紹介で来られた患者さんのお話です。

最初の来られた際の相談内容としては、不眠(寝つきが悪い、ねてもすぐ起きる)、頭痛、吐き気、胃痛などが主訴でした。

だいたい、2~3週間間隔で来られているのですが、相談日には元気でも、翌日は死にそうな声で電話がかかってくるのです。

病院にも通われており、吐き気止めや胃薬、頭痛薬等々を服用されており。最初に来られた時には膨大な種類のサプリメントを服用されていました。

最初はメンタルに問題が合って症状が激変するのか?と思っていたらそうではありませんでした。

この方、家族の中に一人で生活することができない手のかかる方がおられ、ご主人は少し遠方で暮らしているため、実質一人でその方のめんどうをみていたのです。

その肉体的・精神的な疲労が影響しているように感じました。

そのため、私が最初に出した漢方薬は精神緊張を和らげるものでした。

そして現在は身体を元気にするものと背中から肩にかけての凝りをとりのぞく漢方薬を出しています。

これらを服用されることによって前よりも漢方薬を服用されて症状の悪化の頻度は少し減りましたが、いざ症状が出ると、漢方薬だろうと病院の吐き気止めや頭痛の薬だろうと全く効かなくなり、吐いて、頭痛がして寝込むという事自体は無くなりませんでした。

私も最初はもっと合うお薬を探そう探そうとしていましたし、病院の薬に関しても患者さんから聞かれるので、その時に効きそうな最良のものをお伝えしましたが、やっぱり効かないのです。

そして、最近になってやっとこの患者差さんの最良のアドバイス方法がわかりました。

結局、この方の症状の原因は介護を頑張りすぎて限界を超えた結果が頭痛や胃痛や吐き気となって出てきていたのです。

そのため、この患者さんから緊急の電話がかかってきたら、できるだけすぐに休む(寝る)ように強く言うようにしました。

最初は患者さん自身、休んでいいのか戸惑いもあったようですが、限界を超えた努力を続けた結果数日寝込んでいろいろなことが回らなくなるより、思い切って早めに休んだ方が結果として身体の体調が維持できるため、日常生活がちゃんとまわるのです。

漢方薬も西洋薬もとても大事ですが、その人の度を超えたオーバーワークの薬とはならないのです。

その症状を直接抑え込んでやり過ごそうとするのではなく、頭痛や胃痛や吐き気などの症状が出た時は限界を超えた身体の悲鳴だと理解し、その声に耳を傾けることも大事なのです。

それが漢方の基本的な考え方である、三漢方(お薬の力が三割)、七養生(ご自身で行う生活で気を付ける事が七割)ということです。

実際、この自分の身体の声に耳を傾け、それに従うようになってから、大きく寝込むことはなくなりました。

漢方薬も大事ですが、それ以外にも大事なことが時としてはあるのです。