HPを見て患者さんが来られました。

相談内容は不正出血です。

2か月近く前に出血が始まって、その出血が約50日続いているということでした。

産婦人科の病院にもかかっていて、そこでは子宮筋腫の診断を受けているそうです。

大きさは3㎝弱のものが2つと小さめなのですが、これは粘膜下筋腫ということでした。

病院ではどのような治療を受けているのかお伺いすると、子宮筋腫の治療は全摘手術になるので、悩んでいるそうです。

それで何とか子宮筋腫の手術をせずに閉経を迎えるために漢方相談に来られたのです。

粘膜下筋腫は子宮内膜のちょうど生理の時に子宮内膜が剥がれる部分にできているタイプの子宮筋腫で、子宮内膜の内側にポッコリ張り出している感じになっているため、子宮内膜の表面積を増やす結果となり、剥がれる内膜の量が増えるため、小さくても生理の量(血の量)を増やす結果になりやすいのです。

また、このような子宮筋腫は漢方的には生理時にレバー状の血の塊(血塊)を多く出しやすい傾向があるのです。

この血の塊が多い状態を漢方では瘀血(おけつ:血液の滞り)があると考えるのです。

また、この患者さんは漢方的に瘀血(おけつ:血液の滞り)がある一方、生理の量が多いため、貧血にもなっていました。実際、病院の検査ではヘモグロビンの値が10g/dl(女性の正常値12~16g/dl)を切っており、病院で鉄剤が処方されていました。

子宮筋腫・不正出血の漢方治療イメージ

このように血が減っている状態を漢方では血虚(けっきょ:血の不足および女性ホルモンの量の不足・働きの不足も含むもの)と考えます。

この患者さんは漢方的には瘀血(おけつ:血液の滞り)で血虚(けっきょ:血の不足および女性ホルモンの量の不足・働きの不足も含むもの)がある状態と考えられるのです。

また、この方は年齢的には閉経してもおかしくないくらいの年齢でした。

閉経は加齢に伴って1年以上生理が来なくなる状態ですが、もう少し詳しく書けば卵巣にあったすべての卵を使い果たして排卵できなくなった結果生理が来なくなった状態なのです。

これを漢方的に解釈すると出す血が無くなったから生理が来なくなったと考えるのです。

更年期も徐々に生理の量(血の量)や生理の期間(血が出る期間)が短くなるため、出す血が少なくなってきている状態と漢方的には考えます。

それらのことを考え合わせても、この患者さんはやはり瘀血(おけつ:血液の滞り)で血虚(けっきょ:血の不足および女性ホルモンの量の不足・働きの不足も含むもの)なのです。

それ以外にもこの患者さんからいろいろなお話をお伺いしましたが、もともとは生理不順ではなかったのに、最近生理不順になってきていることを考えても更年期になっていることは間違いないと思います。

そして、瘀血(おけつ:血液の滞り)で血虚(けっきょ:血の不足および女性ホルモンの量の不足・働きの不足も含むもの)もあるタイプの方で、子宮筋腫、不正出血に用いる漢方薬というのは基本的には数種類です。

それらの中からこの患者さんに合いそうなものを探して漢方薬をお出しすることにしました。

この患者さんの場合は症状がとても強いと感じたので粉薬ではなく、煎じ薬を2週間分お出しして煎じて飲んでいただくようお願いしました。

そして2週間後に来られた際に様子をお伺いすると、服用を始めて9日目から急激に出血量が減ったそうです。

私の読みでは1週間くらいで効くのではないか?と思っていたので1週間分にしなくてよかったと思いました。

この患者さんは実際に服用されて思った以上に漢方薬の効きは早いと実感されたそうです。

読みは若干甘かったですが、とりあえず漢方薬が効いたと実感してもらえてよかったです。

さらにこの病気について詳しく知りたい方は

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