このHPを見て患者さんが来られました。

症状は副鼻腔炎です。

おおよそ3年前から患っているそうです。

原因は不明ということでした。

症状は軽いときと重いときがあり、その状態によって鼻汁は粘りのある白色~黄色で、鼻汁が鼻の上のあたりにへばりついている感じがあるということでした。

このような状態のとき病院に行ってレントゲンを撮ってもらったら、この副鼻腔炎はすでに慢性化していると言われたそうです。

ただ、過去の病歴で20代後半で結核になったことがあり、2か月その治療で入院されたことがあるそうです。

それ以外にも過去の病歴として喘息の診断が出たこともあるそうです。

また、喉が弱く、風邪を引きやすく、一度風邪を引くとなかなか咳が治らず、それが原因で呼吸器の専門病院に入院されたことも別であるそうです。

また、これ以外の症状として片頭痛と胃炎があり、これは病院でお薬を出してもらっていて落ち着いているとのことでした。

漢方治療イメージ

これらのお話からこの患者さんは、風邪から副鼻腔炎に移行した可能性が高いと思われました。

しかも、一旦風邪を引いたら咳がなかなか治らないということは、菌などを殺す免疫力が弱いため、慢性化しやすいのだと思われるのです。

そして、それが同様に副鼻腔でも起きている可能性が高いのではないかと思いました。

また、ご自身で命の母や鉄のサプリ、ローヤルゼリーやプロポリスなどもご自身で服用されているとのことでした。

命の母は更年期障害の予防や治療に用いられるものですが、ローヤルゼリーは身体を元気にするものですし、プロポリスは抗菌作用があると言われているものです。

これらの服用されているのにも関わらず、風邪を引きやすく一度引くとなかなか治らず、副鼻腔炎も慢性化しているということは、単純に考えて効いていないということだと思います。

そこで、東洋医学的にこれらのサプリ等が合っているかチェックしてみると合っていないように思われました。

そこでこれらの事を踏まえて、一から漢方相談を行いました。

この中で最も大きなポイントだと思われたのは疲れやすいということでした。

漢方ではそれを気虚(エネルギー不足)と考え病気の大きな原因の一つなのです。

また、貧血、更年期の時期にさしかかっていることから血虚(栄養不足・女性ホルモン不足)の可能性もあるかもしれないと思いました。

さらに舌診やそれ以外の東洋医学的なチェックを行い、それらを基にこの患者さんに合うと思われる漢方薬を出してみることにしました。

そして2週間後に来られた際に様子をお伺いすると・・・

今まで必ず夜トイレに起きていたのが起きなくなり、朝までぐっすり眠れるようになったそうです。そのおかげで朝の目覚めが良くなったそうです。

体質改善イメージ

また、便の状態も良くなったそうです。

そても調子が良いということでしたが、この漢方薬でそのままいけるかを一応確認してみることにしましたが、まだ合っているようだったので、前回と同じ漢方薬をお出ししました。

そして2週間後に来られた際に、様子をお伺いすると・・・

漢方薬を服用する前はちょっとの階段や坂でも上がるとハアハア息が切れていたそうですが、それが無くなったそうです。

このように状態が良いのでご本人のご希望でご相談は1か月間隔になりました」。

そして次に来られた際には、鼻は良い状態が続いており、今まで朝起きた時に身体の内側にだるさが常にあったそうですが、かなり無くなってきているそうです。

また、もともと胃痛、胃もたれがあって、そのために病院で治療を受け胃薬をずっと飲んでいたそうですが、胃薬を飲まなくても胃もたれが無くなってきているそうです。

そのため、また1か月後に来られました。

この際には、鼻の状態は引き続き良くて、身体の状態としては疲れにくくなったそうです。

今までだと夕方になると疲れが出てきていたのが出なくなったそうです。

このように漢方を始められて半年は風邪も引きにくくなり、本当に順調に身体の状態が改善していきました。

ところが、それ以降、再び鼻の症状が出るようになってきました。

花粉症、黄砂のイメージ

原因としては黄砂、花粉症などの影響、最初に使っていた漢方薬がこの患者さんの体質に合わなくなってきたこと、家族の手伝いで畑を耕さないといけなくなったことなどでした。

この畑を耕すと鼻や呼吸器が悪化するのは最初にご相談された時からご本人が言われていたことで、できるだけ避けていたそうですが、それも難しくなったためだそうです。

また、特別に何をしたわけでもなく、目が痒くなって腫れたことなどからやはり、黄砂や花粉の影響を受けているように思われました。

これらに対応するために漢方薬をその都度変更して対応しました。

それからは、以前ほどではないですが、風邪を引かれるようになり、咳が長引いたり、副鼻腔炎が悪化することも再び出てきました。

それらに対応していく中で症状がまた徐々に安定し、再び体質改善に取り組み始めました。

時折、風邪を引かれた時にはとにかく風邪を治すことを最優先し、風邪が良くなったら体質改善を行うという治療を根気よく続けてもらいました。

この治療を半年以上は続けていただいたと思います。

そろそろ体質改善の治療も終わるかな?と思っていたタイミングで再び風邪を引かれました。

これに対して治療を行った期間は比較的長かったですが、症状は以前に比べてどんどん悪化するようなことはありませんでした。

漢方治療卒業イメージ

最後に残ったのは喉の症状と咳の症状でした。

最近の風邪はこの症状が残る方が多いです。

この治療を無事に終えることができて、最後の仕上げに体質改善を行って終了しようと思ったら・・・

東洋医学的チェックしてずっと残っていた副鼻腔炎の反応が消えていました。

患者さんももう大丈夫な気がすると言われるので、体質改善の治療を終了することにしました。

なんで思った以上に体質改善が早く起こったのか?最初良く分かりませんでしたが、最後の風邪の席に用いた漢方薬の中に体質改善の作用があることに気が付きました。

今まではこの漢方薬は間質性肺炎の体質改善の治療などに用いることがありましたが、ひょっとしたら副鼻腔炎に使えるのかもしれません。

今まではそんな風に考えたことは無かったですが、勉強になりました。

漢方はどこまでも奥深い・・・

やっぱり、一生勉強なんですよね・・・

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