音が異常に響いて聞こえるのが苦痛だという患者さんが来られました。

この方、もともとというか、ご家族の方が相談に来られていまして、その方たちの症状が良くなっていることもあり相談に来られたのです。

耳鳴りがするとか、頭が鳴るとか、耳の聞こえが悪いとかのご相談はよくあるのですが、耳の音が異常に響くというのは相談としてはかなり珍しいものでした。

そこで、もう少し詳しくお話をお伺いしたところ、最初は耳鼻科で相談されそうなのですが、その時、病院で調べてもらった時には、左耳の低音の聴力が低下しているとのことだったそうです。

実際のところ、自分の感覚としては、左耳が塞がったような感じが続いているそうです。

そして、それと同時に耳鳴りもあるのです。

そのため、耳の中んでいろんな音が鳴っている(耳鳴りのため)上に、さらにある特定の音は聞こえずらく、ある特定の音(どちらかと言えば高い音)は響いて聞こえるということで、そこに、ガヤガヤとした人の声などまで加わると、本当に聞き取りたい声や音が聞き取れなくなり、パニックぽくなるそうです。

そこで、この症状を治療するためにこの、難聴や耳鳴りを起こした原因が何なのかチェックしてみることにしました。

そうすると、耳のツボの反応をチェックすると確かに耳がおかしいことは間違いないと思いました。

そして、耳の音が異常に響くということから、耳管開放症が関係しているのではないか?と考え、

耳管開放症に用いる漢方薬を出してみることにしました。

そして、1週間分お出しして、次来られた時に様子をお伺いすると・・・

良くなったところもあるけどかわらない部分がほとんどで、悪くなった部分もあったという事で、感じとしては一長一短という感じでした。

ストレス改善のイメージ

そこで、今回は、治療の視点を変えて治療をしてみることにしました。

そこで、改めて、この耳のおかしさと関連する問題がないかどうか全身をチェックしなおすと・・・どうもストレスの反応の出るツボに反応がある気がしました。

そこで、ストレスを緩和させる漢方薬を出してみることにしました。

そして来られた際に再度様子をお伺いすると・・・

飲み始めた当初は音の響きは少し改善した気がするそうなのですが、またもとに戻ってきたそうです。

そこで、再度、この耳のおかしさと関連する問題がないかをチェックしなおすと・・・

女性ホルモンのバランス異常の反応の出てくるツボに反応がある気がしました。

また、この方の年齢なども考慮すると更年期障害の可能性を考えました。

そこで、直接耳鳴りや難聴を改善する薬ではなく、更年期障害に用いる漢方薬を服用していただくことにしました。

今回はこの漢方薬でとりあえず1週間様子をみてもらうことにしました。

そして1週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

自覚症状としては変化がないとの事でした。

しかし、感覚としてはこの漢方薬は合っている気がしました。そのためさらにもう2週間同じ漢方薬を服用していただくことにしました。

そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

悪くはなっていないけどびっくりするほど改善した感じでもないとのことでした。

しかし、やはりこの漢方薬は合っている気がするのです。

そこで、少し値段は上がるのですが、漢方薬そのものはまったく同じなのですが、もう少し品質の高いものに変えて様子をみてもらうことにしました。

そして、その3週間後、来られた際に様子をお伺いすると・・・

聞こえにくくてパニックになりそうになることは明らかに減ったそうです。

やはり、自分の感覚は合っていて、今回は漢方薬の質のレベルの問題が大きかったのだと思います。

通常の疾患なら、それほど極端に漢方薬の生薬の質が影響することは無いのですが、今回の症状は勢いがあったため、その勢いを抑えるくらいの生薬の質が重要だったのだあと思います。

今回は症状の改善まで2か月以上かかってしまいましたが、症状が改善してよかったです。

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