎虚とは年齢(老化)に伴う生殖機能の低下を表す言葉です。

年齢的に若い場合でも腎虚を引き起こすことがあります。

それはもともと親からもらった生命力(腎精)が少ない場合、不養生(仕事のしすぎ、食事や睡眠、休息、運動などの不摂生)によって生じる慢性的消耗の蓄積でも起こりえるのです。

そのため腎虚を予防するためにはできるだけ、バランスのとれた食事や休息、適度な運動を心がけストレスをできるだけためないことも重要です。

気滞(ストレス状態)

気滞とはその言葉通り気が滞っている状態です。現代の言葉に言い換えるならストレス状態という事になると思います。

この状態になると、ストレスで抹消の血流が悪くなります。

それ以外にも自律神経が乱れたり、自律神経の乱れから女性ホルモンのバランスが乱れることもあります

 

漢方からみた不妊症の原因と代表的な漢方薬

気虚(エネルギー不足)

代表的な漢方薬

補中益気湯、四君子湯

血虚(貧血+女性ホルモンのバランスの乱れ)

代表的な漢方薬(女性ホルモンを補う漢方薬)

四物湯

水毒(痰飲:体の水分代謝の異常)

代表的な漢方薬(体内の水の偏りをとり、バランスよくする漢方薬)

当帰芍薬散

瘀血(血流が悪くなっている)

代表的な漢方薬(血流をよくする漢方薬)

桂枝茯苓丸、温経湯

腎虚(加齢・老化に伴う生殖機能の低下)

代表的な漢方薬(老化を防止する漢方薬)

紫荷車(プラセンタ)、鹿茸製剤(鹿の角を含んでいる漢方薬)

気滞(ストレス状態)

代表的な漢方薬(ストレスを緩和する漢方薬)

加味逍遙散