紹介で患者さんが来られました。
症状は頭痛と冷え症です。
これらの症状がいつから出てきたのかお伺いすると、もう10年以上は前からあるそうです。
ただ、どうしてこの症状が出てきたのかはご自身では心当たりがないそうです。
この頭痛と冷え症、原因が共通のこともありますが、そうでないこともあります。
そのため、それぞれ症状に関してもう少し詳しく聞いてみることにしました。
まず、頭痛に関してですが、睡眠不足、疲れている時、天気の悪い日(曇りや雨の日)に悪化するそうです。
そして、痛みの出る部位に関して言うと、右の側頭部に症状が出てくることが多いそうです。
これらの事から推測できることに関して
症状の特徴からは
睡眠不足、疲れている時→気虚(ききょ:漢方のエネルギー不足や虚弱体質を表す言葉)の可能性が高い
天気の悪い日に悪化→水毒(すいどく:身体の中水のバランスが悪い→多くの場合身体に水が過剰に溜まっている)or気滞(きたい:気の巡りが悪い→自律神経の働きが良くない)
などの可能性が考えられます。
次に症状の出る部位が側頭部と固定されていることから、これは
水毒(すいどく:身体の中水のバランスが悪い→多くの場合身体に水が過剰に溜まっている)
or
瘀血(おけつ:血流障害)
の可能性が高く
気滞(きたい:気の巡りが悪い→自律神経の働きが良くない)
の可能性が高いと思われました。
またこの患者さんの頭痛の症状は鈍痛であることから
すべてを総合すると水毒(すいどく:身体の中水のバランスが悪い→多くの場合身体に水が過剰に溜まっている)の可能性が一番高いように思われました。
次に
冷え症に関してですが、
冷える部位が、足先、手足、腰で全身ではないこと、
痔があること、
生理に血の塊が混じること
冬に必ずしもやけができる事
頭痛以外にも肩こり、首コリがあり
舌の裏の舌下静脈が怒張していることから
これはほぼ間違いなく瘀血(おけつ:血流障害)が原因だろうと思われました。
そこで、頭痛を起こしているであろう水毒(すいどく)と首コリ、肩こり、しもやけ、下半身の冷えを起こしている瘀血(おけつ)をヒントにこれらを同時に治療する漢方薬を東洋医学的チェック方法を用いて探してみることにしました。
そうすると・・・
この頭痛と冷え症を引き起こしているのは別々の原因で、それらを同時に治療できる漢方薬は無いように思われました。
そのため、両方を治療する場合は、それぞれを改善させるために水毒と瘀血に対する2種類の漢方薬を服用するか?もしくは
先に水毒か瘀血のどちらかの漢方薬を服用するか?ということになるのですが、患者さんともお話しし、
とりあえず、下半身の冷えや首コリ、肩こり、しもやけなどを改善するため瘀血(おけつ:血流障害)の治療をしてみることにしました。
それから2週間間隔でご相談に来られたのですが、服用約1か月で肩こり、首コリ、冷え症の改善を実感されたようです。
そしてもちろん暖冬の影響も無いとは言い切れないのですが、毎年出ていていつもの年ならもうすでにできていた『しもやけ』ができていないそうです。
そして、服用約2か月でほぼ冷え症は感じなくなり、首コリ、肩こりは仕事で肩・首を酷使した時だけ出るくらいまで軽減してきました。
また、意外だったのが、私は別の原因だと思っていた頭痛も今までと比べると軽減しているそうなのです。
う~ん・・・身体の状態を健全に読み切ったつもりでしたが、ヒトの身体はやはり不思議です。
でもほとんどの症状が軽減してきていて良かったです。
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