HPを見て患者さんが来られました。
症状をお伺いすると、極度の緊張状態ではなく、ちょっとしたことでも手の震えや声の震えが大きく現れるそうなのです。
ちょっとイメージが湧かなかったので、もう少し具体的な話をしていただくと、お店で店員さんと話をする時とか、車の運転をするときとか、例えば計量カップに調味料を注いで測ったりするときとか、分からない事があって人に教えてもらう状況になったときとかに、手や声が震えてしまうそうなのです。
そのため、何もそういったことが無ければ震えたりはしないそうなのです。
1日中起きているわけでもないし、毎日でもないということでした。
この症状どれくらい前から出ているのか?お伺いしたら、記憶にある限り、小さい頃からずっとあるそうです。
つまり数十年あるということでした。
この症状になったきっかけや原因に心当たりがあるか?お伺いしたところ、わからないけれども・・・思い起こせばご自身のお父さんにも似たような症状があったということでした。
遺伝的?という事なんですかね?
今までの話から、メンタル的な要素は強いように感じました。
そこで、東洋医学的な問診やその他の東洋医学的なチェックを行いました。
その中で、多少の心配性やあがり症はあるように思えたのですが、思ったほどの精神的・心因性の原因は見当たりませんでした。
それほどはっきりした精神的・心因性の問題が無いということも、一つの特徴でもあるのです。
漢方薬の中には激しい精神的・心因性の問題がある場合には、その激しさに対応するような漢方薬があり、穏やかな精神的・心因性の問題がある場合には、その穏やかな症状に対応するような漢方薬があるのです。
ただ・・・この患者さんの場合、症状自体は激しいのに、それほどはっきりした精神的・心因性の問題が無い・・・
ここの部分が私の中で上手くかみ合わない、一致しないのです。
そこで、精神的には穏やかでも身体症状は激しく出るタイプに用いる漢方薬をチェックしてみたのですが、どうもそれではなさそうでした。
そのような状態で用いる可能性のあるいくつかの漢方薬をチェックしてみたのですが、どれも使えそうもありませんでした。
うーん・・・そこで発想を変えてもう一度みてみることにしました。
精神的・心因性の問題ではないと仮定して東洋医学的に身体の隅々までチェックすると、使えそうな漢方薬を思いつきました。
そこでその漢方薬を2週間飲んでいただくことにしました。
そして2週間後来られた際にこの2週間の様子をお伺いしてみました。
ただ、私自身、何十年も苦しんでいた症状がそうそう変化することはないと思っていたので、体調のどこかに少しでも良い変化があれば良いと思っていました。
ところが・・・私の予想に反して前より少し良いとのこと。
そして漢方薬を飲み始めたその日から、日ごろから悪かった寝つきが良くなったそうです。
うーん・・・なんか思った以上に出来過ぎていて、逆に少し心配ですが、でも良くなっているということは良いことなので、とりあえずは良かったです。
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