最近特にストレスが原因で漢方相談に来られる患者さんが増えているように感じます。

これ、ご本人がストレスが原因で起きていると自覚している場合とそうでない場合があります。

これって、どっちが良いの?

と思われるかもしれませんが、どっちがいいということもないです。

それぞれ一長一短です。

ご本人がストレスを自覚していて来られる場合、私は2つの系統に分かれると思います。

一つは自覚しているストレスが直接、現在悩んでいる症状の原因になっていないケースです。つまり勘違いです。
これはこれで本当の原因を探る必要があります。

もう一つ、自覚しているストレスが本当に、病気の原因になっている場合です。

これは原因がわかっているから良さそうなものですが、分かっていてもどうにもならないくらい問題が重い場合が多いのです。

なので本当にそれがよいのか難しいところです。

次にご本人がストレスを自覚していない場合です。

軽い問題なら、ストレスを自覚した段階で症状が消えるケースもありますが、多くの場合、そんなに簡単ではないです。

ストレスが原因だと気づきたくない方もおられます。

実際、その原因を知ってもその原因を直接解決することができないから病むという方が多いのです。

そのため、本当は原因探しするのは意味が無いかもしれません。

むしろその原因に対しどのように対処してきたか?

ということの方が重要かもしれません。

ストレスに対する対処の仕方には必ずその方の性格が投影されます。

その性格の延長線上にある行き過ぎた部分を自分でうまく対処(コントロール)できないため、それが症状となって表れるのです。

自分の性格を変えるのは簡単ではないです。

しかし、自分の性格に基づいたストレス対処法を新たに変えることはそれほど難しくはないと思います。

ここに改善と努力の余地があるのです。

そして、この少しの努力が思っている以上に重要だと私は考えています。

世の中にはストレスに強い人、弱い人があるように言われていますが、私はそんな単純な話ではないと思います。

ものすごくたくさんの要因の中で結果として現時点でストレスに耐えれている方と耐えきれなかった方が存在すると思うのです。

このことについて、もう少し説明したいと思います。

世の中には確かにストレス対して許容量の大きい方はおられます。

それはダムに例えると、貯水量の大きさの大きさに相当するかもしれません。

しかし、どんなに貯水量が大きくても、台風や豪雨のような状況が起これば、貯水量に限界は来ます。

その時大事になるのはダムの水が一杯になる前にコンスタントに放水することなんです。

この放水に相当するのがストレス発散なのです。

この貯水量と放水のバランスで精神的に病むかどうか決まるのです。

どんなにストレスに強い体質でも、日々たまるストレスを発散することを怠ればやがて病みます。

逆にもともと、ストレスの許容量が少なくても日々たまるストレスをうまく発散することができている人は、コンスタントにダムの放水を行っているのと一緒なので決壊することはないのです。

その際、重要となるのは自分のダムの貯水量がどの程度か知ることです。

これが解れば、放水する頻度が自ずとわかります。

でも、本当は日々生まれるストレスを日々発散することが大事だと思います。

それと同じく重要なのが放水方法(ストレス発散方法)を知るということです。

ストレスが原因の症状で悩まれている方のほとんどは、ご自身のダムの放水方法(ストレス発散方法)を知らない方が多いのです。

この放水方法(ストレス発散方法)、本当に人それぞれなのでこれをすれば良いというマニュアル的なものは存在しないのです。

これに関してなかなかこの中で最適なアドバイスをすることが難しいです。

一つ言えることは、一般的に良いと言われるストレス発散法でも、自分が嫌いなら全く意味がなく、場合によってはむしろ、逆にストレスになるということです。

具体的には、一般的にヨガが、心を静めて良いと言われていても、ヨガが嫌いならヨガはストレス発散にならず、逆に新たなストレスの原因にもなる可能性があるということです。

大事なのは、ご自身の気分が晴れるかということです。

ここに、ご自身の性格や嗜好が関わってくるのです。

一般論に惑わされずご自身の心に問うてみてください。