紹介でずっと来られている患者さんがおられるのですが、この患者さん症状が多岐に及んでいて、それぞれの症状に対して治療を行った結果、ほとんどの症状は現在、無くなっているのですが、その治療過程をすべて書くと、本が書けそうなくらいのボリュームになるので、今回は症状を主に冷え性に絞ってお話
します。
この患者さんは最初、頭痛、吐き気、嘔吐、胃痛、不眠、副鼻腔炎、肩こり、首コリ、不安、イライラしやすいなどの症状でご相談に来られたのです。
その頃は、病院に通いながら、鍼灸院に通い、毎日のように出張のマッサージを受け、10種類近くの健康食品を服用されていました。
それらに関して、漢方薬や生活の仕方、ものごとに対する考え方のアドバイスなどを行い、症状が完全にゼロになったわけではないですが、ほとんど生活に支障がないレベルにまでなりました。
現在は病院にも通われていませんし、鍼灸院にも通われていませんし、出張マッサージを受けることもなくなりました。
そして、サプリメントは一切服用せず、漢方相談も3週間に1回くらいの頻度です。
当初の頃から考えるとずいぶん落ち着かれました。
このように落ち着かれてから、上記した症状に対する漢方薬も必要なくなりましたが、当初言われていなかった症状が他にもたくさんあることが漢方相談でわかってきました。
その中の一つが下肢静脈瘤と冷え性です。
最初にご相談を受けたのは下肢静脈瘤でした。
下肢静脈瘤とは足の血管(静脈)がコブ状になる病気です。
実は前から気になっていたといわれるのです。
でもそれ以外の症状がひどくてそれどころではなかったということでした。

漢方治療イメージ
実際、症状の出ている場所を見せていただきましたが、確かに静脈が浮き出てボコボコしています。
この、下肢静脈瘤は漢方的な原因としては瘀血(おけつ→血流障害)が原因です。
そのため、血流を改善させる複数の漢方薬(駆瘀血薬or活血薬)の中からこの患者さんに合うと思われる漢方薬を選んで服用していただくため、改めて、東洋医学的問診、舌の状態、東洋医学的な身体のチェックを行いました。
そうすると、加齢に伴う血流障害を改善させる漢方薬が合っているように思われました。
その漢方薬を服用していただくことにしました
そして、3週間間隔で来られて、定期的にチェックを行っていますが、お出しした漢方薬は合っていると思います。
しかし下肢静脈瘤は一目でふくらはぎ付近がぼこぼこしているのが分かる程、長い時間をかけて血管が変化を起こしてきたため、漢方薬を服用しても急には変化しないのです。
そのため、この疾患に関しては長いスパンで今後も経過を観察していくのが通常なのです。
そして、冬になってからまた、ご相談がありました。
今度のご相談はしもやけです。
これも今回、初めてお伺いしましたが、小さいころから毎年冬になると、必ずしもやけができるそうです。
そして、一旦しもやけができると、春になるまでずっと何か月も、しもやけが続くそうなのです。
お伺いすると、やはりしもやけはかなり痛痒いそうです。
実際、患部を見せてもらいましたが、確かにひどい状態でした。
そこで、今回はしもやけの漢方薬をお出しすることにしました。
しもやけは症状はひどいですが、しもやけは漢方薬の得意分野で、うまく患者さんの体質に合わせるとものすごく良く効きます。

冷え症イメージ
そこで、この患者さんに再び東洋医学的問診をし直し、舌を確認し、その他の東洋医学的チェックを行い、この患者さんに合うと思われる漢方薬を見つけました。
そして、現在服用されている下肢静脈瘤の漢方薬との飲み合わせをチェックすると、それぞれの漢方薬の中身(生薬の組み合わせ)がかぶっているからか?飲み合わせが悪そうだったので、急性症状のしもやけの治療を優先して、下肢静脈瘤の漢方薬は一旦止めて、しもやけの漢方薬だけお出しすることにしました。
そして、次に来られた時に症状お伺いすると、しもやけは漢方薬を服用されて1週間もしないうちに症状が無くなったそうです。
その後春になるまで、症状は出ませんでした。
ちなみにしもやけの漢方薬も血流を改善させる漢方薬だったのですが、疾患によってすぐに効果が出るものと、時間がかかるものがあるのです。
傾向としては時間をかけて生じた病気は時間がかかりますし、短期間で発生した病気は症状そのものが激しくても、早く改善しやすいのです。

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