皮膚掻痒症とは

皮膚にジンマシンや湿疹などの目立った病変などが見られないのにも関わらず、かゆみを呈する症状がみられる病気です。

漢方薬局にわざわざ来られるようなケースはかなりの痒みを伴っているケースがほとんどです。

その痒みのため、ひっかき傷ができてそれが腫れやおさまった後に茶褐色に変色した跡などが見られる場合もあります。

もっとも大きな要因と考えられるのは皮膚の保護作用の低下による知覚過敏です。

皮膚掻痒症の分類

皮膚掻痒症には、全身が痒くなる全身性皮膚掻痒症と局所部分だけが痒くなる限局性皮膚掻痒症の2種類があります。

限局された部位として多いのは外陰部、肛門部、頭部などです。

また高齢になって皮膚の保湿力が低下し、皮膚が乾燥したことが原因で生じる老人性皮膚掻痒症や妊娠した妊婦のときに一時的に生じる妊娠掻痒症などもあります。

皮膚掻痒症の原因

多くの場合は皮膚の保護作用の低下(バリア機能の低下)に伴う知覚過敏がベースになっていると考えられます。

この状態を起こしやすい最も大きな原因は加齢に伴う皮膚の再生能力の低下です。

それ以外には皮膚再生能力以上に皮膚を削ってしまうような行為によって症状が悪化する可能性があります。

それ以外にはストレスが引き金となってかゆみを生じさせるケースもあります。

また他の病気が原因となって皮膚の痒みを生じさせるケースもあります。

腎や肝臓などは体内の解毒および毒素の排出に関わっていますが肝硬変や腎不全などこれらの毒素の解毒機能や排泄機能が低下するとかゆみを生じさせることがあります。

皮膚掻痒症の症状

とにかく痒みです。

ちくちくするような痒みもあれば、むずむずするような痒みもあります。

一般的には寝る前や寝ているときに痒みが増すケースが多いですが、突如として痒くなることもあります。

皮膚掻痒症の養生法

皮膚の保護作用を低下させず、乾燥させないことが重要です。そのためにはお風呂に入っても、極力石鹸は使わない(必要最低限の局所のみ用いる)ことが重要です。

入浴は皮膚の血行を良くするので皮膚の再生には好ましいですが、それによって皮膚に痒みが出るようであれば、お風呂の温度をやや低めにする必要があるかもしれません。

入浴後は良く乾いたタオルで身体の水分をふき(ゴシゴシしない)化繊でない綿などの下着を着用するようにすることも大事です。

エアコンでの暖房は多くの場合室内を乾燥させすぎるので、暖房器具には注意した方がいいかもしれません。

あとは皮膚の保護作用を補うため、ワセリンやスクアレン、馬油、オリーブオイル、ベビーオイルなど使ってみてかゆみや赤味の出ない自分合った外用のもの用いることも重要です。

皮膚掻痒症に用いる漢方薬

皮膚掻痒症の中でも患者さんの多い老人性皮膚掻痒症に用いる代表的なものは当帰飲子です。

それ以外にも陰部の皮膚掻痒症には竜胆瀉肝湯などが用いられます。

それ以外に精神的ストレスに用いる漢方薬でかゆみが取れるケースもあります。