ご家族の紹介で患者さんが漢方相談に来られました。

症状は鼻炎です。

病院にも何年も通っているけれども良くならないのでご家族の方が行ってみるようにすすめたそうなのです。

そこで自覚症状についてお伺いすると、鼻づまりと鼻水が酷いそうです。

鼻水は基本的には透明なものだそうです。

特に夜中の鼻づまりの症状が酷いらしく、とても苦しくなるそうです。

この鼻づまりが気になって一晩でティッシュ一箱なくなってしまうくらいひどいのだそうです。

ご自身では鼻水が大量に溜まって鼻詰まりを起こしているのではないか?と言われていました。

病院での診断名がアレルギー性鼻炎なのか副鼻腔炎なのかを聞いてみましたが、どうもはっきりしない様子です。

ただ、病院で出ているお薬は抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤、ステロイドの入った点鼻薬などから恐らくアレルギー性鼻炎の診断なんだと思います。

そこで、今度は患者さんご自身にこの症状が出るようになったきっかけについてお伺いしました。

そうすると、風邪を引いてからこの症状が出るようになったというのです。

つまりこれはアレルギーではなく慢性的な感染による副鼻腔炎の可能性が高いということだと思います。

漢方薬でも、アレルギー性鼻炎に使う漢方薬と副鼻腔炎(蓄膿)に使う漢方薬は異なるのです。

そのため、この患者さんには副鼻腔炎(蓄膿)に用いる漢方薬の中からこの患者さんに合うと思われる漢方薬を1種類のみチョイスして飲んでいただくことにしました。

漢方治療イメージ

そして2週間後に、来られた際に、様子を伺いすると…あまりご自身では自覚症状の変化はないとのことでした。

夜中に何度も起きて、ティッシュで鼻をかみ、鼻づまりが酷いので点鼻薬を何回(一晩に4〜5回)もするとのことでした。

ただひょっとしたら鼻を噛むティッシュの量が若干減ってるかもしれないと言われてました。

そして再度、この患者さんの漢方薬が合っているかどうかをチェックしてみると…やはり合っている気がします。

そのため、同じ漢方薬でまた2週間後に来ていただくことにしました。

そして2週間後、再度来られた際に様子を伺いすると…夜中に起きる回数と鼻水をかむ回数が減ってるとのことでした。

それから約1ヶ月後には途中で起きる回数が半分になり、更に数ヶ月後には夜寝る前に1回点鼻したら朝まで眠れるようになったそうです。

そのため、無くなるティッシュの量も格段に減ったそうです。

ここから一気に良くなるかと思ったのですが改善がストップしてしまいました。

漢方薬合わなくなったのかと思いチェックしたのですが、漢方薬は合っている感じなのです。

他の漢方的な原因があるのかと思って、何度もチェックし直して、新しい漢方薬を出してみたりもしたのですが一向に改善しません。

夜中に一回も起きなくなっていたのに、また再び夜中に1回から2回程度起きるようになったということでした。

そこで改めて何回もその原因をチェックした結果、病院で出されている点鼻薬(ステロイド剤)が一長一短で目先の鼻づまりが解消する変わりに、鼻炎そのものを免疫抑制によって微妙に悪化させているのではないか?
という結論に到達しました。

鼻炎治療薬イメージ

 

そのことを患者さんにも話したのですが点鼻薬はこれ以外に改善するものがないそうです。

何回も他のものを試したそうですが、どれも効かず、結局これに戻ったそうです。

そこで1度西洋医学の耳鼻科に行ってみて、他に代わりの点鼻薬はないかを聞いてみてもらうことにしました。

たまたま私の薬局の近所に評判の良い耳鼻科があったので、そちらに行ってみることをお勧めしました。

そしてそちらに行ってからまた再び来ていただいたのですがそこで出された点鼻薬を使ってもやはり一向に改善しなかったそうです。

そうこうするうちに漢方治療を始めてから8ヶ月が経過し漢方的にこの患者さんの副鼻腔炎の原因はなくなりました。

そのため漢方治療は終了することにしました。

ただ症状としては最初の頃に比べれば鼻水の量も減りティッシュを噛む回数も減り、随分良いのですが、夜中に一回起きて1回点鼻をするのは治りませんでした。

そこで最後に市販薬の点鼻薬の中からこの患者さんに合うものをおすすめして、今の点鼻薬を何とか止めてもらうよう、お話ししました。

そして後日この患者さんのご家族の方が別件で相談に来られた際に様子を伺いすると···あれから鼻の症状はずいぶん良くなったそうです。

ご本人が頑張って点鼻薬を止めてみたそうなのです。

最初はつらかったようですけれども、
一週間ぐらい過ぎたあたりから症状が出なくなり、現在は点鼻薬はしなくても夜に詰まらないし、鼻水もほとんど出なくなったそうです。

やっぱり思った通りだったと思いホッとしました。