紹介で親子の患者さんが来られました。

ご相談はお子様の方で、お困りの症状をお伺いすると、腹痛と胸痛だそうです。

中でも腹痛はかなり激しいらしいです。

この痛みが原因で学校に行けなくなったそうです。

胸痛はもう少し詳しくお話をお伺いすると、痛いというよりも胸が苦しいという感じらしいです。

どのくらい前からこれらの症状に悩まさせるようになったのかお伺いすると、春先くらいからだそうです。

そのきっかけに関してお伺いすると、はっきりとは言い切れないけど学校での何らかの出来事の可能性があるようでした。

こういう低年齢の患者さん、コロナ喎になって本当に増えてきたと思います。

原因が学校とかが関わってくると、お子さん一人の力ではどうにもならないので、まず合う漢方薬を見つける事が最重要なのです。

そこで、お腹の痛み具合や、どういうときに、どういう感じの痛みを出すのかお伺いすることにしました。

また、この患者さんの性格的なところも聞きました。

というのも心が関係する病気・症状はもともと持っている性格的な部分が影響することが多いからです。

例えば、楽天的な性格の人は不安症のような病気になりにくく、もともと、些細なことで不安になったり心配しやすかったりするタイプの方の方が不安症などになりやすい傾向があるのです。

そして、その性格的な傾向によって同じ症状でも用いる漢方薬が異なることが多いのです。

そのため、漢方的視点からみた性格的傾向をある程度把握しておくことが大事なのです。

漢方治療イメージ

このお子さんと話した私の印象は聡明なタイプの子だなという印象でした。

ただ、思ったことを正直に話しすぎる傾向があるので、その正直さが様々な人との人間関係の中で裏目にでることもあるのかもしれません。

それも、コロナ以前なら自然にじゃれ合う中で自然に関係性は修復されていたのではないか?と思うのです。

しかし、コロナ喎の現在は、密になることは難しい状況です。

そのため、一度こじれた関係性を修復するのはそれなりに大変なのではないかと思いました。

ともかく、この患者さんに合いそうな漢方薬はイメージできたので、その漢方薬をとりあえず10日分服用していただくことにしました。

そして、10日後に来られた際に様子をお伺いすると・・・悪くはないけれども、学校に行けるほど改善はしていないそうです。

そこで、再度薬をチェックしなおしたのですが、ベースとなる漢方薬は合っている気がしました。

問題はこの漢方薬に何を併用するか?だと思いました。

そこで、次は今回用いた漢方薬に、もう一つ別の漢方薬を併用していただくことにしました。

そして9日後来られた際に様子をお伺いすると・・・

この漢方薬もダメではないけど、決定的に改善したという実感はないみたいでした。

そこで、再度漢方薬をチェックしなおしました。

そうすると、今の状態に合いそうな漢方薬がひらめきました。

何で、今まで思いつかなかったんだろう・・・と思うような自分としてはよく使う組み合わせでした。

その漢方薬を服用して様子をみてもらうことにしました。

それから、約3週間後に来られたのですが、お母さん曰く、今回は全然ちがうそうです。

今までは、口癖のようにお腹が痛い、胸が苦しいと言われていたそうなのですが、言わなくなったそうなのです。

ただ、夏休みに入ってしまったので学校には行けていないそうですが、かなり復調してきているということでした。

ただし、ご本人にお話をお伺いしたところ、痛みは減っているけどまだまだお腹は痛いそうです。

そのため、再度漢方薬をチェックしなおしたのですが、今回は漢方薬は合っている気がしました。

そのため、今回は同じ漢方薬で様子をみてもらうことにしました。

まだまだ、完全に治った訳ではないですが、三度目の正直で少し見通しがついてきて少しホッとしています。