紹介で患者さんが来られました。

ご相談内容は帯状疱疹後神経痛です。

約3か月前に帯状疱疹(ヘルペス)になりましたが、1か月経過しても痛みが残ったため、病院を受診したところ、1週間に2回の頻度で注射(内容不明)を打ってもらったところ、痛みは一旦治まったそうですが、再び痛みがでてきて、再度治療してもらったそうですが、今度は痛みが治まらず、ご家族の紹介でご相談に来られたのです。

ちょうど2ヶ月後に痛みが再発して、その1か月後に薬局に来られたのです。

現在の症状としては、左乳房周辺が痛い、その痛みは結構強く、今日来られる際にご家族の車に乗せてもらって来られたのですが、その車の振動でも痛みがでるとのことでした。

帯状疱疹(ヘルペス)になった方の痛みがその後も継続的に続くことは結構あって帯状疱疹後神経痛と呼ばれています。

この帯状疱疹後神経痛の原因はもちろん帯状疱疹(ヘルペス)ウイルスですが、このウイルスがずっと留まって痛みを起こしているわけではないのです。

そうではなくて、帯状疱疹(ヘルペス)ウイルスによって、神経が傷つき、その影響で感覚(知覚)が過敏になるため、些細な刺激(痛み)でも痛みを強く感じてしまうようになると考えられているのです。

しかし、今回の帯状疱疹後神経痛は上記したものとは異なります。

漢方治療イメージ

一旦治まっているのです。

一旦治まった痛みが再発するということはそれなりの理由があるはずです。

可能性として考えられるのが、何らかの原因で免疫力が低下して帯状疱疹(ヘルペス)ウイルスが再び活性化したか?もしくはさらに近く過敏になるような事があったか?です。

そこで、東洋医学的なチェックを行い、ウイルスが活発になっていないか?をまずチェックしてみました。

そうすると・・・特にそういう反応は出ていませんでした。

そうすると、帯状疱疹の痛みが再度過敏になるようかことが無かったか?聞いてみることにしました。

そうすると・・・ありました。

問診の中で、この痛みが再発した原因に何か心当たりが無いか?をお伺いしたところ、丁度、痛みが再発した時期にこの患者さんがお住まいになられているマンションの改修工事が始まって、ものすごくうるさくてストレスが溜まっていて、それが原因ではないか?とご本人がお話されたのです。

そこで東洋医学的にメンタルの問題が出ているかどうかをチェックするポイントでチェックしてみると・・・ここには反応が出ていました。

体質改善イメージ

そこで、この患者さんには帯状疱疹(ヘルペス)ウイルスに対する漢方薬ではなく、心因性の問題が原因となっている場合に用いるような漢方薬を服用していただくことにしました。

そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・今までは左の乳房の斜め下に限局していたそうですが、その痛みの場所が移動したそうそうです。

そこで、再度漢方薬をチェックしなおすと、ちょっと薬がずれてきているように感じたので、また漢方薬を変えてまや2週間後に来ていただくことにしました。

次来られた際には全体的に若干改善しているとのことでした。

そのため、それ以降は2週間~3週間間隔でご相談に来られました。

そのたびに徐々に改善はしてきましたが、ご本人曰く冷えると痛みが悪化するとのことでした。

漢方薬を服用し始めてから約3か月で左乳房の痛みは治まってきたのですが、代わりに、違う場所が痛くなってきたと言われるのです。

その場所とは、この患者さんが以前大動脈弁狭窄症になった時に、弁を交換する手術をされたそうなのですが、その手術の際に胸を切開した後の傷跡が痛むと言われるのです。

これはもはや帯状疱疹後神経痛ではないです。

メンタル改善イメージ

もちろん古傷が痛むということは、症状としてはあるとは思いますが、この患者さんの古傷は完全に修復されていて、化膿したり、腫れたりなどの症状は一切ないのです。

これも心因性(メンタル)の可能性が高いように思われました。

実際、漢方薬はほぼ同じ組み合わせで大丈夫な気がしました。

この頃になると痛いとは言っても、冷えると痛みがでるということで、日常冷えなければ症状は出なくなっていましたし、車の運転で痛みがでるということも全くなくなっていました。

そのため4週間間隔でご相談に来られる形になっていました。

そして、約5か月続いたマンションの改修工事が終わるタイミング(そろそろ)で良くなるだろうと思っていました。

ところが、改修工事が済んでもまだ痛みは治まりませんでした。

ただ、痛みのレベルはやはり下がりました。

この時期にこの患者さんに合う漢方薬が変わりました。

やはり何かは変わったのだと思います。

そして症状も少し変わりました

前は冷えると痛むでしたが、触ると痛いに変わりました。

つまり、触らなければ痛くないので、痛い日はかなり減ったのです。

そこから約半年、この患者さんの自覚症状も徐々減り、それに伴ってこの患者さんに必要な漢方薬の量も徐々に減ってきました。

そして、この患者さん、通い始めてから、漢方薬を飲み忘れることは一度もなかったのですが、1年経過した頃初めて飲み忘れをしたのです。

漢方薬を出し始めた頃から飲み忘れる人が飲み忘れる意味と、ずっと飲み続けていて飲み忘れる事が無かった人が飲み忘れるのでは意味が随分違います。

このように真面目な人が飲み忘れるようになる場合は症状がかなり良くなっている証拠なのです。

大体が治療の終わりが近いことを表しています。

この方も例外ではなく、飲み忘れをした1か月後の今月、症状が全く無くなりました。

そして、もう漢方薬は必要ない気がするということでしたので、治療を終了することにしました。

帯状疱疹後神経痛として来られましたが、痛みが長引く方の中には、心因性(メンタル)の方も一定数おられるのではないか?と思います。

ともかく、この患者さんが無事卒業されて本当に良かったです。

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