別のご紹介でというか、ご紹介の方と患者さんが一緒に来られました。

紹介者は親御さんでお子様を連れてこられたのです。

この親御さんもうどのくらい前か忘れましたが、たぶん10年以上前にうつ病を漢方で治療したのです。

その時には精神科で安定剤や睡眠薬、抗うつ薬なども飲まれていて、症状を改善させることと、症状を改善した後も、西洋の向精神薬を減薬すると離脱症状(禁断症状のようなもの)が出てくるため結構苦労して治療を行いました。

結局かなりの時間をかけて(数年間)本当に徐々に病院の薬を抜いていって最終的には完全に薬を抜くことができた。です。そして今は元気に働かれています。

それもあって、漢方で治療したいということでご相談に来られたのです。

お子さんの病名は小児科で過敏性腸症候群の診断を受けたそうです。

この話を聞いて、メンタルが強い、弱いとかも多少なりとも遺伝的な影響を受けているのではないか?と思いました。

どちらにしろまずは患者さんの状態を知らなければならないので東洋医学的な問診から始めてみまることにしました。

そこでご本人に気になる症状を聞いてみたところ、お腹が痛くなったり、気持ち悪くなったりするそうです。

漢方治療イメージ

その症状は約3か月前くらいから始まったということです。

なったきっかけについてお伺いしたところ、ご本人曰く焼きそばを食べ過ぎてからだということでした。

これはきっかけに過ぎなかったのではないか?と思うのですが、ご本人としてはそれ以降から症状が継続して出るようになったということでした。

そして、症状がひどい日は学校に行けなかったり、保健室に行かないとどうにもならないときがあるということでした。

学生の方のこのようなメンタルが絡む疾患・症状を治療するうえで、前提としてとても大事なのは、きっかけよりもむしろその根本的な原因なのです。

もう少し具体的に書くと、このような腹痛が起きた根本原因が『学校に行きたくない!!』だと治療はとても難しいのです。

そういう子の場合、仮に漢方薬が合っていて症状が軽減しても、症状が頭痛や吐き気に変わったりするのです。それは根本的に『学校に行きたくない!!』があるからです。

症状が無くなると学校に行かないといけなくなるので、別の症状を出すのです。でもこれは無意識に起こしているので、本人にもわからないです。

こういうケースの場合は治療がいたちごっこになることがあります。症状をとってもとっても別の症状を出すということです。

そうでなければ、飲むと症状は減るのに、漢方薬を飲まなくなる子もいます。

飲むと症状が改善して学校に行かない理由が無くなるからです。

心の持ちようイメージ

そのため、学校に行きたいか?行きたくないかは漢方治療を行ううえでの前提として重要なのです。

この話をお子様とご両親にしたところ、お子様自身が学校は好きで行きたい!!ということだったので、漢方治療を行ってみることにしました。

そこでさらに追加で様々な東洋医学的な問診や東洋医学的なチェックを行い、分かってきたことはこのお子さんはとても心配性だということでした。

症状としてはお腹に不調が出ていますが、その根本的なところはものすごい心配性がベースにあるように思われました。

そのため、心配性が自律神経系に影響を及ぼし過ぎないようにしていくような漢方薬を出してみることにしました。

そして2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

症状はゼロではないけれど、減ってきていて学校にも行けているし、保健室にも行っていないということでした。

漢方治療卒業イメージ

そこで、再度漢方薬をチェックしてみたところ、特に問題はなさそうだったので、同じ漢方薬でまた2週間様子を見ていただくことにしました。

そして、2週間後来られた際に様子をお伺いすると・・・

2週間前よりさらに症状は落ち着いてきているそうでした。そして学校にも行けているし、保健室にも行っていないということでした。

そして服用から2か月くらいで症状は全くでなくなりました。

ただし、今症状が出ていないのは漢方薬で抑えているためなので、漢方薬をやめるとまた症状が出てくるので、漢方薬を飲まなくても症状が出なくなる状態(体質改善するまで)漢方薬を服用していただくことにしました。

それから2~3週間間隔でご相談にこられ、症状は全く出ていない状態が続いたので、徐々に漢方薬の量を減薬していき、服用開始から約11か月で卒業となりました。

良かったです。

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